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リーマンクエスト  作者: Seabolt
南海での出来事
65/201

開門

ミナムの方を振り返ったソウシは、手招きをしてミナムを呼んだ。


「ミナム殿」


えっ?おれ?という感じで自分を指差したミナム、思わず変な返事をした。


「俺?」


ソウシは、頷き、門の方を指差した。


「あの門・・開けられるかな?」


ミナムはソウシが指差した方を見た。そこには幅5m高さ10mの鋼鉄製の扉があった。


それを見てただ驚くミナム・・・


「え・・・あれ?」


その会話にカーネルが割って入ってきた。


「無理よ、あの門は、そう簡単に開かないわよ。いくらミナムの力でも・・・」


しかし、ソウシは少し笑みを浮かべ


「空いたらどうします?」


ソウシの言葉に驚くカーネル・・・


一方、ソウシの笑みが気になったミナム


「ソウシ殿、何か良いアイデアでも?」


そう聞いてみるとソウシが3人を手招きした。


こそこそ話すソウシ・・


「えっ?本当に?」


「そうです。」


「そんなことできるの?」


「やる価値は十分あります。」


その光景を見ていた警護隊員がいい加減にしろよ。どうせ開くことないんだから早くどこかに行ってくれそう思いつつ、こそこそしている4人に声をかけた。


「何こそこそしてるんだ。」


その言葉を聞いて振り返るソウシは、門を指差して


「この門が勝手に開いた時、お咎めはないよな」


警護隊長はその言葉を聴いてあきれた。


「何を言ってやがる。この門が勝手にあくはずがないだろ!」


ソウシはもう一度繰り返した。


「もう一度聞く、この門が勝手に開いたときは、お咎めはないよな。」


ソウシの言葉にあきれた警護隊長は叫んだ。


「ああ・・・そうだ・・勝手にしろ!!」


普段、この門は、警護隊が開閉しない限り、決して開くことはない。


しかし、かつてこの門が勝手に開いたという伝承があった。


それは、グレースの伝承で、初代ミカド 超神帝がこの門の前に立つとひとりでに門が開いたというものであった。


この伝承に基づき、門が開いた時は神が通ったとされ、その時に、門を勝手に通過しても罪に問われないことになっていた。ただし、門を壊さずにという条件が付いていた。


しかし、これまでこの門を開けた者はいなかった。


ソウシは、ミナムの方をポンと叩き、門を指差し


「さぁ・・・ミナム殿。この門を開けるのです。」


「え?・・・俺?」


驚き自分を指さすミナム


「そうです、この門は押すと上へ開く構造になっています。ですから外向きに押してください。」


このソウシの言葉が警護隊員の笑いを誘った。


「そんなに簡単に開くものか。」


警護隊の笑いが渦巻く中、ミナムは自分を指さし


「俺が? こう?」


門を押すしぐさをしてソウシの方を見る。


すると頷くソウシ。


再びミナムは自分を指さし今度はカーネルとミヌを見ると


腕を組んでいたカーネルは


「まぁ・・・やってみれば?」


ミヌはグーにした両手を顔の前に出し、ガッツポーズをして


「ミナムさん、ガンバ!!」


「ガンバ・・か?」


ミナムはやれやれと言った表情で両手を上げ天を仰いだ。


そして、おもむろにその扉の前に立ち、両手を扉にあてた。


「無駄!!無駄!!」


そう言って大笑いする警護隊員達・・・


ミナムが少し力を入れるが・・・


やっぱり動かない・・・


「やっぱり。うごかねぇだろう・・・がはは!!」


警護隊員は、ミナムの光景を見てさらに大笑いした。


ミナムは、扉を押している体制のままだった。


もう少し入れるか・・・


壊さないようにと・・・さらに力を入れた。


すると



ギギギ



扉から物音がしだした。


「へ?」


その音を聞いた警護隊員たちは驚き、笑いが一瞬で止まった。



ギギギギー



徐々に開いていく扉・・・・


その光景を見て、ただ驚く警護隊員達


対照的にミヌははしゃいで叫んだ


「ミナムさん!!すごいです~!!」


やがて、その扉はミナムたちが通れるほどまで開いた。


ソウシは何事も無かったかのように扉の外に出て、カーネルとミヌに話しかけた。


「さっ・・・カーネルさん・ミヌさん。こちらへ・・・」


ソウシに即され門の外に出たミナムたち、ソウシは振り返り隊長に声をかけた


「隊長、扉は勝手に開いたぞ。」


その言葉を聞いても目の前の状況が理解できない隊長


「隊長!!!」


ソウシが声を荒げた!!!


「は・・・はい!!!」


「扉は、どうなった?」


「はい・・・勝手に開きました」


「では・・・これにて・・・」


そう言い残しソウシは頭をさげて


「ミナム殿、手を放して下さい」


「はい・・」




バーン!!!




ミナムが手を放した瞬間、扉はしまった。


その光景に圧倒された警護隊員達、しばらく、呆然としていた。


「あ・・・・」


「隊長・・・」


「これは・・・勝手に開いたことにしよう、さもないと・・・」


「さもないと・・・」


「俺たちの命が・・」



逢坂の関を通過したミナムたちは、次の目的地、カサオへ向かった。



その頃、京ではミナムたちが逢坂の関を通過したことがミカドに報告された。


「何、勝手に開いた?どういうことじゃ?」


「は・・陛下・・・ミナムが通ろうとすると扉がひとりでに開いたそうです。」


「扉が?  一体どうなっておるのじゃ!!真相を究明せ」


開くはずがない・・・・あの鋼鉄製の扉が何かの間違いじゃ。そう願うミカドだった。


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