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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第6章:見えない何かからの逃避

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204/345

204.元カノと俺のヨメ? 3


『あなた、もういいんじゃない? ここで口論とか、それは駄目。用事を済ませて、学校に行かないと』


 このまま話し続けると鮫浜のペースに嵌ってしまいそうだったその時、黙って見ていたみちるが声をかけてくれた。


「あ……そ、そうだった。俺たちは買い物に来ただけだった。一日中、学校をサボるつもりはないし、もう行くよ。再会出来たのは奇縁かもしれないけど、鮫浜には俺よりも相応しい人がいるだろうし、もういいよ」

「駄目……」

「いや、駄目って言われてもキミから突き放しといてそんなこと言うのは……」

「会いに行く。湊くんのいる所に会いに行く。行くから……」


 こんなことを言う鮫浜は初めてかもしれない。


 今まで散々俺を監視しまくって、そのことを悪いとも思わなかった鮫浜あゆが、一体どうしたというのだろう。


 例の許婚が何かしたのか、それともこの前出会った父親に、何かを命じられているのか。


「へ、変なことをしないって約束出来るなら……」

「しない。湊くんに会いたいだけだから、だからしない」


 話し始めて何分か経っているけど、怖そうな黒い人は姿を見せて来ないし、側近のような人の気配も無い。


 本当に一人だけで出歩いているということは、何かがあったとしか思えないけど、果たして彼女を信じていいものなのか。


「信じない? 信じられない?」

「……まぁ」

「湊くんに許されるまで、しないから」

「な、何を?」

「ずっとわたしがしてきたこと……覚えていること、だよ」


 色々思い当たりがありすぎるけど、全部ってことになるのだろうか。


「それが何なのかは詳しく聞かないけど、約束出来るなら……俺じゃなくて、そこにいるみちると握手して欲しい」

「ん、分かった。する」


 とんだとばっちりのようなことをさせてしまったけど、みちるは鮫浜と握手していた。


「……湊くん、またね」

「あ、うん」


 意外なことに、あっさりと鮫浜はこの場から離れていった。


 みちるという自称ヨメがいなければ、どうなっていたかは分からないけど、以前の鮫浜とはまるで違うだけに、そのまま二人でどこかに行っていたのかもしれない。


「高洲、気が済んだ?」

「ど、どうかな……でも、ありがとう」

「気にしなくていい。高洲の為にしたこと」


 鮫浜……あゆは、俺やさよりが通う学校に来てしまうのだろうか。


 それでも今の俺の心にいるのは、彼女なんだ――


 鮫浜あゆ、もうキミじゃない。

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