・・・な事件 4
ここまで話を聞いたソウシとヒョウドウは、慌てて伝令に確認した。
「ちょっと待て、今の話では、カーネル殿とマヤザキ様は全く関係ないではないか。」
「そうだ・・・何故二人は亡くなったのだ。」
詰め寄るソウシとヒョウドウに困り果てる伝令はこういった。
「その後に、ミカド様は、カーネル様を捕らえ宮中に連れていかれたのです。そして、落雷が起き、大火事が・・・・その時宮中へ駆けつけたマヤザキ様も一緒に大火事にあわれて、お亡くなりに・・・」
「それは、真か!!」
「はい・・私が聞いている範囲ではここまでしか・・」
「では聞くが、何ゆえミカドはカーネル殿を捕らえて宮中へ連れて行かれたのか」
「それは、いつものことですよ。」
伝令の一言を聞いて二人は思わず納得した。しかし、納得した自分が情けなく感じた。命を張ってお守りするお方が案の定、女ほしさに愚考に走ったと知って、ため息すら出なかった。ソウシがヒョウドウの顔を見ると呆れた表情を浮かべていた。しかし、次の瞬間、ヒョウドウは、伝令にある質問をした。
「では、何故、マヤザキ様は宮中へ」
「それは、ミカド様がマヤザキ様を呼ばれたとか・・・」
伝令の言葉に顔を見合うソウシとヒョウドウ―――――ことの成り行きがあまりにも不自然でならなかった。
「どういうことだ?」
「何故、ミカド様はマヤザキ様を呼んだのだ?」
「私にも・・・そこまではよくわかりかねます・・・」
困り果てた表情を浮かべた伝令はそう答えると俯いてしまった。ソウシはヒョウドウの方を見た。ヒョウドウもまた納得がいかぬ表情をしていた。
「本当に、マヤザキ様は亡くなられたのか。何か証拠でも?」
「はい、宮中にはミカドの遺体の他、カーネル様と思われる妊婦の遺体、そして、マヤザキ様の刀を身につけた遺体もあったそうです。」
「それで?遺体は?」
「すぐに荼毘に・・・私が伝令にでる時には、既にミカドの葬儀も行われ、すぐに次のミカドとして、リク様がミカドの座におつきになられました。」
そのことを聞いた二人は伝令を返した。腕を組んでじっと目をつぶり考えるソウシ――――何かが引っかかる―ー――そう思っているとヒョウドウがソウシの肩を叩いてこういった。
「いくら考えても無駄だ。俺もはっきり言って信じがたい。特にあのマヤザキ様が亡くなるとは思えない。」
「そうだなヒョウドウ・・・・私もマヤザキ様の死は、信じがたい・・・しかし、だな・・・」
「しかしもへったくれもなあるもんか。俺たちは今最前線にいるんだ。俺たちはどうすることも出来ないんだよ。」
その言葉に顎に手を置いて考え込むソウシ
「せめて誰か京に行かせることが出来れば・・・」
「あっ・・」
ヒョウドウはソウシの言葉に手を叩いて声をあげた。
「どうした・・・ヒョウドウ」
「一つだけ方法がある。」
「どういうことだ」
「戦没者のお骨を京へ持ち帰らせるんだ。重症を負った者に・・・治療もかねて・・・そのものに京の様子を探らせよう」
「そうだな・・・その件については頼んだぞ。ヒョウドウ」
その言葉に納得したソウシにヒョウドウは両肩に手を置いて、
「ところで・・・どうする?」
「ヒョウドウ・・・なんだこの手は?」
ヒョウドウは耳元で言った。
「カーネル殿のことどう伝えるんだ?」
ヒョウドウの言葉にしばらく固まるソウシ――――そうだ、ミナム殿に動伝えたらいいんだ?ソウシの目が泳いでいる様子を見ていた。ヒョウドウは、そっと離れて
「なんなら、俺が伝えようか?」
「いや・・私が伝える・・・」
「そうか・・・無理だったら何時でも言ってくれ。」
どうしたらいいんだ?――――そう悩みつつもソウシがミナムの部屋の前についたのは、ミナムが食事を終え薬を飲んだ頃だった。ドアをノックすると中からどうぞとミナムの声がした。中に入るとテーブルついているミナムとその横でうつ伏せで寝ているミヌの姿が目に入った。ふと視線がミナムと合った瞬間思わず目を反らしたソウシ―――――ここまで来て言うことが出来ない・・・・
「どうしたんですか。」
声をかけたミナム。しかし、ソウシは俯いたまま入り口に立っていた。しばらくして、ようやく踏ん切りをつけた。言わなければ―――そう思い近づいてくるミナムをじっと見つめた。目の前までやって来たミナム、ソウシはいったん目を閉じふーと息を吐いた。そして、カーネルのことを言おうとした。
「実は・・・・・んん?」
唇を塞がれたソウシは目を見開いた・・・・