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あなざーわーるど  作者: トム助
存在の証明
27/38

美女対決!?

久々の投稿です。


学校が始まってから勉強、部活、生徒会といろいろ忙しくておまけに修学旅行も近くなってきて投稿する事が出来ませんでした。


待っていただいた方ありがとうございます!

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


目を覚ませばそこはいつかの夏の川、そう俺が溺れたあの川だ。セミがミンミンと鳴き、川のせせらぎが聞こえる。俺はそんな夏の川の中に立っていた。今回は動く事が出来る。声も出せる。


目の前に佐助が現れた。今頃佐助や優斗はどうしているのだろうか。高校でせっせと勉強だろうか。


佐助はシナリオ通りにバシャバシャと溺れ始めた。


今回は動く事が出来る。だから幼き頃の俺が溺れているうちにこの川に潜れば何かがわかるかもしれない。そんなかすかな希望を持ちつつも、あの茂みに目をやる。やはり、真紅の瞳の黒ずくめがそこにいたのである。


すると、いつの間にか溺れていた佐助を助けに来た幼い俺がその場で溺れ始めた。そして、何が起こるか分からないが何かがわかる事を信じてこの冷たい夏の川に潜った。


そこで見た光景は驚くべきものであった。本来そこにあるはずの川底はなく、その変わりに大きな黒い渦があった。それはまるで宇宙のブラックホールのように大きな口をがっぽりと開き幼い俺を吸い込んでいる。


何が何だかよくわからないが、きっとこれはあの黒ずくめの仕業だという事はわかった。


この時点で川から上がり黒ずくめに話しかけるという選択肢もあったが俺はそれを選らばなかった。俺は俺自身を助けるために、触れられないとわかっていながらもあの渦に近寄った。


幼い俺はこれから起こる事など知らずに苦しそうにもがいている。


――――後もう少し、手を伸ばせば…。


俺が手を伸ばした時、黒い渦は俺を吸い込み切り、一瞬にして消え去ってしまった。俺の伸ばした手は何もつかめず、そこにはただの川底が広がるだけであった。


そして、消えた黒い渦のように俺自身の意識も同様に、遠のき始めてしまった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


『スバル、目覚めたか』


聞き覚えのある声に俺は目を覚ました。そこは前、第一関門終了後に来た病室だった。声のした方に目をやるとそこには髪と目がオレンジ色の青年、キリトがよくありがちな丸イスに座っていた。


『もうすぐ、お前の彼女さんの試合、始まるよ』


『…彼女じゃないんだけど、アーリアだろ?誰と?』


『パトリシアとか言う女の人と。彼女じゃないの!?』


しつこいなぁ。なんだか会う人会う人に似たような事を言われる気がする。そんなにお似合いに見えるだろうか。


『ていうか、見てもいいの?』


『あぁ、お前の体が大丈夫ならな』


そう言えば、あの変な夢のせいで忘れていたが、俺はメトルと戦ってボロボロなんだった。しかし、体を見ると思っていたほどのケガではないようだ。病室にいるってことはある程度治療された跡という事らしい。俺は自分の状況をある程度飲みこんだ後、ベットから降りて、本戦会場へ向かった。


『…なんで俺の事呼んでくれたの?』


この治療室から会場へつながる少し薄暗い廊下で、俺はキリトに訊いた。するとキリトはこんな事を言ってくれたのであった。


『だって、彼女さんじゃないにしろ…大事な人なんじゃないの?』


俺は少し顔を赤らめてしまった。それが自分でもわかったので、返事をする代わりに俯いた。


『…それじゃあ、近くに居させてあげないとダメかなっと思ってよ』


そんな会話をしている間にも勝者か敗者かは分からないが、ケガをしてつらそうなつわものたちが担ぎ込まれていた。


『キリトは終わったのか?』


『あぁ。余裕余裕』



キリトは楽しげにそう言った。パッと見キリトはほとんど無傷でまだ戦っていないのだろうと勝手に思っていたが、なかなかの腕前だという事はわかっていたがやっぱり凄いなキリト…。










歓声が響き渡っている。もうけっこう試合が続いているのに例年通り、盛り上がりは収まるどころか、だんだん激しくなってきているかにも思えた。私はいままで何度かこの大会に参加してきたけれど、ここまで勝ち上がれた事は一度もなくて初めてだ。だからものすごく緊張している。そのせいからか膝も笑っている。


