第2話 当主~とうしゅ~
「よう、お前さんが此処らをまとめてる鬼かい?確かに下の村に居た奴よりかは、デカいし強そうだのう」
数日前から、里に下りた子分共が戻ってこない事が多くなっていた
「貴様か我等の縄張りを荒らしてる、人間というのは」
まさかこんな、ひょろっこい若造だとは思わんかった。これよりだったら、前にやってきた
筋肉達磨の方が骨がありそうだったな。
「荒らしてるなんて人聞きが悪いのう。儂はお前らが、攫って行く町娘が俺の好みだから横取りしてるだけさ。金品も人から盗るより、お前らからもらった方が追われなくて済むからのう」
「貴様も我ら側の者ではないか。気に食わなければ女、金だろうと奪う。
それが強者である儂らの特権よ」
「強者の特権、か。じゃあ、ここに居る女。ここにある金品。全部儂のじゃのう」
その男は刀を抜き、不気味な笑みでこちらに剣先を向けた
「ここじゃあ、儂が強者じゃ」
何故!何故だ!何故こんな若造に、この俺が!首を刎ねられる!
「いやぁ、やっぱりお主強いのう。化け物相手に、血流したのなんて久方ぶりじゃ」
確かに血は流れているが、三日三晩俺と戦って奴は五体満足。それに今でなお飄々としている。
「はっはっはっ!刃こぼれして居るわ!まぁこれだけ打ち合って折れてないだけましかのう」
こんな奴に俺は、敗れたのか
「ん?ほう、やはり妖の類よのう。首を刎ねただけじゃすぐには死なんか」
奴は俺のところに近寄ってきた
「お主は強かった。儂とここまで仕合ったのはお主が初めてじゃ。
・・・のう、儂と取引せんかのう?」
「取引・・・だと?」
「応さ、儂はこれでも国から命を受けた仏の守護者じゃ。だが何分儂には、堅苦しくてのう。そこでじゃ、お主どうせ後は息絶えるだけだろ?その魂儂に貸してくれんかのう」
「なに、を、言って、いる」
「簡単に言うと、儂という器にお主の魂を入れる。普通の人間ならできんが、
儂は陰陽術をかじっとる。それにお主が一番わかっているだろが、儂は普通の
人間じゃない。だから、お主の力貸してくれんかの?そんで・・・」
(―――――――――――)
「が、あああぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は激痛で夢の中から引き戻された。掌が熱い。もはや痛いのか熱いのかわからない。
「宗助!我慢じゃ!」
いや、どう考えてもお前のせいだろ!ハゲ!
じじいへの怒りを緩和剤になんとか、痛みが引くまで耐えることができた。
「はぁはぁはぁ・・・」
もう訳がわからん。
「宗助、掌を見てみい」
「は?」
言われるがまま、先ほどまで激痛が走っていた掌を見た
「なんじゃこりゃ!」
まさかこのセリフを実際に使うことになるとは、思ってもみなかった。
掌にはさっきジジイが筆で書いていた奇妙な模様が刻まれていた。
「あっ消えた」
掌に確実に刻まれていた模様は少量の煙を出して消え、何もないただの掌になった。
「おい、じじい!どうなってん・・・」
ぽん。
じじいは俺の話を遮り肩に手を置いた。
「おめでとう、宗助。これでお前がここ寺の主じゃ」
・・・は?
「ふざけるのはその頭だけにしておけよハゲ。どうゆうことだ」
「だから、今日からお前が当主じゃ。頑張れよ。いやーようやく当主から解放された。あっだから明日、挨拶ついでに集まりよろしくの」
本来投稿する予定であった部分が抜けてました。
申し訳ございません。