仮契約
ミナムから離れたカーネルとミヌ、カーネルはやや反目しているかのように少し目がきつくなっていた。しかし、先に声を上げたのはミヌだった。
「あなたの名前は?」
カーネルは腕を組んで、軽く息を吸ってミヌを睨んだ。
「カーネル、ミナムと契りを交わした仲よ」
すると今度はミヌが大きく息を吸って、ため息を吐くように話をした。
「冗談でしょ」
「いいえ、本当よ」
カーネルの言葉にムッとしたかのように今度は、ミヌもカーネルを睨んだ。そして、ミヌは、カーネルに近づいた。
「うそおっしゃい。何なら今ま調べましょうか」
そう言ってミヌは、カーネルに近づき、股間に手を入れようとした。慌ててそれを阻止するカーネル
「何すんのよ!!」
カーネルの言うことなんか聞く耳を持たないミヌは、カーネルの手をどけようとしていた。
「調べるんですよ。契りを結んだかどうか」
「結構よ。やめなさいよ!!」
ミヌの手を振りほどいたカーネルは、ミヌから少し距離を置いたのだが、ミヌはすぐにその距離を縮め、左手を振りかざした。
「本当のこと言いなさいよ」
そういうとミヌの振りかざした左手が青白く光りだし、ボール上のものができてきた。やがて、そのボールの周りを小さくバチバチと電撃が走りだした。それを見たカーネルは、慌てて下がった。ミヌの気迫に押されてしまったのだった。
「わかった、わかったから」
「じゃあ話すのね」
ミヌはそのボールを持ったまま言うと
「まだよ」
カーネルは、真実を語った。そして、婚約の話もなかったことを、しかし、そんなカーネルを見ていたミヌは、そのエネルギーボールを消すとニコリとほほ笑んだ。
「そう、じゃぁ・・私とあなたはライバルね」
その言葉に、カーネルは、戸惑った。
「どういう意味?」
「だって、お互いが信頼しないと契りを結んでも意味がないでしょ?」
「そうだけど」
「そしたら、とりあえず、仮の契りだけでもしておかないと」
「仮の契りって?」
「カーネルさんは、左手に契りの契約をサインするの。そして、私は右手に」
「どういう意味?」
「仮の契りの効力は半分しかないの、これから恋のライバルになるあなたを認めるから、あとで本契約しないと死んでしまうけどね」
「なぜ私が左手なの?」
「あなたが最初に見つけたから、心臓に近い方をあなたに渡します。それにミナムさんはあなたの婚約者と決闘をしなければならないのよ。その時、あなたはミナムに魔法で応援できないわよ」
「あ・・・」
「ミナムは、まだ、未熟だから。私が、影で彼を守るわ。だから」
「ところで、何故、ミヌは、ミナムのことをそこまで」
「私は、ある定めを受けたの、ミナムを守るという。もうすぐ、斎宮のヤマト姫が来ます。それまでに」
そう言って二人は、ミナムのもとに戻った。
そして、一人待つミナムにカーネルは声をかけた。
「両手を出して」
わけもわからず、両手を差し出すミナムに、二人は、すかさず、契約の呪文を唱え、ミナムの両手は青白く光出した。
ただ、「わっ!!わっ!!」驚くミナムを尻目に
カーネルは、左手に、ミヌは、右手にそれぞれ仮の契りのサインをした。しばらくすると、青白い光は消えた。ただ、呆然としているミナム、ふと、われに返って。
「今何した?」
カーネルとミヌは、にこやかに笑って、
「私たちとミナムの契約の魔法をしたの」
「契約って?」
不思議そうに聞きなおすミナム。それに対し、カーネルが
「わたしとミヌの二人があなたの魔導士としての契約よ」
まったく意味のわからないミナム
「そう・・か?」
ただ、そう言うしかなかった。どういう意味だ?本当に一体どうなってるんだ?と悩むミナム、そんなミナムの姿にたまりかねたミヌが
「ミナムさん。そんなに悩まないで」
「そんなものか?」
ミナムの質問にミヌは
「そんなものですよ」
「そうなんか」
「それともうすぐ斎宮様が来られますから」
また、わからないことをとミナムは思った。
「さい・・ぐさまって?」
困惑の表情を浮かべるしかないミナムだった。