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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第9章:恋敵だらけの学校生活

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251.恋するあゆの気持ちSS④ 


 転校して来てから出来た友達は、椿つばき優雨ゆうだけ。


 元々わたしから話しかけることが無いとはいえ、転校生ってこんなものなのだろうか。


 だけど見る感じでは、このクラスは一人の男に数人の女子が集まっていて、他の女子は興味がなく話しかけてもいない。


 その男はどうやら優雨の兄らしく、湊くんに似た不思議な雰囲気を感じる。

 彼を取り巻く女子の中には、闇を抱えている女子もいるっぽいけど、わたしとはタイプが違うので話したくない。


 それなのに、兄と共に紹介された時はお互いに気まずかった。


「優雨ちゃん、話って何?」

「それそれ、それなんだよー! 自慢にもならないけど、兄を紹介するよ!」

「……どうぞ」

「ってことで、コレが兄!」

「ご紹介に預かった、兄こと椿つばき秋晴しゅうせいとは俺! そういう君は沖水あゆさん! 君はツイているよ。この俺の雑知識によって、日常は大きく変わるであろうからね! 遠慮しないでいい。好きなだけ話しかけてくれたら、誠心誠意お答えしよう!!」

「はぁ、どうも……」


 湊くんとは全然違う……こんな面倒くさそうな男は、関わりたくない。


 それなのに常に2人の女子が、この男の傍に立っているのはどうしてなのか。


「沖水さんですよねー! すごい~! 転校生さんなのに、もう馴染んでいるなんてさすがです。どうか素敵な毎日を過ごしてくださいね!」

「あ、ありがとうございます」

「おぉ、愛しのみのりん! 沖水さん、彼女から3つのSを頂けるなんて、何てうらやま!」

「……そうなんですか? S?」

「みのりんは3Sを多用するけど、初対面の人に使うことは珍しく、それでいて……」


 ああ、面倒くさい男だ。面倒な男には、面倒そうな女が取り巻く運命なのかもしれない。


 すごいとか、さすがとか……心にもないことを使う辺りが闇っぽいけど、わたしのソレとは何かが違うだけに、気付いた彼女も対応しづらいみたいだ。


「では、また話をしましょうぞ!」

「あ、はい……」


 もう一人の女子は口も聞かなかったけど、興味は無いからいい。


「沖水ちゃんごめんね~! アレがボクの恥ずかしい兄なのさ」

「ううん、兄とかいればいつでも話が出来るから、いいなぁ」

「むぅ、そうか。沖水ちゃんはいないのかー! それならやはり、湊くんだよね!」


 何でそこで湊くんが出て来るんだろう。この子は、よほど湊くんが気に入っているんだな。


「そんなわけで、湊くんに近しい女子を紹介しよう! 彼女とも友達になって、湊くんのことを共有するのだ~!」

「へぇ……? 近しい女子?」

「連れて来るね!」

「はい」


 そう言って優雨が連れて来た女子は、見覚えがあった。


 芝居じみたセリフで、湊くんの嫁とか何とかを言い放った、長身の女子。


「――! あなたは……どこかで?」

「いいえ、沖水と言います。初めまして……」

「え? あれれ? 何だか空気が変わった?」


 ここで鮫浜と言われるのは避けたいし、思い出されても困る。


 それよりも湊くんとは、結局どういう関係なのかを聞き出すことに時間を使おう。

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