表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーマンクエスト  作者: Seabolt
ギオン討伐
150/201

友の死・・・そして・・・

クスーキ隊2000と合流したミナム達は、本丸の最後の門へたどり着いた。


「行くぞ!!!」


その掛け声と共にその門は破壊された。


そして、門を破壊した先には、オスギが立ちはだかっていた。


「ふっぅぅぅうううーーーーー!!!」


「なんじゃ・・・あやつは?  やってしまえ!!」


10名ほどの兵がオスギに向かって襲い掛かったとたん、一瞬で10名ほど兵士たちは無残にも引き裂かれてしまった。オスギの凶行を見て驚いた表情で息を呑んだクスーキ。そして、恐怖におののく兵士たち、そこへミナムが前へ出た。


「ここは、俺が・・・」


「ミ・・ミナム殿頼みましたぞ。」


クスーキ達は、少し後ろに下がった。一人残されたミナムがオスギに向かっていくと魔導士ポムから衝波がミナムに向かって放たれた。衝波を剣で跳ね返すミナム――――ポムは衝波が跳ね返されたを見て驚いたその隙にポムに向け強力な衝波が飛んできた。


「何やつ」


慌ててよけたポムが見た先にはミヌが立っていた。


「ポム・・あなたの相手は私よ。」


一方でミナムとオスギの力対力の戦いが始まった。激しくぶつかり合う二人、そのすさまじい破壊力に周囲の建物は崩壊していった。そんな中、時折話しかけるミナム


「お前・・杉山だろう」


「フゥッオオオーーー」


剣をぶつけるミナム――――それを必死で受け止め跳ね返すオスギは、全くミナムの言葉に耳を貸そうとしない。どうしたんだ。言葉がわからないのか?ミナムがそう思っていると逆にオスギの反撃を受けた・・・


「くそ!!」

二人の激しい戦いがしばらく続いた。




「ミナム殿!!加勢い?」


二人の様子を見ていたソウシがミナムに言おうとした時、ソウシの前にまたしも、トリニティが立ちはだかった。


「ソウシよ。今度こそ貴様を血祭りに上げてくれる。」


「貴様こそ、この刀の錆びにしてくれよう!!」


こうして再び黒騎士団同士の戦いが始まった。




一方、ミヌは、ポムと対峙していた。


「なかなか、やるわね。」


互角に戦うミヌに驚くポム――――何故?ミヌが私と互角なの?オスギと契りを交わしてから魔力が漲りギオンでも一番の魔導士となった私と互角なんて?どうなっているの?とミナムの姿がよぎった。まさか?ミナムと契りを結んだのこの子は?えい・・ちょこまかと・・・ん?そう思った時、ミヌの衝波がかすり、左腕に軽い傷を受けた。うっ・・・このくらい!!!と思った瞬間、ミヌの衝波が再び飛んできた。やばい・・直撃する―――――ポムは魔力全開でバリヤーを張った。その時だった。オスギの様子がおかしくなった。突如、うう・・・と唸りオスギの動きが少し鈍った瞬間、ミナムが振りかざした剣がオスギを捕らえた。生々しい感触が剣からミナムに伝播してきた。しばらく固まるミナム・・・


「う・・・」


うめき声を上げ動かないミナムの剣を引き抜くオスギ、剣を抜かれ血しぶきを浴びたミナムは呆然としていた。その様子に目を奪われたポムは、衝波がきているのに気付くのに完全に遅れた。あっ――――そう思って身構えるポムは閃光に包まれた。しばらくして目を開けるポム・・・そこには血まみれのオスギが立ってポムを守っていた。恐る恐る声を掛けるポム


「オ・・・オスギ様・・・」


「ポム・・・大丈夫か・・・」


いつものやさしい顔のオスギがそこにいた。


「ええ・・オスギ様こそ・・・」


「俺は大丈夫だ・・・ううっ!!」


そういうと再びオスギは奇声を上げ、ミヌに向かっていった。そのスピードに身動きが取れないミヌ――――


「きゃ・・・」


「ミヌ!!!」


げじっ・・・・


ミヌが目を開けるとミナムの剣がオスギの背中から出ていた。再びオスギの血しぶきを浴びたミミナム・・・・そして、ミナムの剣を素手で受け止めているオスギ・・・・ふとミナムを見てふっと顔の表情がやわらかくなった。


「や・・・やまもと・・・」


こう呟くと血まみれになったオスギの顔からギラリと光っていた目が急にやさしくなった。


「す・・すぎやま・・お・・俺だ・・・・山本だ・・」


「ああ・・・わかるよ・・・」


ぐっとミナムに倒れ込みミナムに支えられるオスギ・・・二人の光景を見ていたミヌはあたふたしていた。ポムも呆然としていた。あのオスギ様が――――血まみれになって――――崩れていく――――そのことが信じられなかった。一方、ミナムに倒れ掛かっていたオスギは、言葉を出すのに必死だった。


「山本・・・」


「何も言うな・・・ミヌ!!早く!!手当てを!!」


そう叫ぶミナムを制したオスギ・・・・そこへ慌てて近づくポムとミヌ


「オスギ様・・・」


「ミナムさん」


三人に囲まれ、息をするのもやっとのオスギ・・・


「も・・もう・・俺は・・だめだ・・・」


「何も言うな!!杉山!!!」


「あ・・ありがとうな・・・・悪夢から・・・覚ましてくれて・・・・・・ポム・・・今まで・・本当に・・・・ありが・・と・・う・・」


そういい残してオスギは、がくっとうなだれ息を引き取った。


「杉山~!!!!」

「オスギ様~!!!


ミナムが泣き叫んだ。そして、ポムもオスギに抱きつき泣いていた。そして、ふと目の前でうなだれているミナムを見て――――オスギ様の仇・・・・と急に立ち上がり、ミナムに向かって衝波を打った。あわてて衝波を剣で跳ね返したミナム。


「何やってるんだ。杉山は死んだんだぞ。」


取り乱し、衝波を撃ちまくるポムをトリニティーが取り押さえた。さっきまでソウシと対峙していたトリニティーだったが、退却命令で即時退却をすべく様子を見に来ていたのだった。


「な・・何をする!」


「ポム殿・・・退却ですぞ。」


「わ・・わたしは、ここでミナムを・・・うっ・・」


そう暴れるポムを気絶させ、トリニティーは2番隊と共に、カイン城を脱出した。




戦闘が終わり目の前の杉山の遺体を見て、涙するミナム――――お・・俺が・・杉山を殺してしまった。遺体の前で両手を突き


「ごめん・・・ごめん・・」


そう言って謝り続けるミナム、地面にポトリポトリと落ちる波が止まらなかった。その光景を見ていたミヌとソウシ・・・ミナムに向け右手を出した。しかし、その手をぐっと握って胸元に戻した。そして、ミヌがミナムをうしろから抱きしめているのをじっと見つめていた。


「ミナムさん・・・」


「う・・・う・・・お・・俺が・・・俺の手で・・・殺した!!!」


「これが戦争です・・・」


「ミヌ・・・うっうう」



しばらくして、荼毘にふされるオスギの遺体を見ていたミナム・・・その横にはじっとミヌがついていた。ミナムは見ていた・・立ち上る炎を・・ただ・・・じっと・・・




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