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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第六章:美少女と日常

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84.とある闇天使さんの日常 SS⑦


 彼には私が多重人格者だと思われている。それはあながち間違いじゃない。それを言ったら、さよりにも当てはまること。素をさらけ出すほど許せる人間なんて、限られているのだから。


 教室にいる私は話しかけない。大抵は中身のない中身の本を読んでいるだけ。本を読んでいると、それだけで人は話しかけて来ない。それでも話しかけてくる人間は、空気の読めないさよりか、私を知らない人間か、私と話がしたい高洲君だけ。


「あ、あの~鮫浜さん、本を読んでいるところで悪いんだけど、廊下に出てくれないかな?」


「話しかけないでって言った。言ったよね?」


「あ、う……ごめんなさい。でも、浅海もいるから」


 最初の高洲君には悪いことをしてしまった。本当は話しかけてくるのをずっと待っていたのに。その事は後で浅海に言われてしまったけど、彼に私を知ってもらえたのは良かった。


「嫌いじゃない」


 こんな曖昧な言葉で彼を縛りつけたことは、今でも私の反省点。よりにもよってさよりと同じ言葉だった。


「君は私のモノ」


 これもある意味、彼を縛りつけた。素直になれず、恋に目覚めても彼を突き放した。私のことが気になって仕方がない……こう思わせるのが私なりの愛情。たとえ、歪んだ愛でも彼に残ればいいのだから。


 それが結果として、さよりの方に傾かせた。あれこそさよりのずるいところだ。暴力女が素直で従順にもなれば、彼は私のような歪みの女より、素直に甘えてくるさよりに惹かれるのは当然なんだ。


「あゆちゃんを知りたい!」


 さよりのことが好きになった高洲君。それなのに、これを言わせた私。私は少しずつ、彼に素顔を見せていく。そしてその小さな芽が育ってきた時、彼は私を選ぶ。


 だからこそ、根回ししてバイトが出来るようにした。さよりに傾いた彼の心は、違う鮫浜あゆを知ることで、再び私に傾くはずなのだから。


 高洲君、君の知らない私を全て見せてあげる……。

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