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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第四章:彼女、カノジョ、そろい踏み

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62.某お嬢様の日常すぎる日常 SS①


 池谷いけがやさより。高校1年になるわ。今まで住んでいた所から一変して、何の変哲の無い街へ引っ越すことになったのだけれど、お父様には悪いけれど最悪すぎる場所だわ。どうして似たような家がいくつも並んでいるのかしら。外観こそ違うけれど、家の中はあまり変わり映えしないに決まっているわ。それにしてもどうしてウチが一番奥に追いやられているの? 隣はよりにもよって男子が住んでいる家だし、その隣には鮫浜の人間が住むだなんてどうしてかしら。


 池谷と鮫浜が仲良くするだなんて考えられなかったけれど、これが庶民的な近所付き合いというのであれば、仕方ないと言わざるを得ないわね。ひょんな所からの出会いが待ち受けていたわ。親同士の交流……もちろん、お母様はいい気分にはなれなかったでしょうけれど、お父様ったら本当に腰が低すぎるわ。


「私どもの娘と仲良くしていただけたらこんなに嬉しいことはないですね」

 冗談ではないわ。どうしてそんなことを言うの? そう思っていたのだけれど、鮫浜の娘はわたくしよりも小さいわ。む、胸は言いたくないけれど。同い年? ふふん、人見知りかしら。まるで言葉を発さないのね。ここはわたくしから歩み寄るしかなさそうね。友達……友達になれたらいいなぁ……。


「わたくしのことを親しみを込めてさよちゃんと呼んでいいわ。わたくしはあゆと呼んであげるわ!」

「呼ぶけど、友達じゃない。それでいいなら呼ぶ……」

「い、いいわよ」

 な、何なのこの子。まるで勝手が違うわ。友達じゃない? いいわ、それでも。そんな状態で家族ぐるみでファミレスに行くだなんて、何をどうしろと言うの? そう思っていたけれど、ある男子を見つけた所からわたくしとあゆは、自然と会話が始まっていた。そして運命が始まったわ……。


 続く……。

ショートショートなお話さより編です。基本不定期で昼に更新します。





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