もう一つの悲劇 1
ソウシが現代に行った翌日のこと京では、不思議な現象が起きていた。
鬼火がさまよっていると噂が流れたのだ・・・それは、京で不審火が発生していたのだった。
そして、事件は起きた・・・再びミカドの住まいが炎に包まれたのだった。
「ソウシ殿!!」
そう言って、ソウシを探すヒョウドウ・・・しかし、ソウシの姿はなく臨時で黒騎士団を指揮することになった。しかし、この大火事の原因はつかめないままだった・・・そして、先のミカドの怨念だと噂が立ち始めた。ちょうど時期を同じくして、ギオン攻めをしていた。坂上大将が始めた・・いわゆるギオンの大攻勢だった。ギオン軍は、ワカタケルを中心に彼の魔導師としてポムがついた。そして、そこには、マヤザキと謎の子連れの女性魔導師がそこにたっていた。大攻勢に逃げ惑うグレース軍それを見つつ、マヤザキはあのときのことを思い出していた。
それは、旧ミカドによってカモベ村殲滅の勅令が出て、実行された後の事だった。
「うそ・・・」
カーネルの一言目はこれだった。カモベ村の虐殺で自分の両親が殺されたと知らせが入ってきた。理由はミナムの謀反。うそでしょう?信じることが出来なかった。悲嘆にくれるカーネル――――数日前、ミナムが生きていたと言う知らせを受けた矢先のことだった。どうしたらいいの?わたし、とりあえず村へ帰りたい。帰って確かめたい。そう思って、立ち上がった時だった。部屋の外からナラ姫の叫び声が聞こえた。
「カーネル・・逃げるのじゃ」
え?どういうこと?そう思っていると部屋の扉が勢いよく開いた。そこには数人の衛兵が立っていた。それを見て身構えるカーネル
「カーネル殿・・・来てもらい・・うっ・・・」
目の前で倒れこんだ衛兵、その後ろにはナラ姫が立っていた。
「早くこっちへ」
ナラ姫に手を引かれ本宮内を逃げるカーネル――――本宮内は既に、騒然となりあちこちにミカドの衛兵と本宮の守衛、巫女が戦いを繰り広げていた。
「本宮様、どちらへ・・・」
「抜け道へいくのじゃ・・」
そういったナラ姫だったが、目の前の人物を見て立ち止まった。そこには、マヤザキが立っていた。
「本宮様、これ以上なさいますと私はあなたをきらねばなりませぬ。」
全く隙のないマヤザキその後ろには彼の直営、黒騎士団1番隊が整然と立っていた。これを見て観念したナラ姫
「どうしても連れて行くのか?」
「ミカドの御意志です。」
「マヤザキ!!」
マヤザキの言葉を聞いたナラ姫は叫び声と共に魔力を上げていった。それを見たマヤザキは
「まだ、あなたには生きていてもらわないと困るのです。ここは私に任せてください。」
「なに?」
マヤザキは、ナラ姫に耳打ちをした。
「真か・・・」
「はい・・・」
「しかし、わかっておろうな。」
「はい・・・」
マヤザキは右手を真横に上げ、構える黒騎士団を静止した
「カーネル、マヤザキについていくのじゃ。」
「本宮様・・」
見つめるカーネルの頭をなでるナラ姫は言い聞かせた。
「後は、マヤザキに任せるのじゃ・・」
両目を瞑り頷くカーネル
「わかりました・・・」
カーネルは、胸にミナムの写真を入れ、衛兵に従いついていった。
「マヤザキ・・後は頼んだぞ・・」
「はい・・・」