才能開花
斬りつけられたスバル!!!
一体どうなる!?
なんちってw
『スバルぅぅうう!!!』
デントの叫び声が聞こえる。まだ死んではいない。血は派手に飛び散ったが傷は浅い。みねうちか…。
『す、スバルを助けなきゃ!』
『やめろ。デント。見ているのだ。今のはみねうちであろう』
『だけど…姉さん…』
何とか立ち上がる。血がボトボトと滴り落ち、地面に赤黒いしみとなる。何とかやれそうだ。
『かわさなければこういうことになる。そして自分だけではなく仲間も傷つくのだ』
わかっている。わかっていたがわかっていなかった。こんなに痛いなんて…。傷がずきずきと痛む。
『仲間を守りたいのなら相手を倒すしかないのだ!行くぞ!!!』
そういうとジンクスがまた斬りかかってきた。今度はかわす。絶対。これ以上誰かに迷惑をかけるのはやめだ!
斬りかかってくるジンクスをよく見てかわす。ジンクスは太刀を上に持ち上げ、勢いよく振り落としてくる。…右だ!
動けた!!!
『あ、スバルが動いた!』
そして、俺は両手を合わせ手に蒼い炎を纏う。その瞬間俺の髪の毛の前の方に火がついた。こんな事は初めてだ。頭の炎の大きさに比例するかのように両手の炎が今までにないくらいに大きく光り輝いた。その手をクロスさせ少し間合いを取ったジンクスに飛びかかる。
『蒼炎十字斬り!!!』
見事ヒット!俺のクロスさせた炎の鍵爪は、ジンクスの胸を切り裂き、思いっきり炸裂した。ジンクスの胸に黒こげの大きな☓印が刻まれた。
『ジンクス…』
ジンクスはそのまま倒れてしまった。すぐにハルとデントが駆け寄り、回復魔法を施している。俺もその場に倒れこんだ。傷が痛む。ジンクスはみねうちだったけれど俺の場合そんな事は考えずに斬りかかってしまったからヤバいんじゃないか…。
しばらくして俺の方にも二人が来た。
『す、スゴイよ!!!スバル、あれを一ヶ月くらいで出来ちゃったんだろ。しかも今日で動けたし!スゴイよ本当に!』
デントは若干興奮気味である。
『ジンクスは…?』
『大丈夫だ。あいつは体が頑丈だからな。ああいうことも想定済みだったと思う』
『それなら良かった…』
今日は任務は休むことにした。いくら回復魔法を施したからっと言って派手に動くと傷が開いてしまうからだ。でもジンクスのおかげで動けるようになった。これで足を引っ張ることもない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
三日後。俺は何も食べずにずっと寝ていたらしい。起きた時腹が減り過ぎて動けなかった。
『め、めしぃ…くれぇ』
『何か言ったか、スバル?』
『ハル…腹減り過ぎて…動けないんだ…』
すると白米が山盛りに積まれた茶碗が出てきた。それを一瞬で平らげる。絶妙に美味かった。
『飯を食ったら任務へ行くぞ!大丈夫か?』
『まかせとけ!!!』
飯を五杯食い準備をして任務へ出かけた。
『よーし、今回が正式な初任務だな、スバル』
『あぁ、この前の初任務はダメダメだったからそういうことになるな』
『よっしゃあ、役所まで競争だ!…よーい、ドン!!!』
三人で笑いあいながら役所まで走った。
この数ヶ月後俺達三人に悲劇が起こることなどまだ誰も知らなかった…。