魔法のたまご
斎宮では、厳しい禊に耐えるミヌの姿があった。
なんで・・・わたしだけが?そう思いながらミヌは、禊の10日間を耐えた。
そして、ミナムたちがいた武器庫に戻った。
もう一度、二人が消えたところを見ると・・・
黒い箱が口を開いた状態であった。
これは?あの時光ったやつ・・・と思い手にとって見た・・・
中にたくさんのボタンがあり、ミヌがそれに触れようとしたとき、
「何をしておる?」
ヤマト姫が入ってきた。
その言葉に驚いたミヌは、ボタンを思わず押してしまった。
スリープモードのパソコンは、再起動し始めた。
ミヌの手の中の箱が、キュイーンカタカタカタという音がしだした。
その音に気づき手の中のパソコンを覗き込むミヌ・・・・
「いかん・・・」
ヤマト姫が叫んだが
パソコンが急に光だし・・・ミヌごとその場から消えた。
「なんということじゃ・・・」
一方、何とか逃げて家に戻ったミナムとカーネル・・・
さっきまでの状況で、無事に家に着けたことに安堵した二人・・・
家の前まで来ると、家の中から物音がした。
ドアに耳を当てるミナム・・・
その様子を見て、カーネルが質問した。
「どうしたの? ミナム・・・」
ミナムは、カーネルの方を振り返り、口に人差し指を立てカーネルの言葉をとめた。
「しっー!!誰かいる。」
「どうするの?」
「とりあえず・・・ドアを開けてみる・・」
「大丈夫?」
二人は打合せ、そーっとドアから離れ、ミナムがドアノブを手を掛けようとした瞬間だった。
バン!!
ドアがミナムの顔面を直撃した。
「遅いわねぇ~よっちゃん・・」
中から由美が出てきた。ドアが重いことに気づいた由美
ふと目の前を見るとカーネルが呆然と立ち尽くしてていた。
「あっ! カーネルさん。どうしたの?そんなところに突っ立ってて?」
にこやかな顔をして話しかける由美とは対照的に、唖然とした表情がつづくカーネル
「ところでよっちゃんは?一緒のはずでしょ?」
その言葉に何とか反応するカーネルは、ドアの外側を指差した。
「あ・・・え・・・その・・」
「え?なに?」
「そこ・・・」
カーネルの指差したほうを見た由美は、ドアの外に、顔面を押さえ、ヘタリこむミナムの姿を見つけた。
「いてて・・・」
その姿を見た由美は、あきれた顔をした。
「何やってるのよそんなところで。」
ミナムも立ち上がりざまに
「急にドアを開けるなよ!!急に!!」
「どうしたのよ?一体?そんなに怒って・・・」
逆切れする由美・・・
「ところで、なんでお前がいるんだ?」
「なんでって?」
急に笑顔になった由美は、カーネルとミナムの背中を押して、
「まぁ~はいった はいった♪」
部屋の中に連れて行った。
3人は廊下を抜けリビングに入った瞬間
パーン!!!
パーン!!!
大きな音がミナムの耳を襲った。
そこには、由美のだんなとみゆが二人に向けてクラッカーを鳴らした。
「おめでとう!!」
その光景に驚くミナムとカーネル・・・
「ささやかだけど。お祝いよ。わたしたちからの。」
そして、ささやかな宴会がそこで行われた。
その宴会の中、みゆが再びよっちゃんのお嫁さんになるんだ!!と言い出した。
困り果てた4人、その時、カーネルが
「みゆちゃん・・・よっちゃんと結婚するには、魔法が必要なの!」
「まほう?・・・みゆにはできない・・・」
泣き出したみゆに、4人はどうすることもできなかった。
カーネルが仕方がないと思い
「お姉さんが魔法を教えてあげる。」
その言葉に泣き止む、みゆ・・・
「本当?」
「本当に?」
「うん」
「おい・・そんなこと言ってもいいのか?」
ミナムの言葉にキッと怖い顔をするカーネル
「ミナムは黙って。」
「おっと」
カーネルは、両手を合わせ、呪文を唱えた。
そして、あわせた手の中から、白く光る小さな卵が出てきた。
それを持ち、みゆの額に当てた。
やがてその光る卵は、みゆの額の中に消えていった。
「お姉ちゃん?みゆこれで魔法が使えるの?」
「おおきくなったらね」
「本当?」
「うん。本当よ。」
「よっちゃん!!魔法が使えるって、これでよっちゃんのお嫁さんなれるね。」
はしゃいでミナムに抱きつくみゆ・・・
ミナムもみゆの頭をなでた
「大きくなったらね。」
「やった~♪」
その言葉を聞いたみゆは、しばらくはしゃいでいたが、やがて疲れて寝てしまった。
みゆの寝顔を見ながらミナムはカーネルに聞いた。
「本当に、魔法が使えるのか?」
「えっ?」
「いまのやつ。」
「ああ・・・あれ? 魔法のたまごって言うの」
「魔法のたまご?」
「あれは魔導師の資格を持つとできるようになるの。あの魔法は、その人が本来持っている
魔力の扉を開けるようなもので、あれをしたからっと言って、100%魔法が使える訳ではないわ。」
「どういうこと?」
「魔導師と本人の魔力がないと無理なの。だからすぐ使える訳でわないの」
「そうなんだ」
二人が話していると由美が近づいてきて
「大体片付けたから・・・わたし、帰るわ・・・」
「そうか・・・」
「じゃぁ・・楽しかったわ。」
「こっちこそありがとう」
玄関まで送る二人・・・
由美が玄関から出ようとすると
「ちょっと」
二人を近づけ耳打ちした。
「じゃぁ・・今晩もがんばってね!!」
その言葉に顔が赤くなる二人・・・
「バイバイ!!!がんばるのよ~」
由美はガッツポーズをした後、手を振りながらその言葉をのこして、玄関は閉まった。