目の前にいる相手は、大人のお姉さんみたいな感じで、緑色の長い髪をクルクルとカールさせていてしっかりと手入れしている様子だ。


美人同士の戦いということもあって、観客は先ほどの試合とはまた違った歓声でひしめき合い続けている。え?誰が美人だって?わ、私に決まってるでしょ…。ごめんなさい。ちょっと調子にのっちゃいました。


こんな事を考えて何とか緊張を吹き飛ばそうと思っているんだけどなかなか緊張はほどけない。どうしよう、こんなんで戦ったらそれこそ笑い物になっちゃう。


そのとき、選手控室側から聞き慣れた声が聞こえた。


『おーい、アーリア、緊張しすぎだって!おまえが気にするほどみんな見てねぇから!』


たぶんスバルだと思うけど…それってどういう事!?


『肩の力抜いて、リラックスすればだいじょぶだって!絶対負けないんだろ?』


『…スバル君、うるさいですよ。今から試合始めますから』


審判が迷惑そうにスバルの事を注意してスバルの声援は終わらされてしまった。


―――絶対負けないように、頑張ろうね!


そうだ、私は光の国へ行かなきゃならない!そのためにはこんなところで緊張して負けてちゃ本戦まで頑張ってきた意味がない。そう思うと笑っていたはずの膝も収まり、集中したためか、歓声もあまり気にならなくなった。


『いける!!!』


そう言いながら自分を奮い立たせた。スバルも応援してくれてるんだから勝つしかない!!!


『やっとそれらしい顔つきに変わったわね。アーリアちゃん』


緑色の長髪の女性パトリシアは微笑しながら私を見てそう言った。


『…どっかで会った事あります?』


『あら、忘れちゃったかしら。いや、そうよね、私があなたに会ったときこんなに小さかったんですもの。覚えてないわよね。でも、ちょっと見ないうちに色々(・・)大きくなって。あなたと戦えて嬉しいわ』


どこかの親戚のおばさんのようなセリフを吐くなと私は思った。


『あの~親戚か何かですか?』


そう私が尋ねるとパトリシアは待ってましたと言わんばかりに嬉しそうにこう言った。


『…あなたのお母さんの友達のパトリシアよ。よく遊んであげたじゃない』


この言葉でやっと今目の前にいるパトリシアの存在を思い出した。私たちが光の国からこの炎の国へ来た時に一番最初に家に来て引っ越しを手伝ってくれて私のお母さんと仲良くなったお姉さん…。


確か来るたびに私を我が子のように可愛がってくれて、一緒に魔法の練習なんかもしてもらったなぁ。


『私子どもが出来ない体だったから、本当にアーリアちゃんの事娘みたいに接してあげたのよ。…思い出してくれたかしら?』


『えぇ。パトリシア姉さんですよね。…思い出しました』


『でも本当に逞しくなったと思うわ。…お母さんが亡くなった時のあなたは見ていられないほど可哀そうで…』


そう言うとパトリシア姉さんは両手を顔に当てて俯いてしまった。パトリシア姉さんは本当に私のお母さんと仲が良くて、いつもいろんな事を話していたのを覚えている。


『…でも、今のあなたを見ると…逆に元気をもらっちゃうわね。もしかして、恋でもしちゃったの???』


『ち、違いますよ!!!わ、私には…そう、大切な仲間が出来ただけで…その、あの…』


『うん。いいの、いいの。今そういう感情でも、いつかね。だって年頃だもん。若いっていいわねぇ』


私の話を聞いているのかいないのかわからないけれどパトリシア姉さんは自分自身まだ全然若いのに、そんな事を言って一人で納得してしまった。


『…あなたの魔法、楽しみだわ。お母さんとまた勝負できるみたいで』


そう言えば、よくお母さんと戦っていたっけ、パトリシア姉さん。でも、私は怖くてあんまり見られなかったような気がするけど、でも…


『お母さん以上に楽しませて見せます!』


そう言って私は腰に備えてある横笛を取りだす。これは私がお母さんから受け継いだ大切な横笛、お母さんの形見である。これを使って私はパトリシア姉さんに勝つ!


『…それでは、始め!』


女性同士の話しに少し困惑気味だった審判がやっとのおもいで始めと言うと私は横笛に口を添える。それと同時に向こう側のパトリシアは緑色の長髪を風になびかせ、短い(やいば)を全ての指の間にはさみ、私に向かって走ってくる。


絶対に負けない!!!


そうもう一度念じて、私は横笛に息を吹き込んだ。


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