最悪の知らせ
ギオン軍とこう着状態に入って10日が過ぎようとしていた。2030高地を占領しているミナム軍の連日の砲撃にもかかわらず、ギオン軍は要塞から立てこもったままだった。一方、先の戦いで壊滅的な打撃を受けているグレース軍にとっても進軍をする余力はもはやなかった。
そんな中、グレース軍の本陣にある情報がもたらされていた。それは、本国から総勢1万の兵士が出陣したとの情報だった。しかも、ギオン要塞を前にして、本陣と2030高地に別れて進軍してくるというものだった。
この情報に焦ったのは、本陣をつかさどる将軍達だった。彼らは、先の戦いで、その戦力の大半を失って進軍どころではなかった。しかし、本国からの援軍が来ると言うことは功績を得るチャンスがなくなる恐れもあった。そして、彼らが目に付けたのは、ミナム達だった。こうして連日のように、ミナム達に出陣要請を行っていたのだった。
援軍到着まであと1日、ミナム達は相変わらず将軍達の命令に背き、砲撃を行っていた。
「どうだ?」
「あいかわらず、動きはありません。」
ミナムの言葉にそう答えるのはベッツィーだった。
「それで援軍はどうなのだ?」
「あと1日で到着とのことです。」
「そうか・・・」
こうして、援軍が本陣に到着する日がやって来た。
ガクラン将軍率いる第一陣は本陣とシュウキン率いる第2陣はミナム達と合流使用とした瞬間だった。
本陣が眩いばかりの閃光に覆われた。
「何事だ!!」
轟音が轟き、本陣付近には巨大なきのこ雲が発生していた。
「何事だ!!」
そう叫んで事態を確認しているシュウキン・・・それを無視してきのこ雲を無言で見つめているミナムの姿がそこにあった・・・嫌な予感がした・・・まさか?・・そう考えていると一人の伝令がミナム達の目の前に転がり込んできた。
「た・・・大変です!!」
「どうした!!」
一同の視線が兵士に集中した。
「グレース軍の本隊が・・・本隊が・・・」
「本隊がどうしたのだ?」
「全滅しました!!」
「!」
その衝撃は、ミナム達を震撼させた。
―――やはり・・・あの兵器をどこかで手に入れたんだろうか?そう考えるミナムに対して、伝令は功はなした。
「ひ・・一人の魔導士に、一瞬で!!」
その言葉に一同が驚いた・・・いくら魔導士の能力が高いといっても6千もの兵を一瞬で葬ることなんてありえないことだった。
「どういうことだ?」
「それが・・・」
伝令は、ミナム達に詳しく話をした。一人の黒髪の女性魔導士が現れ、、右手を上げた瞬間、眩い閃光と共に本陣が吹き飛んだんだと・・・言うことを、伝令の言葉に一同は、震えた・・・たった一撃で数千もの兵士が葬り去られるとは・・・
こうしてミナム達は、ギオン要塞への攻略作戦を実行する決意をした。