うたげ?
ソウシを先頭に歩くミナム達、気がつくと周りは人、人、人
ミナム達の姿をひと目見ようと人だかりができ、身動きが取れなくなってきていた。
そう彼らが両刀使いのミドリを倒したという噂はすでに京中に広まっていたのだった。
ソウシが振り返りミナムに話しかけた。
「ミナム殿」
「はい。」
「宿舎にもどりませんか?」
「そのほうがよさそうですな。」
何とか宿舎に戻れた3人・・食堂でとりあえずお酒を片手に
小さな歓迎会をはじめた。
コップを持った4人、ミナム、カーネル、ミヌの3人はニコニコしているのと
対照的に、一人落ち着いた顔のソウシ
「ソウシさんの加入に乾杯!!」
互いのコップがなった。
歓迎会とはいえ、多少のあてと酒がある程度だった。
まず一口を飲んだ4人、コップを置いて話しかけたのはミナムだった。
「ところでソウシさん」
「なんですか?」
「いつ出発ですか?」
「明日、ミカドから連絡があります。」
そう言って一口飲むソウシ・・・
「いきなり明日ってことはないですよね。」
「それはありません。大体、通常2~3日後くらいです。」
「そうですか。」
ふとミナムが見るとソウシのコップが開いていたので、注ごうとすると
「いいですよ。そんなに気を遣わなくても。」
「まあ~そう言わないで」
ミナムはソウシのコップに酒を注いだ。それを見ていたカーネルとミヌが
「私たちも、カラなんだけど・・・」
ミナムが二人を見ると確かにコップがあいていた。
「二人ともそんなに強かったっけ?」
そう言いながら二人に注ぐミナム
「ところで、ソウシさん、今回なぜ一人なんですか?」
徐々に酔ってきているカーネルがミヌに注いでいるときに声を挟んできた。
その言葉に、思わずぐびっとコップのお酒を一気に開けてむせるソウシ
今度はそれを見ていてたミヌ
「やはり・・見張り役?」
しばらく、むせていたソウシは、やっと声を出した。
「実は・・・」
「実は?」
「3番隊は京の警護で動けなくなったんです。」
そのソウシの言葉に納得がいかない3人、首をかしげていたミナムが
「でも、この間まで一緒に・・・」
「そうですけど・・・」
「じゃぁ・・なぜ?」
ソウシはため息をついて、観念したかのように
「ちょっと・・」
3人を近くに来るように手招きをした。
しかたなく、耳を寄せる3人にソウシはこっそりと話した。
「実は、ポメラ討伐に行った2番隊が行方不明なのです。」
しばらく、固まる3人・・・
「ええ~!!」
「黙れ!!」
大声をあげる3人を大慌てで鎮めようとするソウシ・・
「ということは?」
ぽつりと言って、顔を暗くするミナム
「ひょっとして・・」
ミナムに合わせるように暗くなるカーネル
「グレースもやばいってこと?」
どーんと暗くなるミヌ
「え~い!!!大声を上げたり、暗くなったり!!」
その様子を見て、苛立つソウシ
「まっ・・いっか」
楽天的な声をあげたのはミナムだった。
「でも・・」
「ルーシーってのを何とかしたらいいんだろう」
「ミナム殿、なにか秘策でも?」
そう聞くソウシに
「いや・・何もない・・・ところでルーシーってどんな奴?」
その言葉を聞いてガクッとうなだれるソウシ、カーネル、ミヌ
「何も知らんのに、いい加減なことを言わないの!!」
ミナムに吠えるカーネル
「カーネル・・そんなに吠えなくても聞こえてるよ。で?どんな奴なんだ」
その発言を聞いて、頭を抱えるソウシ、カーネル
様子を見ていたミヌがミナムに声をかけた。
「ところでミナムさん・・それを聞いてどうするんですか?」
「あ・・敵を知っとけば、なんとかって、兵法の基本だよ」
「なんとかって、えらくいい加減な兵法ですね。」
「まぁ・・いいじゃねぇか。で、どんな奴なんだ。」
そして、ソウシはおもむろにルーシーのことを語った。
「女海賊ルーシー、約1000人の部下と大小約100隻の船団を有し、南の海で暴れている大海賊
特に、船長ルーシーは、魔法だけでなく武力も強く、しかも、美人。」
「女で?」
驚くミナムを3人がギロリと睨む、
「あ・・・」
息をのむミナム、ここにも強いのがいたんだ3人も・・・
ミナムが黙ったのを見て、ソウシは続けた。
「そして、ルーシーには5人の大将がついている」
「5人も・・・」
「そう5人もです。」
「ルーシーを入れると6人か・・」
そういうとミナムは酒を一口飲み、
「今日はここまで!!」
「えっ?」
話を折られたソウシは、きょとんとした。
そして、しばらくたわいもない話をし、打上げの時が来た。
「さて、よく飲んだし、もう休もうか・・・」
「ミナム殿。」
「なにか?」
「今日は、先にお風呂に入ってください。」
ソウシの言葉に酔いながらも耳を立てるカーネルとミヌ
「えっ?」
「今日は、風呂が一つしか開いていないんですよ。」
「えっ?だったら、ソウシさん達女性が先で。・・」
「たぶん、今日は、私たち4人だけしかここに泊まっていないので、ミナム殿が
先に入られたほうが、ゆっくり入れるんで私にとってはいいんですが・」
「わかりました。お言葉に甘えて先に入らせてもらいます。」
こうして彼らは、自分の部屋に戻った。