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変態VS腹黒、勝利はどちらの手に!?

ストックがあるため早めの更新です^^

世ノ(よのもり) (みこと)は、木漏れ日の差す静かな窓際で、自慢のコレクションを片手に優雅な一時を味わっていた。


はぁあ…これもいいけど、こっちも捨てがたいなぁ…

うぅん、、、迷う、迷うなぁ…

よし!今日のポケットにしまって私と一緒に行動するのは、はにかんだ笑顔が可愛いこの一枚!


締まりのない顔を浮かべ、皇が手に持つのは…


私のコレクション、No.26から抜き出されたはにかんだ笑顔が可愛い至極の一枚である帝のフォトグラフである。

皇は常に弟である帝と居たいが、ベタベタしすぎて嫌われるのが怖い為隠し撮りした写真を肌身離さず持ち歩くド変態。

だが、皇曰く、"可愛いものを愛でず、それを人と呼ぶのか?"という残念思考で自分が変態である事を自覚はしていない状況だ。


コンコン


にまにまとしながら選んだ一枚の写真を胸元にしまい、さて続きを…とNo.26を手に取り眺めようとしたその時!

至福タイムを邪魔するかのようなノックの音が皇の耳に届いた。


「なんだ?」


条件反射のように返事を返す。

だが、体は寝室へと大急ぎで向かいベットカバーをはずし、そこから現れる隠し扉に首もとから出した鍵を当て軽く右に捻りながら横にある暗証番号に7桁の数字を打ち込み開け、No.25とNo.27の間に持っていたものを素早く滑り込ませ、目の前に並ぶ100冊以上のコレクションに満足気な溜め息を溢し、手早く扉を閉め先ほどと変わらぬようにベットカバーを戻し、寝室から出てテーブルに乗るまだ温かい紅茶を口に運びノックの相手を待つ。


この間約30秒。


自分は変態でないといいはるが、自慢のコレクションを人に見られたくないために磨いた腕前である。


まぁ、変態的な皇は置いといて…


「皇…今ちょっと時間あるかな?相談したいことがあるんだけど…」


そう言いながら部屋へと入ってきたのは溺愛してやまない弟の帝。

同じ身長さなのに上目遣いの可愛いこと…


ッブ!!!


不意に聴こえた変な音に首を傾げ、皇を見て帝は驚き立ち止まった。

鼻を抑えた皇が血塗れだったからだ。


「こ、皇!?どうしたの!?具合が悪いの!?無理はしちゃ駄目だよ!ほら、椅子に座って!」


皇を心配して強気に言う帝に再度鼻の奥を熱くさせながら、ぐいっとハンカチで鼻をぬぐい帝に話しかける。


「帝、急に来るなんてどうしたの?なにかあった?」


そう聞くと、心配そうに潤んだ瞳が不意に陰りを見せる。

そして、話辛そうに口を開閉し、覚悟を決めたのか徐に口を開いた。


「あの、ね?僕たち、ばぁさまの命令で別々の中学に通っていたでしょ?

それで、その…卒業式の日に色んな男の人に呼び出されてさ、付き合ってほしいって言われたんだよね…」


…?

そいつらは何を言いたいんだ?主語がないぞ?主語が。

手を胸の前で組み、こちらを見つめる帝に再度鼻の奥が熱くなるが、手で押さえることでやり過ごし、帝に確認する。


「…そいつらはどこに付き合ってほしいといっていたんだ?」


そう訪ねると、不思議そうな目をこちらに向け、帝はあぁ、と思い出したかのように苦笑した。


「皇は純粋だから…付き合ってほしいの意味が分からなかったんだね?

何処かにって訳じゃなくて、お付き合いをしてほしいって言われたんだ。男女でするような…ね

変だよね…?僕は男だし、相手も男なのに…」


その言葉を聞いて愕然とした。

私の帝が他人の最愛になる!?

ありえない!私の天使を誰が好き好んで他人に譲るかっ!!

一瞬で般若の表情になってしまうのを隠し、努めて冷静を保ちながら帝に聞く。


「そのばk…あh……くそやr…その性別を超越したらしき方々は今何処に居るんだ?ちょっとお話ししなきゃいけないことが出来ちゃってさ…」


どう始末をつけようか笑顔で考えていたところ


「え?あぁ、その人達なら、戸惑って返事が出来ないでいたら、僕のファンていう子達が笑顔を浮かべながら何処かに引きずっていったよ?

