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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
4章:カノジョの想い

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317.さよりさんのキモチSS 1


 一体なんだというの?


 わたしはただ、湊に土下座をさせようとしていただけだというのに……まさか、浅海さんが――


 事前に打ち合わせをしていた内容と違い過ぎるわ。


「俺は池谷いけがやさんと付き合う。湊には落胆した。任せられないんだ」


「――っ!?」なんて、思わず言葉すら発せられなかったわ。

 確かに湊にはいい加減にして欲しいという気持ちはあったけれど、こんな予定にもないことを言ってくるなんて、何を考えているの?


 だって、浅海さんにはあゆがいるというのに。

 肝心のあゆは、未だに湊、湊……湊。


 年の離れた鮫浜あゆ……彼女は友達ではあるけれど、恋をしたことが無い本物の令嬢。

 もちろん、わたしもそうなのだけれど。


「好きなのかよ? 浅海のこと」

「す、すすす……んんっ! あなたのようにハッキリさせない人じゃないことは確かだわ。そういう意味では好きよ」


 わたしも逃げたことを言ってしまったけれど、湊からは相変わらず『好き』という、たった二文字の言葉、気持ちを聞くことが出来ていない。


 学園にいた時はあんなにも言ってくれていたのに、どうして?


 このまま素直に浅海さんとお付き合いをして、お出かけして……あゆの気持ちが浅海さんに来なかったら、本当にそのまま付き合うの――?


「さよりと呼んでいいわ。今さらのことでもあるし、あなたの脳は弱いのですもの」

「そうだな、さより。じゃあな」


 湊は『また』とは言ってくれなかった。

 だからわたしは、『またね』と言って車に乗り込んだ。


 そのことについて、どうせ深く考えないのでしょうけれど。

 浅海さんは何もかもを見透かしているかのように、わたしを見て微笑んでいる。


 湊に厳しく当たっているけれど、友達以上の感情を押し殺している様に見えた。

 同性であってもあの優しさだけが取り柄の湊に、浅海さんは砕け済みなのね。


 まずは湊、そして彼の近くで、わたしも見極めなければならないわね。

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