おなかがすいたの~
カーネルの魔法でできた偽USB・・・あとは、明日、杉山を迎えに山泊岸壁へ行くだけだった。落ち着いた二人、カーネルのおなかが急になった。その音を聞いたミナム・・・・ふとカーネルを見ると少し恥ずかしそうにしていた。
「ミナム~」
カーネルが甘えた声を出した。
「なんだい・・」
「おなかがすいたの~」
その声を聞いて笑い出すミナム
「笑わないでよ~」
「はいはい・・」
そう言いつつも笑っているミナム
「もうっ・・・落ち着いたら急におなかがすいた・・・」
「はいはい・・」
「まだ・・わらってるし・・・」
「じゃぁ~なにか食べに行こう。」
「外で食べるの?」
「そうだよ・・・」
二人は、近所の定食屋に入った。
「いい・・匂いね・・」
席に着いた二人、ミナムがカーネルに話しかけた。
「カーネル・・・あとで、買い物に付き合ってくれないか?」
「えっ?」
「食事がすんだら、由美と合流するんだけど。」
「また、由美さん?」
「そう・・・カーネルの服を選んでもらうから。」
「えっ?私これでいいわよ・・・」
カーネルがそう答えると、ミナムは手招きをして
「ちょっと・・・耳貸して?」
その言葉に、不思議そうに耳を貸すカーネル
「カーネルの下着も買うから・・」
そうだ・・・・わたし、男物の下着をつけていたんだっけ?そう思うと恥ずかしくなったが、そこまで気を使ってくれるミナムをじっと見つめた。
「どうしたんだ?」
「ありがとう・・」
そうこうしていると、食事が運ばれてきた。食事中、ミナムの携帯がなる。
「ああ・・由美か? 今・・・食事中・・・」
「由美さんから?」
「30分ほどで来るって・・」
「そう・・」
二人は、食事をすませ、由美との集合場所に向かう途中
「ミナム・・・」
「なに?」
「ミナムの世界って・・・すごいわ・・・」
「なにが?」
「夜もこうして明るいし・・・馬もいないのに馬車が動いているし。」
「あれ?あれは、自動車って言うんだ。」
「こんな世界があるなんて?」
「カーネル」
「えっ?」
「着いたぞ・・・」
二人はショッピングセンターに入口についた。
「カーネルさん!!こっち!こっち!」そう呼ぶのは由美だった。
そこには、カーネルにとっては夢のような世界が広がっていた。
「京でも、こんなことないのに、しかも夜に・・・」
由美は、カーネルの買い物がひと段落すると、二人を連れてあるところへ行った。
そこは、ショッピングセンター内の宝石店だった。
「よっちゃん・・・ここで買いなよ・・」
「なにを?」
「婚約指輪といいたいところだけど・・・今は、無理だから。ペアリングを」
「えっ?」そう驚くミナムを尻目に由美はカーネルの手を引っ張った。
「カーネル早く」
そして、二人で楽しそうに、リングを選んだ。由美は、ペアリングを持って、機嫌よさそうにショッピングセンターを後にした。由美に続いて歩く二人、ふと、彼女が目の前で立ち止まり振り返った。そして、
「これ・・・」
そういって、二人にリングをわたす。それを黙って受け取るふたり。
「あした、これを持ってくるのよ・・」
「えっ?」
「お父さん、お母さんに報告するのよ。わかった。」
「わかったよ・・」
その言葉にカーネルが緊張した。
「ミナムの両親に挨拶・・・はやく会いたいわ・・・」
その言葉に少し暗くなる二人・・・
「明日・・会えるわ・・じゃぁ・・」
そういって由美は自宅に帰って行った。家に向かって歩く二人・・・カーネルはなんだかものすごく疲れているのに気づいたそして、あまりの疲れに立ち止まった。それに気づいたミナムが
「カーネル・・・どうした?」
「いや・・なんとなく・・しんどくて・・・」
「歩けるか?」
「う~ん・・・痛い!!!」
カーネルがそう叫んだ時にはふくらはぎがつり、その場で座り込んでしまった。
「大丈夫か?」
「ちょっと、足がつっただけ・・」
その様子を見て、ミナムは
「これじゃ・・歩けないだろう・・・」
カーネルに背中を見せる。その光景を不思議そうに見るカーネル
「ほら・・・乗れ・・」
「えっ・・」
その言葉に嬉しいような恥ずかしいような・・・なんともいえない心地よさを感じるカーネル・・
「ほら・・はやく」
「ありがとう・・」
カーネルは、そう言って、ミナムの背中に乗った。
「重くない?」
「大丈夫・・・」
そう言ってにこやかに、カーネルをおんぶして、歩くミナム
「どうしたの?そんな笑顔で・・・」
「いや~」
「本当にどうしたの?」
「なんでもない・・・」
「本当に?」
「なんでもないから・・」
「そう?」
しばらくして、カーネルの声がしなくなった。
「カーネル?」とふと後ろを見るとカーネルは寝息を立てていた。
疲れたんだな。きっと、何もかも新しいことばかりだし。
そう思いつつ、ミナムは、家に向かった。