もう一人の流浪者
小宮山 真・・・彼の人生は、順風満帆だった。
一流大学を経て、一流企業の研究員・・・・と絵に描いたような人生だった。
そうあるものが彼の前に届くまで・・・・
それは、あるクライアントのからの依頼だった。
彼は、ある研究に対し、ヘッドハンティングされた。
そのクライアントが秘密結社の舎弟企業とは知らずに・・・
それが例のUSBだった。
彼は、これをパソコンにつなぐことで、時空が歪むことに気がついた。
世紀の大発見だった。しかし、そのUSBを山根がくすね、別の秘密結社に売り飛ばそうとした。
身の危険を感じた山根は、USBを杉山に渡し、あの事件が起きた。
ふと目を覚ます、小宮山・・・ここは?とわれに返ると・・・・
ここは?とあたりを見回す・・・
目の前には壊れたPCとUSB・・・それをじっと見つめる
ふと、自分のポケットにもうひとつ小型のPCがあるのを思い出し
それにUSBをさした。
頼むから行ってくれ・・・そう願う・・・
やがて、PCは光に包まれてた。
小宮山は、その場から消えた。
その頃、秘密結社の舎弟企業では、黒い背広を着た二人が机の前に直立不動で立っていた。
その机には、そこのボスが座っていた。
「小宮山もいなくなったのか。」
「は。」
「それで?例のUSBは?」
「それが・・」
「どうした?」
「小宮山と一緒に消えまして・・・」
「なに?どういうことだ!!」
その男は机を大きく叩き、二人に指を指した。
「どこへ行ったんだ!!やつは・・」
「それが・・・」
「ところで、持っていたやつらは?」
「一人は、杉山ひろし・・・もう一人は、山本美男・・・」
「杉山は?」
「彼は、小宮山と一緒に消えたようです。」
ボスは、振り返り窓のほうを見た。
「いかがします?」
「まず、小宮山を探せ!!」
小宮山が気づくと自分の家の天井が目に入った。
自分の家か?と思いつつ、体を起こす。手元には例のUSBが刺さったPCがあった。
当たりの様子を見て、よし!!と心で叫んだが、なにやら、下の階から騒ぎ声がする
何だろうと階段を下りていくと、かつての部下達がいた。
そして、彼らの目の前には、血まみれの父と「殺さないで!」と嘆願する母がいた。
部下達は、「息子はどこだ?」
「息子は!!帰っていません!!」と母親が言った瞬間、
ダーン!!!
彼らの前に崩れ落ちる母親・・・それを見ていた小宮山は
慌てて階段を駆け上がった。
「いたぞ!!」
その音に気づいた黒服の男たちは小宮山に襲い掛かってきた。
小宮山はパソコンを触り再び時空の彼方へ消えた。
次に着いたのは、彼が勤めいた事務所だった。
誰もいないはずが、ボスの部屋の電気がついていた。
小宮山は、拳銃をとってき、そーっとボスの部屋をのぞいた
ボスは。携帯で、部下からの報告を受けていた。
「そうか、小宮山はどうした」
「なに!!・・逃げた?」
話を止めた。そして、ボスが振り返ろうとすると
ダーン!!!
銃声が部屋中に響いた、そして、ボスは小宮山の凶弾に倒れた。
その音を聞いた一人がボスの部屋に入ってきた
ボスが倒れているのを見て驚く部下・・・
「ボス!!」といった瞬間
ダーン!!!
小宮山は再びトリガーを引いた。
しばらく、待ち伏せをする小宮山・・・
さっき両親を殺した二人が戻ってきた。
彼らを確認した小宮山は、銃口を彼らに向け撃った。
ダーン!!!
しかし、もう一人が慌てて、反撃をしてきた
ダーン!!
ダーン!!
廊下に響く銃声・・・
銃弾は小宮山が持っていたパソコンをあたりわき腹にかすめた。
その衝撃にうずくまる小宮山・・・
「くそっ・・・」
その光景を見た黒服の男は立ち上がり、うずくまる小宮山に近づき銃口を向け
「貴様!!両親の元に行けや!!」
そう叫びこみ山を撃とうとした瞬間だった。
USBが再び輝きだした。
その閃光に視界をうばれる黒服の男、
光が消えるにつれ、銃を向けていた右手、両足のすねから下が一瞬で消えた。
そして、消えた後からは激痛と共に大量の血が噴出した。
「ぐわぁぁあああ!!」
黒服の男達の叫びが廊下にこだました。
一方、光に包まれた小宮山は再び時空の彼方へ飛ばされた。
その時空の中、薄れ行く意識の中、小宮山の手からUSBが離れ、時空の彼方に消えていった。
気がつくと目の前には見たことがない世界が広がっていた。
「ここは?」