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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第8章:彼女の秘めたる想い

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241.男の娘、本気出す? 1


「あははっ! 全く、湊もおかしなことに巻き込まれ体質だよね」

「そうならざるを得ないのが隣に住んでるから仕方ないんだけどな~」

「突き放さないし、嫌いでもない……優しいからこその結果なんだろうけど、本当に湊は放って置けないよ……」

「浅海?」

「あのさ……」

「うん?」


 クラスも違えば立場的なものも違うせいか、浅海とは全く会わなくなっていたが、一応護衛役ということで、話がしたい時に浅海は顔を見せてくれるわけだが……。


 歯切れが悪い時の浅海は、大抵嫌なことを命令された時か、それ以外の企み……もしくは本人の悩みによるものが大きい。


「友達の湊に頼みがあるんだ。聞いてくれるかな?」

「む? 何をそんな改まるんだよ。ダチだろ? 遠慮するなよ!」


 ……そうは言ったものの、学校が変わっても超絶美少女姿の浅海に呼び出されて、しかも自分のクラスの廊下で立ち話をしているだけで、変な所から汗が出まくりだったりする。


 さよりは浅海の姿を知っているだけに絡んで来ないが、何も知らない野郎どもはそうはいかない。


「おいおいおい~! 高洲は女をとっかえひっかえかよ!」「何人目の女だよ、くそ!」「振られてもネクストが控えているとか、リア充爆発しろ」などなど。


 女ではないんだが……しかし同性のはずなのに、その辺の女子よりも華奢で綺麗な顔立ち、声だけ聞いていればむさい野郎とは、比べものにならない男だ。


「う……おっ!? ちょちょちょ! こ、ここで抱きしめちゃあかーん!」

「(昼休み、オレともっと深い話をして欲しいんだ。だから、D組に来て)」


 浅海が抱きついて来る時は、大体がコッソリ耳打ち。

 しかし誰もが見ている(ほぼ野郎)時にしなくてもと言いたくなるが、よほど内緒にしておきたいということなのだろう。


「……わ、分かった」

「ん、ありがと。じゃ、待ってるから!」

「お、おー」


 抱きついて来たかと思えば、すぐに離れる所も潔い。


 しかしD組とか、そういえば自分のクラスが何組なのかも気にしたことが無かった。


 廊下から教室に入るとすぐに、首を左右に動かし、呆れ顔で近付くさよりが声をかけて来た。


「あなた、つくづく……」

「何だよ?」

「……浅海さんも相変わらずだけれど、あなたはもう少し危機感を持つべきだわ!」

「何の危機だよ」

「な、何って……あのその、ごにょにょ……」

「知っての通り、見た目はああだが男だからな? そしてダチだ。いい加減慣れろ!」

「そ、そうなのだけれど……何だかアッチに行きそうな気がするのよ」

「どっちだよ!」


 さよりの言いたいことは身をもってすでに体験済みであり、そこまでして来ないという自信がないのも確かだ。


 ()()をしてくる時点で、ダチではなくなるからだ。


「……さよりさんが心配しなくても、二重契約なんかしないぞ。心配すんなよ」


 ――と言いながら、無意識にさよりの頭をなでなでしたのも後の祭り。


「あっやばっ……」

「きゃぅぅぅぅぅぅん!! な、ななななな!?」

「悪ぃ、何の意識もしてなかった。そんな興奮することじゃ……って、聞こえてないですか、そうですか」


 顔を真っ赤にしながら、さよりはどこかの世界へ妄想トリップしてしまった。


 こうなるともはや何も手の施しようがないので、放置して自分の席へ戻るしかない。


「よぉ、色男! あいつをあんな姿にさせているのも、みなとのせいだってな?」

「違いますって! 嵐花の前でも男の姿の方が少ないんですよね?」

「あたしが言っているのは池谷……まぁ、八十島でもいいけどよ。その前に八十島(あいつ)はあたしの前にも姿を見せないからなぁ。鮫浜の時に培った、隠密的な行動が染み込んでいるんだろうけどよ……」


 鮫浜についている時は確かにそうだった気がする。ここぞな時にしか、姿を見せて来なかった。


「んで?」

「へ? な、何ですか?」

「人の目に晒されながら会いに来たってことは、とうとうアレか?」

「言っている意味が不明なんすけど……アレって?」

「決まってるだろう? 愛の告白――むぐっ!? な、なにしやが……」

「い、いくら嵐花でもそれは言わせませんよ!! あ、すみません」


 浅海、さより、嵐花……立て続けに、注目を浴びまくっていたことで、さすがに担任の先生に注意を受けた。


「あたしより八十島とか、お前まさか……いや、いいや。さくらの授業に集中しとけ!」

「すみません……」


 とにかく昼休みは、俺も隠密的な動きで浅海に会いに行くしかなさそうだ……。

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