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#ex-06 You cannot have a decent thing to have his involvement.

2016/08/27投稿予定だった分です。

遅れてすみません。




時間は流れて、件の試験の真っ最中。

逢坂全は頭を抱えていた。


「アノヤロウ、全文英語じゃねぇか」


アルファベットの並ぶ問題用紙を眺めながら苦悩する。





252番の試験札を持った全がふらふらと筆記試験会場からでてきて壁に手をつく。

それを見て爆笑する丞と照日。


「テルさん、まで笑うとか」

「いや、これは笑うだろ。落ちた理由が“英語が読めなかった”とかだったら詠も爆笑するだろ」

「で次実技?丞は何番?」

「僕は313番です。結愛は314番、菫ちゃんは106番ですね」

「灯里は251番でテルさんが250番だっけ?」

「おう、で実技ってどうやってやるんだ、丞」

「知ってるけど教えません」

「なんでだよ」

「ははは、存分に苦しんでください」

「いやな予感しかしねぇ」


館内放送で1~50までの人間が呼び出される。

どうやら50人ずつ試験を行うようだ。


「ああ、こりゃ全たちとは違う組だな」

「マジかー」

『51番から100番の受験者の方。B会場にお入りください』


「なんかすごい緊張してきた」

「あ、いた。全、こんなところにいたの」

「あれ?お前菫と一緒にいたんじゃなかったのか」

「菫ちゃんは次呼ばれるだろうからもう試験会場の方に行ったよ?」

「僕もそろそろ結愛と真白さんを探して合流しようかな」

「真白ちゃんは何番?」

「320番だったと思うよ」

「その辺に混ざれたら楽だった気がする」





菫が番号を呼ばれて、同時に試験を受ける49人とともに会場へ入ると、そこには廃ビルがあった。


「え、なんか思ったより」


そこへ聞き覚えのある声でアナウンスが行われる。

恐らくだがフェリシアの声だろう。


『みなさん、ダメージ吸収用のマジックブローチが起動していることを確認してください。万が一発動してなくて死亡しても当局は一切責任を取りません』


自分のブローチを見るとグリーンのランプがついている。


『今回ダメージが超過した場合、組み込まれた転移術式で会場外に排出されます。ダメージの上限は100万に設定してありますが、1撃死もあり得る範囲という事だけは事前に伝えておきます。制限時間は20分です。頑張って生き残ってください』


