航海中の出来事
ミナム達を乗せた戦艦マリハは、サカオ出港後、南進一路マリハの中心メイジへ向かった。
艦長ベッツィーは船内及び航海の状況報告を受け艦長室へ戻った。
そして、ミナム達を艦長室に呼んだ。
艦長室に向かうミナム達、その中ソウシが自分の体の異変に気付いた。
なんだ?この気持ち悪さわ?そう思いつつも持ち前の気迫で耐えていた。
艦長室についたミナム達にベッツィーが今回の予定を説明した。
「本艦は、まずメイジへ向かいます。」
「メイジ?」
そう言って言葉を詰まらせるソウシ、そして、カーネルが
「メイジって。ビキニの手前のマリハの国でしょ?」
「そうだが・・・」
「それじゃ・・」
あせるカーネルに対し、至って冷静なベッツィーは胸から差し棒を取り出し、伸ばした後
その棒で机の上の海図を指し示した。
「ここが、ビキニです。そして、カーネルさんの言う通り手前がマリハです。」
「じゃぁ・・・どうして、直接、ビキニへ向かわないのですか?」
「ここが、ルーシー海賊団の本拠地です。この海域にはルーシーとファーファを中心に約20隻の海賊船がいます。」
ベッツィーが示した先は、ビキニの国の沖合いにある鬼岩島であった。そして、次にマリハの沖合いを示し。
「そして、ここの海域にはにはスクィニーがそして、マリハとビキニの間の海域には、クリオ、キアにはヘイオが展開している。」
そう言って、次々とその場所を指し示した。その状況を聞いたミナム達、いつも真っ先に質問をするソウシだが、黙り込んでいた。
う~気持ち悪い・・・・そう思い必死に耐えるソウシ、ミナムは、ソウシが何も聞かないことをおかしいと思いながらもベッツィーに確認した。
「じゃぁ・・・このスクィニーをまず倒さないと、ビキニへは、行けないってことですか?」
「まぁ・・・そうだ・・・仮に行けたとしても、討伐隊が来たとなると、スクィニー、クリオ、ヘイオ、がビキニに集合することになる。」
「ってことは、」
「まったく勝ち目がない・・」
ベッツィーの言葉にしばらく固まるミナムだったが
「じゃぁ・・各個撃破しかないってことか?」
「その通りです。」
「しかし、スクィニーって一体どんな奴だ?」
「スクィニーは、元々マリハを中心とした海賊団で、現在はルーシー海賊団に吸収されています。10隻の海賊船でこの海域ににらみを利かせてます。」
「うわ~10対1か~厳しいな・・・」
ミナムの言葉にニヤリとするベッツィー
「大丈夫です。」
「え?大丈夫って?」
「海賊船は基本的に1隻毎で行動します。ですから、1対1になります。それに」
「それに・・・メイジには、コウアとセツの2隻の軍艦が待機しております。」
その言葉を聞いてほっとしたミナム達、その時だった。
「う・・ごめん・・・」
そういい残しソウシが、艦長室から飛び出していった。
「ソウシ殿?」
「ソウシさん?」
「艦長、申し訳ないソウシ殿を連れ戻してきます。」
カーネル、ミヌは、慌てて部屋を飛び出しソウシを探しに言った。
「ミナム殿」
呼び止められたミナム、自分を指差し立ち止まった。
「俺?」
「たぶん、トイレですよ・・ソウシ殿は?」
「トイレって?」
「船酔いでしょう・・・それとトイレはそこを出て、右にありますから・・・」
甲板所へ飛び出したカーネルとミヌ・・・甲板上でソウシの姿を探した。
その頃、ソウシの姿は、ベッツィーの予想通りトイレにあった。
便器に向かいもよおすソウシ・・・情けない・・・一体どうしたんだそう自問自答しながら
身動きが倒れなかった。そんな時だった。
トントン
扉を叩く音がした。そして
「ソウシ殿・・・大丈夫ですか?」
ミナムの声がしてきた、ミナム殿何故?ここが・・・・自分の醜態が恥ずかしい
なんとかせねば・・・
「だ・・・だいじょうぶ・・・です・・・」
かすかな声をあげたソウシ・・その声を聞いたミナムがもう一度ノックをしようとすると扉がひとりでに開いた。
そこには、便器を抱え、座り込んでいるソウシの後姿があった。扉が開いたことに気付かないソウシ・・・
ミナムはソウシの横にしゃがみ両肩に手を添えた。そして、耳元で
「ソウシ殿・・・大丈夫ですか・・・」
そのことに驚愕したソウシ、うわぁーこんな醜態・・・見せたくなかった・・・そう思っていたが、ミナムの優しい言葉に戸惑いを覚えた。
その時だった。
「うっ・・・」
もう一度もよおしてしまった。その時、ミナムはやさしくソウシの背中をさすり、
「落ち着いたら休んでくださいね・・・」
ソウシが落ち着いたのを見計らって、すーっとソウシから離れ、しばらくして、コップ一杯の水を汲んできた。
「これでゆすいでください。」
ミナムの言われるがまま、口をゆすいでぐったりしたソウシを見て、
「歩けますか?風当たりの言い場所に行きましょう。」
うつろな目を上げただじっとミナムを見つめるソウシ、その様子を見てミナムは両手でソウシを抱き上げた。
自分の体ふあーと持ち上がった時、、今まで男に抱きかかえられたことのなかったソウシは、
カーっと血が頭に上っていく自分に戸惑いを覚えた、俺は一体どうしたんだ。ただ朦朧とした意識の中
黙って自分を持ち上げ運ぶミナムの顔をジーと見つめていた。やがて甲板に出てきたミナム、その姿を見た
カーネルとミヌが走って近づいてきた。その様子を見て慌てた降りようするソウシだったが力が入らない。
ミナムのそばに来た二人、まずカーネルが
「ミナム、どこに!」
と言おうとして、ミナムがソウシを抱きかかえているのを見て言葉に詰まった。
「ソウシさん・・どうしたんです?」
そう聞いてきたのは、ミヌだった。
「船酔いだ・・・」
ミナムはあたりを見回しながらそう答え、やがて、風通りのよさそうなところにソウシを降ろそうとした。
「船酔いって?」
陸上でしか過ごしたことがないカーネルとミヌは、不思議そうな顔をした。
「船って揺れてるだろう・・・これで・・・人は酔うころもがあるんだ」
ミナムの適当な説明にまったく意味のわからない二人、次の瞬間、ミヌがボソッと
「うらやましぃ・・」
「あのなぁ~・・・」
そう言ってミナムはようやくソウシを降ろした
「ソウシ殿、大丈夫ですか?」
ミナムの言葉をかすかに聞いたソウシ・・・
「ああ・・」
「意外と軽かったですよ」
ミナムの冗談にドキッとしながらソウシは
「バカ・・・」
カーネルがミナムの背中を手で引っ張って
「いいなぁ~」
そんな時、ベッツィーがやってきた。そして、ソウシの様子を見てミナムに話しかけた。
「落ち着きましたか?」
「まぁ・・」
「じゃぁ・・・これを・・・」
ある薬をミナムに渡した。
「これは?」
「宵止めです・・・眠くなるので・・・もう少し落ちついたら飲ませてください・」
しばらくして、ミナムはソウシに宵止めを飲ませ、ベットまで連れて行った。
静かに眠るソウシだった。
しかし、この後、ミナムがどういう目にあったのかは、知りもしなかった。