表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第三章:彼女たちの変化

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/345

41.鮫浜あゆは揺らがない ①


 学校の行事なんて始まるまでは長いと感じていても、始まればあっという間に終わってしまった感がある。俺の活躍はイケボで少しだけ貢献したものの、クラス全体で言えば大した戦力にはなれなかった。基本的に、あくまでもお祭りであって、体育に一所懸命な学風でもなかったところが理由と言えば理由だ。


 俺が参加したイケメン対抗リレー中に、鮫浜が相変わらずの口づけを周りに見せつけていたが、その時の行為そのものでは、彼女に対して好きといった想いにはならなかった。それというのも、未だに俺は鮫浜のことを何一つ理解していなければ、近付けたような気がしていないからだ。


 彼女の想いと俺の想いにはかなりの開きがあるような気がしてならない。気になることは山ほどある。もうすぐバイトも始まるが、その前に少しでも彼女の心に近づきたいと思うようになっていた。


 体育祭を終えて連休を挟み、いつもの登校が始まった。朝の登校時は最初こそさよりが後ろに付いて歩いていたが、今はそれがなくなっていた。家が隣だとしても、仲良く一緒に登校するかというとそんなことはなくなっていただけに何だか寂しさを覚えている最中だ。


 俺の部屋に不法侵入しまくりだった鮫浜は、いとこの磯貝しずが抜け駆けで侵入してしまったことが、相当気に入らなかったようで、今のところは不法侵入をして来ていない。さよりにしても、鮫浜にしてももっと知りたい。彼女たちを理解して近づきたい。そう思っているのに、そう簡単には行ってくれないのが現状だ。


「おはよ、高洲」

「おー」

「元気なくね? 鮫浜と喧嘩でもしたのか?」

「いや、てか、付き合ってないぞ? 体育祭のアレとかノーカウントだからな?」

「あ、そうなの? なら、何で話しかけねえの? 仲良さげにしてたのに教室で全く話をしてるとこ見た時ないんだが……」

「色々あるんだよ。蟹沢も誰か女子と話すのか?」

「ない。悪かった。人のこと言えねえ」


 カウンター食らわせてしまった。こんな感じで朝とか帰りは他の男子と話すようになった。確かに蟹沢の言う通り、教室でも鮫浜やさよりとはあまり話をしない。以前は意味や用事が無くても、無駄に絡んできたように思えるのに、何か彼女たちの中で変化があったというのだろうか。

 それとも俺があまりにヘタレ野郎すぎて、話す必要すらも感じなくなったのかもしれない。そう思うと途端に話がしたくなってきてしまう。


「……」


 鮫浜は何かの本を読んでいる。俺からは話しかけてはいけないルールを継続中だ。彼女の席の横に椅子を置いて、ひたすら待つことにした。


「……」


 むぅ。鮫浜が何も用がない限り、いつまで待っても声なんかかけて来ないんじゃないのか? 授業終わりごとの休み時間の度に、鮫浜の横に座って彼女の声を待っている俺なのだが、一向にそんな気配を感じられない。こうなったら昼に誘う……いや、声をかけては闇に堕とされてしまうんじゃ?


「高洲君。昼、中庭のベンチ」


「あっ、ハイ」


 ようやくお声がかけられたようだ。自分の部屋に不法侵入され、何度もキスまでされちゃってる関係なのに、どうして彼女に気安く声をかけられないのだろうか。本をひたすら読む鮫浜は、教室の中においてはそれが当たり前の光景になっているところがあり、俺に限らず先生ですらも迂闊に声をかけない感じになっている。


 鮫浜は一体何者なのだろうか。以前、創立記念日とかで俺と鮫浜が二人きりで学園に来たことがあったが、実は後で他の奴に聞いて驚いたことがある。創立記念日なんて、そもそもしたことがないと。アレは幻か、あるいは何かの夢でも見せられたのか。真相は未だに聞くことも出来ていない。


「こっち、座る。私の隣に」


「お、おぅ」


「……何か言いたいこと、あるでしょ?」

「い、今は何の本に夢中?」

「知りたい?」

「む、無理にとは言わないけど、毎回違うのを読んでるだろうから興味はあるというか」

「……そう、じゃあ放課後に私の家に来て。というか、来て欲しい」

「えっ? さ、鮫浜の家にか? 入ったことも無いのに、入っていいと?」

「二度は言わない」

「分かったよ。帰りは一緒に帰る?」

「私の席に来て」

「うん、分かった」


 おやぁ? 急展開すぎるぞ。何の本を読んでいるのか聞きたいだけだったのに、誘われてしまったぞ? それも初のご訪問ではないか。鮫浜の部屋は真隣すぎてちらっと程度なら見たことはあるにはあるが、そもそも玄関からお邪魔したことがない。


 さよりの家も同様ではあるけど、鮫浜の親にも会ったことないし、話すら聞いたことがない。これは何かの進展気配なのだろうか。それとも単なる気まぐれなのか?


「高洲君。私の家のこと、口外しない。しないよね?」

「もちろん! するわけないだろ」

「うん。それでいい。いいよ……誰かに話すのはルール違反。話したらキミ相手でも、どうするか分からなくなる……」

「大丈夫。俺はこう見えて、友達が少なすぎるんだぜ? まして鮫浜のことを他の奴に言うとかあり得ねー。だから、俺のことは信用してくれていいよ」

「偽りなく?」

「もちろん」

「それならいい……」


 何だろうな、この何かを引っかけさせようとする言い方は。そもそも俺自身も、隣同士がさよりと鮫浜の家ということもあって、浅海にすら教えてないことなのに。鮫浜は何を隠しているというのだろうか。


 この子は一体何の闇を抱えているんだろうな。それを受け入れるか、受け止めるかどちらにしても鮫浜を理解しないと、付き合うとか彼女とかにはなれない気がしてならない。そうして放課後を待って、俺は鮫浜の席へ近づいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