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リーマンクエスト  作者: Seabolt
英雄はつらいよ
42/201

黒騎士団 3番隊隊長 ソウシ

ため息をついたソウシ・・・


目の前には、岩の下敷きになっているアクバがいた。


捕らえられたアクバを見て、さっきの悪夢を思い出し頭をふった。


つまらぬものを・・・


黒騎士団3番隊、隊長ソウシ、黒騎士団の中にあって、


隊長にまで上り詰めた女は、彼女だけだった。


彼女は、カーネルのように裕福な家庭ではなかった。


グレースでもやはり、身分制度があり、政府の役人である常民と


一般的な公民に分かれていた。


この中で常民には、文官・神官・武官・魔導士にわかれていた。


特に、文官・神官・武官は特権階級の貴族が大多数を占めていた。


常民になるためには、それぞれ試験があるが、実力で上がれるのは


魔導士がだけだった。しかも、この時代で、黒騎士団は、特に実力を


必要とし、魔導士の力だけでなく、武官と同等の戦闘力も必要だった。


そんな中、ソウシは、カーネルやミヌと同じように、魔導士試験を首席


で合格し、黒騎士団に志願し、女性としてはじめて隊長まで上り詰めのだった。


ソウシは、再び目の前のアクバを見ていた。


そこへ黒騎士団の隊員が、


「いかがいたします。」


「何を・・」


「こやつの処分です。」


隊員は、アクバを指差し、剣を差し出した。


「そうだな~」


しばらく、考え込むソウシ、そして、おもむろに剣に手をかけた。


ちょうど、そこへミナムたちがやってきた。


ミナムがアクバの方を見ると、ソウシが上段に振りかぶったところだった。


「ちょっと、待った!!」


その言葉に一瞬、止まりミナムのほうを見るソウシ・・・


「ミナム殿・・・こやつを処分するのです。」


目の前まで来たミナム


チラッとアクバを見て


「このままでもいいのでは?」


「だめだ・・・アクバは処分しないと」


「けど・・この状態では害がないのでは?」


「こいつは、悪と契約した馬だ!!処分しないと災いの元だ!!」


ソウシの言葉を聞いて、アクバのほうを見るミナム・・


「けど・・・こいつが本当に悪魔と契約した証拠があるの?」


ミナムの意外な言葉に驚くソウシ、振り返ると間近にミナムが立っていた。


ミナムを見て、ドキッとするソウシ・・・・


そして、また、あのつまらぬもの脳裏をよぎる・・・・


そんなソウシを尻目に、ミナムはアクバの前にしゃがんみこんだ。


「お前、俺の仲間にならないか?」


「誰が!!お前なんかと!!」


「ミナム!!何言ってるのよ。」


「そうです。ミナムさん!!」


カーネルとミヌの方を振り返り、笑顔を見せるミナム


そして、


「カーネル、ミヌ、俺、こいつを仲間にするわ」


「ええっ~!!」


驚く二人、


「ミナム殿!!正気か?」


ソウシの言葉に、


「俺の仲間になれば、殺さなくてすむよな!」


「まぁ・・」


「じゃぁ~決まった。アクバお前は今日から俺の仲間だ。」


「フン!!」


プイっと顔を背けるアクバ・・・


それをミナムは無視し、アクバの頬を引っ張った。


「今日から仲間だぞ!!」


「いひゃい!!ひゃへろ!!」


「わかったな!!」


しばらく、アクバの顔をつねり続けるミナム、


「強情な奴め、あとで絶対に仲間にしてやるからな」


その様子を見ていたソウシ


「よくやってくれる」


ため息をついたソウシは、ミナムに握手を求めた。


手を出しソウシと握手をするミナム


「ソウシ殿、ありがとうございます。あっ・・それと・・・さっきは・・・」


そう言おうとしたときだった。


ミナムの口を押さえるカーネルとミヌ・・・


「む~!!」


「ごめんなさい!!ソウシ様!」


カーネルが慌てて謝る。


なんとか、口を塞いでいた手を何とか振りほどいた。


「なにすんだよ!!!」


「ミナムは、黙って!!」


逆にカーネルに一喝され、たじろぐミナム・・


そこへ、ミナムの耳元でミヌがささやいた。


「ミナムさん・・・ソウシ様は、女性です。」


「えっ?」


「だから・・・」


ミヌの言葉が終る前にガクッとうなだれるミナム


「ミナムさん?」


「は・・は・・・」


「だいじょうぶですか?」


ミヌの声が聞こえないミナム・・・・


ミナムは、しばらく、呆然としていた。


そして、


「すみませんでした。」


深々とソウシに頭を下げるミナム、


「別に・・・こちらこそ・・」


「あ・・それと・・・」


ミナムがあれを見せたことを誤ろうとすると


「えっ?」


固まり言葉を失うソウシ・・・


ギュッ


「いて!!」


カーネルは、ミナムの尻をつねった。


その様子をアクバは、見ていた。


そして、考えていた。


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