背後の扉からロックがかかる音が聞こえた。

それと同時に、目の前に5人の人影が転移してくる、が、それは正式には人ではなかった。


白い何か。


菫はそれを見たことがあった。

先日、“銀の鍵”のついて調べたときに出てきた資料にあった生物(?)だ。


そして、その人の様な白い何かは首元に着いたチョーカーの様な何かにグリーンのランプが点ると同時に、こちらに襲い掛かってきた。


資料によると、周囲に存在する動くものを無差別に襲う、様な事を書かれていたが、これは確実に意志をもってこちらに攻撃を仕掛けてきてる。

それに加えて、こいつらは簡易な術式を使い、また、集団としてこちらに攻撃を仕掛けてきている。


逃げ損ねたものが1人、3体の白い怪物に袋叩きにされて脱落した。

体制を整えるため、散り散りに廃墟の中へと進んでいく。

廃ビルのあった土地を囲ってしまい、それを部屋と言い切っているような作りだ。


菫が、3階への階段を上り始めたところ、前を行く魔導師が消滅した。


上へと上がって確認すると、そこには露骨なトラップが仕掛けてあった。

いわゆるペンデュラムという、凶悪なそれは未だ揺れていた。

下からは奇怪な生物の声が聞こえる。そして、この部屋全体どこにトラップがあるかわからない。


「ほんとに試験な?死にそうなんだけど……」


1階では交戦が始まっており、魔法の爆発音が聞こえる。

それと同時に振動でパラパラと天井から埃が落ちてくる。


菫は気づいた。

この建物は簡単に崩れると。


一目散に階段を下り、交戦中で通れない出入り口を無視して、割れている窓を風の魔法で吹き飛ばし急いで外に出た。

外には白い怪物がいたが、先手必勝、頭を吹き飛ばしてその場から逃げた。


頭を吹き飛ばされた怪物は、予想外にも真っ赤な血を噴出して、頭と体に分かれる。

そして、それぞれが再生し、2体の怪物へとなったのを見て、菫は思い出す。

このビルの入り口付近に数十の怪物が集っていたことを。


パニックホラーの様な現状を打開する策も浮かばないまま菫は逃げる。





降り注ぐ魔法の雨。

こちらが攻撃すればするほど向こうの数はなぜか増えている。

あの不思議生物は再生と増殖を繰り返し、この廃墟を取り囲むように攻撃を仕掛けてきている。


「おい、灯里、上に逃げるぞ」

「え?でも、」

「無理だ。持たない」


灯里の手を取って全は階段を駆け上がる。

4階へと登りきったところ当たりで、コンクリートが破砕する音が響き、何かがなだれ込んでくる音がした。

それと同時に、足場が少し傾いた気がする。


「ねぇ、もしかしてだけど」

「これ崩れそうだな……」

「やばくない?」

「やばい」


脱出経路を探す。

すでに崩落が始まっている部分もある。


右往左往している魔導師たちが多くいるこの4階。階段を下る方が危険なこの状況で、全がとった方法は。


「灯里、飛ぶからサポートしてくれ」

「本気で言ってんの!?きゃぁ!?」


灯里を抱え上げて4階から飛んだ。

それと同時に、足元に向けて炎の魔法を放つ。


「サンフラグメント!」


焼き尽くされた怪物は再生が遅く、灯里の魔法でなんとか炎の中に降り立った2人は急いでビルから離れた。





「死ぬ……死ぬ……」


試験終了者の待合室では、ぐったりした全と灯里がベンチに座っていた。

灯里の隣の菫も憔悴しているようである。

そこへ、丞たちがやってくる。余裕すら感じさせるその表情に全は少しイラッとした。


「おい、これ、やばいだろ。死ぬだろ普通に」

「でも生き残ったんだ?」

「おう、死ぬ気で」

「良かったじゃないですか」

「良くねぇよ!」

「まあ、もうすぐ結果出ますから楽しみにしていてください」





誰もがすさまじい緊張感をもって、受付の列に並んでいた。

すると奥の扉が開き、アタッシュケースを持ったネルとフェリシアが歩いてくる。

それぞれカウンターの中に入ると、ネルがアタッシュケースの中身を確認し、フェリシアがコンピューターを操作し始めた。

すると、画面に受験番号が表示される。


100人ほどの番号が表示された。

そこには菫の数字はない。全の数字も灯里の数字もない。

これはダメだったか、とも思ったが、丞や結愛の数字もないのはおかしい。つまりこれは、

そう思った瞬間、モニターに「不合格」と赤字で表示された。


一瞬歓喜に沸いていた一団が一気に消沈していく。

残った面々は、カウンターでライセンスを受け取っていく。


受験番号の都合で全たちより早く受け取ることになった菫はわくわくしながらフェリシアからカードを受け取った。

カードに刻まれていたアルファベットは“D-”。自分としては大健闘だろう。

成績評価をみて改善点を確認すると確かにと、納得できる点が多い。数日“銀の鍵”とともに行動したのもかなり大きかっただろう。


ライセンスを眺めていると全と灯里がやってくる。


「菫ちゃんどうだった?」

「見ろ!“E”ランクだ!」

「私は“E+”だったけどね。菫ちゃんは?」

「“D-”」

「すごーい。さすがだね!」

「ぐぬぬぬ、また負けた」

「おーい、やっと見つけた。どうだった?全」

「お、テルさん」


照日の手には“B-”のカードがある。


「案外取れるもんだな」

「無理そうとか言ってた割にはちゃっかりとってるじゃん」

「まあ相性の問題もあった」

「皆さんお揃いで」


丞たちもこちらにやってきている。


「丞はどうだった?」

「結愛とそろって“B”に上がりました。真白さんは“B+”です」

「……どんどん凶悪になっていくな、真白ちゃん」

「基本ヒーラーなんですけどね、その辺のアタッカーよりは火力高いですよ」

「意味わからん」


「タスク、ユア」

「あ、支部長さん。受けてたんですね」

「ああ、一応な」


テンション低めのリーアムの肩を後ろから来たキャロルが掴む。


「リーアムったら、“C+”だったんだよ。これは一回鍛え直さないと」

「しばらく事務作業ばっかりだったからな。露骨にキレが落ちてる。我がことながら情けない」

「そういうキャロルさんは?」

「“A+”だよ」

「流石ですね」

「まあ、弟子のヨミとサラサに軽く越されてるのが腹立つからそのうちS+まで昇格する」

「が、がんばってください」

「あと、この鈍ってる旦那を“A”まで引き上げる」

「……リーアム支部長頑張ってください」

「ああ……」


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