被害者1人目 本日は絞首刑日和なり
とりあえず3話まで読んで頂ければと思います。
「そんな目で見るなよ、殺したくなるじゃないか」
俺は泣き崩れている夫婦にそう呟いた。まぁ現在両手が縛られており、これから絞首台に向かう俺には到底無理なことなのだが
13段の階段を上りきると足元に扉が開くような切れ目のある床の上に案内される
某お笑い番組である若手芸人の退場用の扉に良く似ている。違う所と言えば顔に麻袋を被せられて首にロープを掛けられている所位だ
視界が途切れる瞬間に見えていたのはおそらく俺の命を握っていると思われるスイッチを持った三人組
特に真ん中はゴミを見るかの様に睨みを効かせている女がいた、こういうタイプの女は残らず殺してきたのだが、その願いは叶いそうにないだろう
ガゴッ!!
そんなどうでもよい事を考えていたら突然の無重力を感じ、首に強い衝撃を受けた
っと思えばそれよりも大きな衝撃を尻に受けた。まさか今さらになって拷問の追加でもあるのか?勘弁してほしいぜ
ざわめく声が聞こえたと思えば目の前が突然明るくなる、そこに居たのはあのくそったれなスイッチを持っていた女であった
自分の両足はあるようだから幽霊ではなさそうだ、足元に垂れ下がるロープは首に続いていた。その時俺は確信した、助かったのだと
絞首刑を失敗した場合に二度目の実刑はない、生き残った場合はどんな悪人でも無罪放免されるのだ
「おい、くそ女!さっさとヒモを外しやがれ!ぶっ殺されてぇのか?」
「え、よろしいのですか?是非ともお願いします」
そう言うと手のロープをナイフで切った後、そのナイフを俺に渡して微笑んでいる
状況が掴めない俺に別の男が近づいて来てこう告げた
「あちゃー、失敗とは珍しい事もあるんですね。お帰りはあちらですので又の機会がありましたらよろしくお願いしますね」
こうしてナイフを片手に外に放り出された俺は「早く殺してよ、約束したでしょ!」っとヒステリックに叫ぶ声を聞きながら、町の中にあてもなく歩きだしたのであった