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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
5章:日常、再び

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334/345

334.追放からのリターン 2


「なぁ、お前ら……」

「お前では無いわ! 全く、何度言っても学習能力の無い男なのね」

「高洲もお前って呼ばれたい?」

「ちげー!! 何でどっちも俺の腕を掴んで歩いているのか、理由を聞こうか」

「愚問だわ。サボり野郎の湊のことですもの、どうせ途中でどこかに行方不明になるに決まっているわ! それを未然に防いであげているのだわ。むしろ感謝して欲しいものね!」

「高洲の左側は、あみの場所だから」

「ただのお隣さん同士でこんなハーレムを作り出すのは、おかしいだろうがー!!」


 さよりは俺の背中ではなく、右腕をがっしりと掴み、左腕はあみが引っ張っている。

 鮫浜ではなく、沖水あみがその位置にいるというのも新鮮……とかではなく、やはり姉妹なのだなと感じてしまう。


 元々いた学園とはいえ、数か月……特に学年上がりで去っているだけに、俺の背中のことを覚えている奴はいないだろう。


 しかも鮫浜支配ではなくなっているとすれば、全く知らない女子や男たちしかいないというのも予想出来る。


「ふふん、ハーレムですって? ハムは作るものではなく、食べるものだわ! 作りだしてなんかいなくってよ?」

「あー……うん、さよりはアレだったな。ハーレムは確かに作らない方がいいな。悪かった」

「どうして憐れみを向けられているというのかしらね。何かおかしなことを言ったかしら……?」

「気にするな! さよりには関係無いぞ」


 あまり賢くは無く、免疫も無いと思っていたが、さよりに横文字は使ってはいけなかったようだ。


「彼女は天然記念物?」

「それを言うなら天然な。あみも大概だと思うぞ」

「……?」


 首を傾げるあみが可愛いと思ってはいけない。

 鮫浜とは反応がまるで違うし、妹でもあるが、男に対して意識をするといったことがないだけなのかもしれない。


 学園に着いたところで二人の手を無理やり引き剥がし、まずは職員室に向かう。


「面倒ね」

「どこへ?」

「教員がいる部屋だ」

「目はまだいるのかしら?」

「いるだろうな。よく出会ってたし……」

「……目?」

「目と書いてサガンという先生がいる。気さく過ぎてうざいが、悪い人じゃない」


 あの人は鮫浜に取り入っていたわけでは無かったが、変わらずいるのだろうか。


「高洲……手続きは終えてる。先に行く。廊下で待つから」

「ん? そうなのか? だけどクラスが同じとは限らないだろ」

「同じ。行けばお馴染みがいるから」

「お馴染み? 上福岡くんのことか? それとも……うき――」

「それ以上言うつもりなら、湊をここで弾き飛ばしてあげるわ」


 さよりの天敵……いや、もうそれ以上のタブーな奴になったか。

 これ以上は言わず、あみだけを行かせて俺とさよりだけが職員室に向かった。


『バシーン!!』


「いてぇな……どこの野郎だ……ったく!」

「いい音をさせるな、相変わらず。久しいな、高洲。いくら親しいからって、野郎呼びは看過できんぞ」


 まだ教員もまばらな職員室に入ろうとしたら、背中に衝撃と痛みを感じた。

 居酒屋バイトをしていたとはいえ、今の背中はかつての盾では無くなっている。


 こんなことをやる奴は、サガンしかいないわけだが。


「そこの教師! とっとと手続きを済ませて下さらないかしら?」

「誰かと思えば池谷いけがやか。高洲を追いかけて転校して行ったと聞いたが、戻りも同じか。仲がいいな!」

「な、なななな、仲なんて良くなくってよ! とにかくさっさと手続きを――」

「何言ってるんだお前らは。手続きなんてもんは、すでに向こうの学校からされているぞ。学園がする事務処理なんて無いようなもんだ」


 いやに手際が良すぎるし、あみの言っていたことも気になる。


「おい、さより! 教室に向かうぞ! 急げ」

「お待ちなさい。どこの教室か知っていて?」

「……だよな」

「ふふん、仕方のない男の子ね。わたくしが先導してあげてもよろしくてよ?」

「じゃあ頼む」

「す、素直なあなたは嫌いでは無いわ。こっちよ」


 この際細かいことは気にしないことにした。


 教室に行けば分かることだが、外観も中身も東上学園なのは間違いが無いだろうが……

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