戦艦マリハへようそこ
翌朝、カサオ海軍司令部に着いたミナム達一行を迎えたのは、海軍司令長官、ハリー提督だった。
「これは、これは、ソウシ殿、そして、ミナム殿・・・長旅ご苦労でしたな。」
「ハリー提督、この度、有難く思います。」
そう言って、頭を下げるソウシ
「いや・・礼に及ばんよ。」
ハリーはそう言うと蓄えた髭を自慢げに触りミナムの方を見た。
「君がミナム殿か?」
その言葉にミナムは、思わず名刺を探し始めた、ヤベーどこ行ったかな?
ごそごそしているミナムに、カーネルが肘でつついて
「何しているのよ」
それに気付いたミナムは慌てて笑顔を作った。
「私、ミナムです。よろしくお願いします。今日は・・名刺を忘れたみたいで・・」
そう言ってお辞儀をした。
「め・・・めいし?」
その言葉に驚くハリー・・・
「何・・言ってるのよ」そうつぶやき頭を抱える3人、しかし、ハリーは至って冷静に
「かねがね・・噂は聞いているよ。」
そう言うとハリーはミナムの目の前まで来て手を差し伸べた。
「はぁ・・たいしたことはしていないんですけど・・」
ミナムは、ハリーの求めに応じ握手をした。
「まぁ・・座ってください。」
言われるまま座るミナム達。やがて、机を挟んでハリーがミナム達の前に座り、その机に両肘をつき、顔の前で手を組んだ。そして、
「実は、予定していた戦艦”ビキニ”が故障しまして・・・船が変わります。」
その言葉に聞いてソウシが顔を上げハリーに聞いた。
「それでは、今日の出港は?」
「それは問題ないです。”ビキニ”よりは一回り小さいですが”マリハ”を急いで準備にかからせておりますので。」
「そうですか。」
ハリー提督の一言に安堵するミナム達。
「それと出港は、予定通り午後12時ですのでご安心を。」
「それは、乗船させていただけるだけでも有難いことですので。」
そこへドアをノックすると音がした。
「マリハ艦長ベッツィーです。」
「入りたまえ。」
はやに入ってきたのは、青い目をした長髪の一瞬女かと見間違えるほど美人の男が立っていた
しかし、その顔には大きな傷があった。その男は、物静かに入ってきて提督に敬礼をした。
「ベッツィー君、座りたまえ」
「はっ」
そして、ベッツィーは、軽くミナム達に頭を下げミナム達の横に座った。
「彼が戦艦マリハ艦長ベッツィーだ。」
そう言って、ベッツィーを紹介する提督
「そして、彼らが、ルーシー討伐隊だ。」
その言葉を聞いて眉をひそめるベッツィー、チラリとミナム達を見て、
「提督正気ですか?」
「ミカドの御意向だ。」
「そうですか。ところで、今回の作戦に本艦だけではないでしょうね。」
しばらく、黙り込む提督
「すまぬ・・」
「それも・・・ミカドの」
「そうだ・・」
ベッツィーは、しばらくうつむいていた。
そして、
再びミナム達の方をしばらく見たベッツィー
「わかりました。」
その言葉を聞いて、提督は、
「さ・・・挨拶を・・」
ミナム達は、ベッツィーと挨拶を交わし、提督の部屋を後にした。
ベッツィーの後を着いて行くミナム達を見て、本当に大丈夫か?こいつらで?
ソウシ殿は別として、あのミナムって奴。何なんだあの軽い格好は、しかも
首に紐をぶら下げて・・・本当にこいつら・・・あのミドリを始末したのか?
そう考えるベッツィーは、ソウシに話を聞いてみた。
「ソウシ殿、ルーシー討伐は、真にこの4人だけなのですか?」
「いや・・・ビキニ国の衛兵が参加すると聞いておるのですか。」
「そうですか・・」
こいつら何も聞いていない・・そう悟ったベッツィー
やがて、岸壁に着いたミナム達一行
「あれが”マリハ”です。」
ベッツィーが指したその先には全長約20mの戦艦”マリハ”の勇姿がそこにあった。
「ミナム殿、戦艦マリハへようそこ、艦長ベッツィーだ、短い航海だが宜しく。」
そう言って右手を差し伸べた。