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あなざーわーるど  作者: トム助
始まりと
10/38

ストーカー魔導士、再び

デントは南エリアでハルが毒により危険な状況に置かれていることなど全く知らず、迷い人レンジを探し続けていた。もうどれくらい探しただろうか。かなりハイペースで探しまわったため喉が渇いてしまった。


水を求めて歩き回っているとどこからかせせらぎが聞こえる。音のする方へ歩みを進めるとそこには川があった。


ラッキーと思い休憩がてらに水を飲みほす。零下の森によって冷やされた冷たい水がのどの渇きを潤していく。その瞬間、俺は何かに顔面を思いきり蹴りあげられ、五メートルほど後ろ側に吹き飛ばされた。顔に痛みが走り、続いて何が起こったんだという疑問が湧く。


『久しぶりだな。電気少年』


どこかで聞いたことのある声が聞こえる。誰だったろうかと思い顔を上げると全身真っ黒で白いマフラーのストーカー魔導師が立っていた。


『変態ストーカー魔導士フリードめ!さっき見て驚いたけど、おまえハクの仲間だったのか!』


『前はお遊びでやってたからな。魔力もたまったし、俺は今回は本気出すぜ』


『お前がこの俺に勝てるわけねぇだろーが』


『そんな口を叩いていられるのはいつまでかな』


フリードはそう言うと両手を合わせ前回でもおなじみのあれをやってくる。


『水竜弾!!!』


前戦った時よりはるかに大きく、速くそして今回は水の塊ではなく竜の形をしている。その水の竜をかわすとこちらも負けじと反撃態勢に入った。


電気斧(ボルトアックス)!』


俺の手には光り輝く電気の斧が形成され、その斧でフリードに斬りかかる。しかし、フリードは水に身体を溶かしてしまい消えてしまった。


ちっ…。水の中に逃げやがった…。


すると川の上流の方から水が大量に流れてきて川が氾濫し、当たりは水浸しになってしまった。


『…「水没(サブマーション)」だ。これで俺が水となって動ける範囲が増えたぞ。俺の勝ちだな』


どこからともなく現れたフリードは水に両手を合わせた。


『水竜の舞!!!』


水に合わせた両手付近から水が揺れ動きそれはやがて生きているかのような竜を五体作り上げた。フリードが両手を振りかざすと、水竜達は一斉に攻撃を仕掛けてきた。


一体目に攻撃してきた竜は電気斧(ボルトアックス)で首を斬り落としたが、次の竜の攻撃をかわしきれず竜の水の中へ入ってしまった。


息が出来ない…!


溺死ほど苦しいものはないと思ったがその時ふと思った事があった。フリードは水に足が浸かっている。という事は電気を流せば水に触れている者すべてに電気がビリビリっとなるのではないか…。この水は純粋な水ではないはずだ。


これしかない!


苦しい中で、両手を合わせありたっけの魔力を両手に集中させる。放電まで五、四、三、二、一…。


『ボルトスパークっ!!!』


俺の両手から迸るすさまじい閃光とともに半端ない電圧の電気が流れ出し、当たりには青白い電気の火花が飛び散る。それとほぼ同時に俺は水竜から解放され久しぶりに息をした。向こうには黒こげになったフリードがいた。


『…黒こげストーカー魔導師の出来上がりっと…』


『…まだ、まだだ…』


丸こげのフリードはうなり声のような声を出しながらよろよろと立ちあがる。あれだけの電気をくらってまだ気絶していないなんて、こいつは一体何なんだ!?


『貴様は俺を本気で怒らせた…。水にまみれて死にゆくが良い!!!!!』


そう叫ぶとフリードはものすごい速さで青い魔法陣を作り上げ、魔法を唱えた。


螺旋水流(ドリルストリーム)!!!』


フリードのは足元の魔法陣に両手を合わたと思うと今までにないほどの勢いでぐるぐると水がドリルのように腕に纏わりつき始める。


『うおぉぉぉぉぉおおおおお!!!』


大きく後ろに勢いを付けて両手から放たれた水流は、二手に分かれ、それぞれが不規則にうねりながら、目にもとまらぬ速さで飛んでくる。


この勢いの攻撃は受け止める事は不可能だ。でも、かわす事の方が不可能だと俺は判断した。この状況、先ほどとは相手の魔力が強くなっただけで、フリードの体に水がついている事については何ら変わりないはずだ。


もう俺自身の魔力は少ないと思うけど、ここでやらないでいつやるってんだ!


『紫電雷撃っ!!!』


先ほどとは違って紫色に迸る電撃を右手に発生させ向かってくる水流に投げつける。その瞬間激しい電撃と水流とがぶつかり合い凄まじいエネルギーが生じる。あたりは俺の電撃によってピカッと光り、思わず目を瞑ってしまった。


まぶしさで目がまだちかちかとするが、なんとか目を開けると、フリードはプスプスと音をたてて黒こげになっている。目は完全に白目を向き、気絶していた。


こんなにも大量の魔力を一気に使い果たしたのと、やっとこのストーカー魔導士を倒せたという安堵で、俺は気を抜いてしまい、目の前は真っ暗になってしまった。

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