そのあとは見かけなくなったけど…」


と、よくわからないという表情を浮かべて帝は答えた。

それに対して私は


「あの子達か。そっか、今度会ったら誉めてあげなきゃな…でも本当によかった。重いものを運ぶのも、水に浸かるのも今は寒いからしたくなかったしね…」


そう言ってクスリと笑う皇。

それ呼応するかのように、ほにゃりと帝は笑顔を返す。

この光景を麗しい兄弟愛と見るのは、なにも知らない第三者だけであろう。

帝のために蒸らした紅茶を注いでいると、帝からあるお願いをされた。


「それでね、皇…お願いっていうのが…

皇と僕の高校を交換してくれないかな…って。」


ブフゥッと、口に含んだ紅茶を吹き出し(勢いよく首を捻り帝にはかけなかった自分超エロい…間違えた、超偉い!)、動揺を堪えきれず若干吃りながら問いただす。


「みみみ、帝…?帝の通う高校は男子校…だったよね…?こんな見た目してるけど、私の性別、女のカテゴリーだからね…?

しかも、入学式まで後1週間しかないんだよ?うちの高校入るにしても試験を受け直すことなんて出来ないんじゃないかな…?

いや、金を積めば行ける…?むしろ、家の権力使っちゃう…?

…そうだ!そんな高校行かなければいいよ!皇は私が養うからさ!!」


頭を捻りながら色々と案を出す皇を見て、帝は黒い笑顔を千の仮面の下に隠して、言った。


「え、じゃあ、僕…裏口入学するか、中卒ってことになるの…?

裏口入学はばれたらいじめの対象になりそうだし…

中卒は僕、将来は皇と一緒に働きたいのに出来なくなっちゃうんだね…

そんなの嫌だっ!!ねぇ、皇…本当に駄目…?

皇が代わってくれたら、僕…皇の言うこと一つだけ何でも聞いちゃう!

それでも駄目…?」


帝からの甘えん坊攻撃に、腰砕けになりながら、気力を振り絞り言葉を捻り出す。


「だだ、だけど…ね?男子校に女の私は入れないし…それに、私は極度の男嫌いだし…

それはちょっと難しいかなぁ…なぁんて…」


帝は断りをいれようとする皇を見て、うりゅりゅっと涙を浮かべて


「…そっか…皇は僕が嫌いなんだっ!僕がどうなっちゃってもいいんだね…!

今回の学校は男子校で寮制だから、もし、同室になった人に襲われても僕…逃げられないかも…

そうなっちゃったら僕…僕この世界に居たくなくなっちゃうかも…

あ、でも皇は気にしないで…ね?

皇が悪い訳じゃなくて、僕が弱かっただけだから…

じゃあ、僕、支度してくるね…」


そう言って、背中に悲哀を滲ませて、帝はゆっくりと部屋を出ようとする。

しかし、そこに皇から半泣きで待ったが入る。


「っつ、帝!帝!ごめんなさい!私が悪かったから!いなくなっちゃうなんて言わないで!!

私は帝が大好きなの!!ごめんなさぃ!帝の

言うこと何でも聞くから、

絶対に私を置いていかないでっ!!もう一人は嫌だよぅ……っふ、ふえぇん…」


泣きながら近寄ってくる皇を抱き締めて、満足そうに笑顔を浮かべながら帝は囁く。


「皇っ!本当にありがとう!我が儘言っちゃってごめんね?皇に何かあったら、僕を呼んで?直ぐに駆けつけるから!(皇がそいつを気にいる前に抹殺してあげる)

あと、皇は可愛いんだから、無闇矢鱈に愛想を振り撒いちゃ駄目だからね?変な奴が寄ってきちゃうから!わかった?(基本、皇は男に対して地獄を見せるけど、懐にいれちゃうと優しさ100%だからな、念をいれておこう!)

(苛めちゃって)本当にごめんね?(この世で一番、死んでもいいくらい)皇が大好きだよ!

準備は明日にして、今日は久しぶりに一緒に寝ようか?」


泣き疲れて億劫そうに頷く皇を抱き抱えベットに運ぶ。

そして…


「…良い夢を…俺の皇。」

不機嫌な変態VS男子校

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