ミナム・・・
目の前で荼毘に付されるミヌ・・・その様子をただ呆然と見送るミナム・・・彼女のことを思い出して呆然としていた。カーネル、そして、ミヌまでも・・・あの黒髪の女は、一体?やがて一つの箱が手渡された・・・ミヌの骨壷が・・・
俺は一体なんの為に戦っているんだ?
誰の為に・・・
誰一人助けることが出来なかった。
呆然と立ち尽くすミナムにソウシとベッツィーは声をかけた・・・
「ミナム殿・・」
「・・・」
ミナムは振り向くことなく自分の宿舎へ戻って行った。
この戦いで、総崩れとなったギオン軍は撤退を余儀なくされギオン都まで撤退をしていた。一方ギオン都は、前面は海、背後は山脈となっており、しかも、背後の山は2030高地と呼ばれ、そこにある2030要塞は、ユウ峠と異なり険しい山の間の街道に出来た城砦ではなく、単純に標高が高くここからはギオン都はもちろん、陸側からの攻撃にも海側からの攻撃にも開発された大筒によって、防御が可能な場所に位置していた。ただ、ギオン都の攻略には2030要塞だけでなく、街道にあるポメラの関、そして、ギオン都を守る最後の砦として、ギオン都を取り囲む城砦を崩さなければならなかった。
ポメラの関まで進軍したグレース軍にとって、ポメラの関で再びこう着状態になるかと思われた。しかし、あることで状況は一変した、それは、グレース軍海軍と海賊ルーシーの連合軍が、手薄になったギオン海軍に勝利し、海側からの砲撃で、ギオン都の一角を崩壊させた。ただそれ以上の進軍は出来なかった。それは、2030要塞が会ったからだった。しかし、その一報は、ポメラの関を守るトリニティ率いる黒騎士団1番隊に入った。そして、彼らへの司令は、ギオン都までの撤退だった。しかし、そんなこととは露知らずミナムは相変わらず、宿舎にこもっていた。
あれから数日が過ぎようとしていた。ミナムは宿舎にこもったまま出てこようとしなかった。そんなミナムの元へソウシがやって来た。しかも、ある決意をして・・・
コンコン・・・
「ミナム殿・・・ちょっといいか?」
そう言って部屋に入ったソウシ・・・部屋はカーテンがしまっておりくらいまま、机の上には手付かずの食事がそのままになっていた。ミナムの方を見ると俯いたままベットに座り込んでいた。
「食べていないのか・・・」
するとミナムは一度顔を上げソウシを三鷹と思うと無言のまま立ち上がった。そして、ソウシの横をすり抜けていた・・・・そんなミナムの背中に抱きついたソウシ・・・しばらく黙り続ける二人・・・やがて・・・ソウシが・・
「私を貴方の魔導師にして下さい・・・」
しばらくして、ミナムの手がソウシ手を握ったかと思うと・・・やがて、彼女手をそっと解いて、ソウシから離れた。
「ミ・・・ミナム殿・・・」
その声に応じるかのように振り返りミナムは無言で首を横に振った。そんなミナムに話しかけるソウシ・・・
「ま・・待ってください・・・」
再びミナムの背中に抱きついたソウシ・・・彼女の手がミナム体をしっかりと捕らえていた。そして、その手をやさしく解くミナム・・・
「ミナム殿・・・お願いだ・・」
「これ以上・・・悲しみを増やしたくないんだ・・・」
ミナムの言葉に解かれた手の力が抜けた・・・・・掴みきれなかったソウシ・・・そんなミナムの姿を目で追って行くしかできなかった。