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あなざーわーるど  作者: トム助
存在の証明
24/38

守りたいから

俺が起きると


そこは…


そこは、


なんと、なんと


…俺が夢にまで見た


…あの、


あの


ふかふかの…


ベットの上だった!!!


このふかふかベットを一人占めしているのである。最高だ!今、最高に気持ちいい。…しかし、寝てしまったアーリアを丸1日ずっと抱きながら、足場の不安定な木の枝の上を渡るのだから、キツイ以外の何物でもなかった。もちろんアーリアは体重的には重くないとは思うが、人間だからやっぱり重たかった。

今もまだ体中がだるい。


『おー、おー、こっちも起きたか、坊主!』


そう言った第1関門監督の女が横になっている俺を見てこう言った。こいつの名前は確か…。


『…あんた、確か…メートルだっけ?』


すると、メートル?だかいう女は俯き、全身がプルプル震え始めた。目元は暗くなっていて見る事が出来ない。


そういえば、この女、ゲームを始める前にメートルって言った男を定規で…。ってことは今の俺の今の状況ってかなりまずくないか!!!俺もペチャンコになっちゃう…。


俺の予想通りに、女の手にはすでに大きな定規があり、未だに震え続けている。


ヤバい、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバい、ヤバい!!!!!!!!


『わ、悪かった、悪かった。ホントにごめんなさい!ゆ、許して下さい!!!』


『私の名前はメトルじゃっ!!!!』


メトルはそう叫ぶと、持っていた巨大定規を俺の顔のすぐ横に、思いっきり振り落とした。ベットがその勢いで揺れ動き、俺の体が宙に浮き、着地した時は無意識に正座をしていた。その時見えたのだが、アーリアはすやすやと眠っている。彼女の寝顔を見るといつも思ってしまうのだが、やっぱり美人であった。

別に好きなわけではないんだが…。


『名前間違えといて何、嬢ちゃんの寝顔に見とれてんのよ!!!』


『…す、すみません…』


俺に弁解の猶予を与えることなく、メトルは怒り狂っていた。


『ったく、本当に…。もう名前間違えるんじゃないよ!!!……んで、本題。あのね、さっき起きてた嬢ちゃんには訊いたんだけど、坊主は続けるかい?』


けっこうさっきは怒っていたのに、メトルの切り替えは早かった。


『…も、勿論です!続けます!!第2関門に進ませて下さい!!!』


すると、メルトは少し困った顔で頭をかきながらこう言った。


『んーとねぇ、進むっちゃ進むんだけど…。実は第1関門を潜り抜けたヤツがこっちの予想以上に少なくてさぁ、全員で25人ぐらいでだいたい半分しかいないんだ。…だから、第2関門は廃止で、一気に本戦スタートでーす!!!』


おぉ、そりゃこっちにとってはものすごくいいことじゃないか。第2関門を受ける事はないんだし、人数も減ったんだから…。


『…でもね、そんだけ少ないのは理由があってさぁ。今回、ずば抜けて強いヤツらが集まり過ぎてさぁ、そいつらが人数を減らすために、ザコを片っぱしから倒しちゃったんだよね。どっかの誰かさんみたいに~』


そういうことか…。強い相手がいるのは良くない。きっとあの仮面やろうみたいのがまだいるってことになると、俺の光の国へ行ける、狭き門がもっとせまくなってしまう。


それに…。


何よりアーリアが心配だ。


仮面のヤツにぼこぼこにやられてしまったのだから、この先の本戦で同じくらいか、もしくわもっと酷い事になるのは可哀そうだ。


『アーリアは…。アーリアは参加するんですか?』


一番、一番気になることを訊いてみた。しかし、俺の顔を覗き込んでいるメトルは俺の事を軽蔑するような顔をしてこう言ってきた。


『あのさぁ、さっきから何なの?あんたら出来てんの?』


『…!いや、いや、いや、違いますよ!!!』


『いや、いや、いや、顔真っ赤だよ、真っ赤!』


メトルはけらけら笑いながら、いつの間にか出した手鏡を突き付けてきた。


『…うぅ…』


俺は本当はその鏡に映る俺自身を見たくはなかったのだが、唐突にメトルが鏡を突き付けてきたせいで、見てしまった。そこには、冷や汗で少し汗ばんで、頬だけではなく顔全体を真っ赤にした、俺が映っていた。


『…まぁ、可愛くていいわ。はっはっはっは…。でも、彼女が出るか出ないかは坊主には関係ないよ』


『か、彼女なんかじゃない!!…も、もっと大切な存在だ』


俺はアーリアが寝息をたてている事を、再確認して尻すぼみな感じで言った。


『…ん?もう結婚してんのか!?妻!?』


『…違うわぁ!!!なんちゅう勘違いしとるんじゃあ!!!』


イタっ!!


考えもしなかった言葉がメトルの口から発せられたので思わず正座していた状態から、跳びあがってしまったところ、体中の傷が痛んだのか…。正座したときは、たぶん、恐怖により痛みを忘れてたらしい。


『…んじゃあ、何よ?』


『…………仲間だ』


『…仲間ねぇ』


するとメトルは窓の方を懐かしそうに眺め始め、しばらくそのまま何も言わなかった。


『坊主、あんたみたいのは昔にもいたよ。仲間、仲間ってねぇ』


『…仲間の何が悪いんだ!仲間と力を合わせるからこそ強くなれるんだ!!!』


…ぽかッ!


『何すんだよ、いきなり殴りやがって…』


『坊主みたいな、青二才には仲間について語り始めるのはまだ早いよ!』


俺の事をもう一度ぽかっと殴った後、再び窓を眺め始めてしまった。


『俺は、俺は坊主じゃねぇ!!!スバルだ!!!!!!』


『…スバルかぁ…』


一瞬窓に目を向けている、メトルの頬に一筋の涙が伝っているように見えた。仲間を大切にしていた誰かの事を思い出しているのだろうか…。


『本戦に行くか?』


ここで俺が迷ってちゃ、全然ダメだ!アーリアがやられても、俺が上に行く。アーリアはまだ弱いから…だから、あいつの事は…俺が守らなきゃいけないんだ


『勿論!』


『本戦は2週間後だ。近くなったらまた連絡する。じゃあ、健闘を祈るよ』


それまで目を向けていた窓から、悲しげに目をそらし、メトルは部屋から出て行ってしまった。もうメトルの瞳には涙はなかった。


病室に沈黙が訪れる。アーリアはまだ、眠れる森の美女のように眠っている。


『…俺が守るんだ』


窓には満天の星と満月が夜空に浮かんでいた。


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