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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第三章:彼女たちの変化

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42.鮫浜あゆは揺らがない ②


 放課後がもの凄く待ち遠しくなっていたのは、いつ以来だろうか。もちろんこの気持ちには、不安と怖いもの見たさと、何かの期待が入り混じっているわけなのだが。相手が謎に包まれている鮫浜ということもあって、怖いもの見たさが勝っているかもしれない。ファミレスバイトが始まるまでにあと一週間、それまでに少しでも鮫浜と仲良くなりたい。そうじゃなければ何も進みようがない。そして放課後になり、鮫浜の席へ近づこうとすると、普段は近寄っても来ないくせにやはり空気を読めないのか、あるいは何かの予感を感じたのかは定かじゃないが、さよりが声をかけてきた。


「湊。ちょっとお待ちなさい」

「んあ? 何か用か?」

「きょ、今日、一緒に帰ってくださらないかしら? どうせ暇なのでしょう?」

「いや、今日は無理だ」

「な、何故? いつも真っ先に教室から出て、一人だけで帰っていくじゃない。どうして今日に限って無理やり用事を作っているのかしらね?」

「ちげーし。お前こそ何で今日なんだよ? 明日じゃダメなのか?」

「だ、駄目じゃないけれど……で、でも、あゆと何かあるの?」

「何で?」

「あゆとはライバルだし、湊ともライバルだもの。二人が進展していくのは認めないわ! わたくしは湊に彼女が出来ないようにするライバルなのよ? 忘れたかしら」

 ライバル設定が生きてたのか。女子同士のライバル設定は俺には無関係だけど、俺に彼女を作らせないライバルってのが訳分からん。何で俺にそうまで引っかかって来るのか。


「何とか言いなさい、湊」

「高洲君。行こ?」

「お、おぉ」

 さよりが目の前にいるのに、まるでいないかのように俺に声をかけたぞ。何か凄いな。そういや、鮫浜も俺がさよりに近づくのを良しとしてないんだったな。何かの因縁か? 妹の姫ちゃんにも近づくなとか言ってたんだよな。もしや親関係のライバルか? 何とも言えないけど、鮫浜はさよりをまるで相手にしていないんだよな。どっちかというと見下し感が見えすぎるというべきか。さよりの方が近づいている感じか。


「あゆ! お、お待ちなさい。湊とはわたくしが先にお話をしていたのよ? それなのに急に声をかけたと思ったら、そのまま連れて行かないでくれるかしら?」

「……」

「わ、悪いな、さより。今日は鮫浜と先約なんだよ。だから、また今度な?」

「ど、どこに行くの?」

「え? えーと」

 正直に言っても言わなくても、家が隣同士って何て厄介なんだ。さよりのことだから付いてきそうだな。付いて来ても、鮫浜は相手にしないんだろうが……それはそれで、さよりの方が心配になる。


「……さよちゃん。付いてきたら許さない。今日の高洲君は、私の時間を与える日。さよちゃんじゃない」

「え、あ……ご、ごめんなさい」

 怖いぞ鮫浜。でも何となくだが、立場関係が見えたようなそうでないような。どう見ても鮫浜の方が強いんだよな。さよりは鮫浜のことは最初から友達じゃないって言ってたし、友達になるのは恐れ多いって意味でもあるみたいだな。いや、分からんけど。


「高洲君の背中はさよちゃんを捉えられる?」

「あぁ、まぁ。家がすぐ近くなのに、それでも付いて来させたら駄目なのか?」

「キミが私の家に入るところを見られることになる。それでも平気?」

「あー……それは確かに、平気ではないかな」

「そういうこと」

 なるほど。少しは気を使っている? のか。鮫浜のキツい注意もあって、さよりは先に教室を出てしまったようだ。何だか可哀想に思えた。明日か別の日にでも、俺からどこかへ誘ってやろう。


「さよちゃんが好き?」

「ふぉっ? い、いきなり何を?」

「あれだけ暴言とか、舌打ちとか、背中しか相手にされていなかったのに、どうして気にするようになったの? 君にとって残念な美少女ではなくなったから、かな?」

「い、いや……そういうわけじゃ。ただ、放っておけないだけで……」

「――なるほどね。今はさよちゃんに傾いているみたいだね」

「そんなの、俺にも分からない」

「ふふっ……私は分かる。分かってるよ、湊くん」

 オゥ……何だか空気が冷たくなった気がするぞ。この子、気象も操れんのか? 俺の気のせいなんだろうけど、寒気が一気に全身を駆け巡ってしまったんだが、付き合ってないけど浮気とかしたら氷漬けにされそうだな。ってな感じで、さよりの気配を感じることなく鮫浜の家の前に着いた。まぁ、俺の家もすぐ隣だけど。


「湊くん。私の家に入る前に目を閉じてもらえる?」

「え? 何で?」

「答えは一つだけ」

「あ、はい」

「じゃあ、縛るから」

「ホワット?」

「……」

 何のプレイかな? なんて思っていたら、目隠しをされてしまったようだ。何のために? そんなことはもちろん、分かるはずもない。だが、家の中を見られたくないってことだけは分かる。目隠しをしたままで、鮫浜の部屋に直行するということなんだろう。おいおい、マジですか? 玄関の中も見せないとか、何がいるのかな? もしや獣か? 犬か猫だとは思うが。どっちにしても俺の視界は暗闇である。そのまま、鮫浜の手に引かれながら、靴も脱がされて部屋があると思われる二階へと連れて行かれた。


「あゆちゃん、あの~目隠しを外してくれないのかな?」

「着替えをしているからまだ駄目。見たい?」

「見た――いけど、見たら何かが起こるのかな?」

「何も起きない……起きないけど、さよちゃんに心がある状態のキミに見せるつもりは無い」

「デスヨネー」

 さよりに心が傾いている、ねぇ。好きってことでもないけど、確かに気にはなってるな。


「でも、触るのはいいよ?」

「ふわぁっ!? い、いいんですかい?」

「さよちゃん、胸無いから。そんな哀れな湊くんに憐れみを……手を伸ばす? 近づく?」

 さよりの胸にそもそも触れていないんだが、確かに無いけど。でもだからと言って、お慰みを受けるとかそれはどうなんだ。こういうのはそういう気持ちで触れないと気持ちも良くならないと思うんだけどな。俺もあゆちゃんも。むむむ……視界が真っ暗闇のままで、あゆちゃんのオムネさんに触れるか? 触れないか?

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