戦死
上空に浮いている黒髪の女を見て、全員は、驚いた・・・
「い・・何時の間に」
「なんてスピードだ!!」
「私たちの攻撃をよけるとは・・・」
驚きの声を上げるソウシとベッツィーは身構えた。しかし、動くことも出来なかった。そうその黒髪の女は、ミナム達のすぐ上にいたのだった。・・・そんな中、黒髪の女を見て、別な意味で驚いている二人の姿があった。それはミナムとミヌだった・・・カ・・・カーネルなのか?それとも・・・・戸惑いを隠せないミナム、そして、同様にミヌも、黒髪の女がカーネルに非常に似ていることに驚いていた・・・そして、思わずこう呟いた。
「カ・・・カーネルさん・・」
ミヌの言葉を聞いても眉一つ動かさない黒髪の女・・・ミヌの言葉を聞いたミナムも彼女の方へ歩みを進め叫んだ・・
「カ・・カーネルなのか?」
すると彼女は、右手をすっと上げ人差し指でミナムを指差した。その光景を見て呆然と立つ、ミナムに彼女の人差し指から閃光が放たれた。
「危ない!!!」
そう叫んだミヌは、ミナムを突き飛ばした・・・しかし、ミヌの胸をその閃光は貫通した。
「ミヌ!!!」
「ミ・・ミ・・ナ・ム・・さ・・・ん」
ミナムの腕の中に崩れ落ちるミヌ・・ミナムはただ彼女をそっと抱えた・・見る見る顔から血の気が引いて行くミヌ
「ミヌ・・・死ぬな!!」
「ミ・・ミナム・・さん」
「ミヌ・・・大丈夫だ・・・すぐに直るからな・・な・・」
ミナムの声にミヌは目を閉じ軽く首を横に振った。
「もう・・・無理よ・・・」
「ミヌ・・・そんなこと言うな・・・」
「ミナムさん・・・・」
「ミヌ!!」
「最後に・・・お願い・・・」
「あ・・・ああ・・なんだ・・」
「キスして・・・」
「えっ・・・」
「キスして・・・」
「あ・・・ああ・・」
ミナムはミヌにそっとキスをした。しばらく、見つめあう二人・・・
「ミナムさん・・・ありが・と・・う・・・・・」
ミヌの手が力なく落ちた。
「ミヌ!!!」
しかし、黒髪の女はミナム達の様子に目もくれず人差し指を刺した。そして、再び指先から閃光が放たれた。
「危ない!!」
ソウシがそう叫んだ瞬間、その閃光はミナム達を襲った。
ギン!!
その閃光をミナムは剣で弾き飛ばした。そして、胸の中でそっと息を引き取ったミヌを見て、俯き目を瞑り唇をぐっとかみ締めた・・・そこらからは、一筋の血が流れ出ていた。そして、ミヌを抱きかかえたまま、上空の黒髪の女を睨んで叫んだ。
「なぜだ!! カーネル!! なぜだ~!!」
そんなミナムの様子を見ても、不敵な笑みを浮かべる黒髪の女・・・ミナムがぐっと睨み・・・そして、ミヌを地上にそっと置いた。そこに近づいてきたソウシ、ベッツィーに
「頼む・・」
こう呟いて・・・・振り向いた瞬間、その女めがけて飛んだ。
「なぜだ~!!!」
そう叫んで飛んでくるミナムを、黒髪の女は、軽く避けミナムに閃光を放った。
「ぐっ!」
ギン!!
ミナムはその閃光を再び剣で弾き飛ばし、黒髪の女へ向かって飛んだ。それを見た黒髪の女は、まばゆい閃光を放った。おもわず目を閉じるミナム・・・するとその場から黒髪の女の姿はなかった。こうして総崩れとなったギオン軍は、退却をして行った。