ミナムとカーネル
訳が分からないとはこのことだった。美男にとっては、自分が、ミナムだと言うことしか分からない。川面に映る自分の顔を見て自分であることを確認したが意味が解らない。ただ頬を掻いて途方にくれるしかない状態であった。
どうしたらいいのだろう?
現状が飲み込めない美男はさっきの場所に戻ることにした。外観は、高床式の茅葺きなのだろうか?どっかの神社みたいな建物だったことに、今見て気づいた。その入り口を恐る恐る上り、中に入るとカーネルと言っていた少女がやはり待っていた。
しかも、美男をジッと見つめている。かける言葉も見つかるはずもなく、彼女の前でただ立ち尽くす、美男の姿がそこにあった。
彼女は、未だに美男を見つめていた。これだけ見つめるってことは、本当に彼女と寝たのか?原罪の状況からして、自分自身の記憶すら信用できない状態の美男が最終的に出した答えがそれだった。そして、ようやく声をかける決心が付いた。
「あの~」
何も反応する分けでなく、ただじっと美男を見つめるカーネル、また無言の時間が流れ始めた。逃げちゃだめだと彼は、意を決した。
「本当に、記憶がないんだ。ところで、俺たち昔から付合っていたの?」
その言葉にピクリと反応したカーネル、すぐに、その顔から怒っていることがわかった。
「ほ!? 本当に? 忘れてしまったの?」
「すまない。まったく記憶がない。」
彼は丁重に頭を下げた。
「ったく」
腕を組んでため息をついたカーネル。そして、
「私、婚約者がいたのに」
カーネルの呟きに美男は驚いた。それもそのはず、婚約者がいる彼女と美男がHをしたということは、どういういきさつで、そうなったのか、ましてや、自分自身の記憶が曖昧な状況、強姦してしまったのだろうか?混乱する頭の中、口から出てくる言葉もおかしくなっていた。
「どういう意味?ひょっとして、俺が強姦したのか?」
カーネルは、首を横に振ってそして、
「違うわよ。ちゃんとお互い納得してだけど」
「じゃぁ、どういうこと?」
「あの時、あなたが私の前に現れたからよ」
「だから、どういう意味だ?」
「あなたが光の中から現れたの」
「光の中から?」
ますますわけがわからない美男
「あなたは、予言通りに救世主として現れたの」
「予言? 救世主?」
「そう予言よ。あなたが現われたから私は、婚約者がいるのに救世主であるあなたと契りを結んだの」
「だからって」
「あなたが決めたことなのよ」
「だからって、婚約者のある女性といきなり・・・大体、君は何者なんだ」
「私は、カーネル、あなたの魔導士よ」
「まどうし?って?」
「だから・・こうやって、魔法を使って、戦士を助けるのが私の役目なの」
そう言って、魔法で目の前に火をおこすカーネル
「わっ!!あちち!!」
驚く美男に
「ミナムわかった」
はっきり言って美男には、まったく納得がいかなかかった。とにかく、彼女とHをしたのは事実なんだろう。こんな美女とHをした記憶がない自分が悔しいが、目の前の魔法といい、とにかく、彼女が言うのが真実だろうと考えていたが腑に落ちないことがあった。それは、自分の名前だった。
「う~納得はできないが、ところでどうして俺がミナムなんだ」
「それは、予言の名前で」
「俺は、ビナンと書いてよしおって言うんだ」
「やっぱりミナムじゃない」
「だからよしおだ」
「いいじゃない。ミナムってば」
半ばカーネルに押しきられる形でミナムとなってしまった美男、納得が行かないことばかりだが、とにかく、ここは、自分がいた世界とは、全く違う世界だということ、そして、彼がミナムと言う名前で、カーネルという名前の美女とHをしたということだけが、分かったことだった。ミナム自身は未だにパニック状態であることには間違いない。未だに疑問だらけの状態で、次に疑問に思ったことは、ここはどこだ?だった。
「あの~カーネルさん」
「はい?」
「ところで、ここはどこ?」
その言葉にあきれるカーネル
「あ・・」
「だから、ここは一体どこなんだ?」
現状を理解することに必死なミナムとそれに飽きれた表情で答えているカーネルの後ろから別の女性の声がしてきた。
「見ぃ~つけた!!!」