はぁ・・
はぁ・・・
ミナムが最初に発した言葉がそれであった。目の前には、神戸を垂れるふとーの姿がそこにあった。実は、先の乱を平定したミナム達であったが。その後、混乱の収拾においては、ミカト達を中心とするグレースの貴族たちが当たっていた。特に役立ったのは在野武士達だったのだが、その褒章を上げたために、彼らが勢力(武力)を持ち始めたのだった。武力的にグレース軍だけでは対応が厳しく、中には下手に官位を与えたものだがから、京にまで押しかけわが物顔をしている様子であった。フトーも現役を引退しており、権力もない状態、しかし、見るに見かねてミナムに相談してきたというのが本音のようだった。
「ミナム殿に官位をあたえますので」
西の反乱を収めた後、ギオン討伐をしている間、ペー一族の力を借りて西側の反乱を押えていたらしい。そんなペー一族がわが物顔をしていて、それを不服としている貴族が東の、ゲー一族へ協力を依頼したらしいのだが、そのことが逆にグレースを混乱させることとなっていた。そこへ、ミナムは双方の勢力が衝突しないように調整をしてほしいという依頼が来たのだった。
「はっきり言います。無理です」
ミナムの回答に対してフトーは眉毛を動かすことすらせずに、淡々と話を進めていた。
「ミナム殿しかできませぬ」
どう見ても不可能だった。既に、ペー一族への討伐の勅令が勝手に発令されていて、ゲー一族は動き出しているというのだ。衝突は始まっていて、どうすることも出来ない。間もなく始まる合戦を止めてくれないかというフトーの無謀な話に乗ることも出来ない。
「間もなく、アスケが原にて2つの勢力がぶつかる予定です」
実はゲー氏は、ギオンよりさらに東に拠点を置く勢力だった。アスケが原で双方が衝突するという情報は既にフトーに入っていたのだった。
「で?俺にどうしろと?」
フトーの予想では、先に今日に入ってペー一族は貴族化が進んでいて、かなり、弱体化しているという情報だった。ということは、ゲー一族が進行してくるという見方が正しいらしい。しかし、ミカドとしても、あまり好ましくないようだった。というわけでミナムへということだった。
「またまた・・・冗談を」
無言で・・じーっと見つめるフトー・・・そして、ミナムの横には、ソウシとベッツィーががべったりとついていた。
「「ミナム殿、やってくれないか」」
二人もあわせる様に話をしてくる。こうして、ミナムは受けざる得ないことになった。