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リーマンクエスト  作者: Seabolt
ギオン討伐
144/201

ミナムとミヌ

上空からいきなり飛び込んできたクオンとミヌに城内は騒然となった。


「一体何があった?」


「ミナム殿すまん。」


そう謝るクオン、その腕の中には、傷ついたミヌの姿があった。


「ミヌ!!」


ミナムの叫び声に意識を戻したミヌ


「ごめんなさい・・・わ・・た・・し・」


「もう話すな。」


そう言って、クオンからミヌを受け取ったミナム、慌てて部屋に連れて行った。そして、黒騎士団の医師がミヌを見ていた。ミヌの横にじっと待っているミナム・・・


「どうですか・・」


「まぁ・・・打撲ですが・・・少々、やられすぎで・・・」


そう言って、ぶらりとしている左手をさした。


「よく、持ちましたよ。あのシバーンがやられた相手だ。体が残っているだけでも不思議だ。」


「先生・・」


「ところで席をはずしてもらえないだろうか」


「えっ?」


「今から魔法で治療をしますので、下がっていただけぬか。」


「はい・・・ミヌを頼みます。」


そう言ってミナムが部屋を出ようとした時、医師が振り返り


「ソウシ様にお伝えください。今から治療しますので来て下さいと」


「わかりました。」


部屋を後にしたミナムは、ソウシを呼んだ。ソウシはミナムの肩を叩いて、


「後は任せろ。」


そう言って、数名の黒騎士達と部屋に入って行った。パタンと閉じたドア・・・ミナムはじっとその扉を見つめた。その向こうにミヌがいる。俺がもう少し優しくしていれば――――後悔が押し寄せてきた。そして、壁に背中をつけ、ミヌ・・・こめん・・そう心で呟いて徐々にへたり込んだ。しばらく、床をじっと見つめていると影がミナムを覆った。顔をあげるとそこにはクオンが立っていた。


「ミナム殿・・・すみませんでした。」


そう言って目の前で泣き崩れるクオンに


「クオンお前はよくやったよ。」


「し・・しかし・・」


その時、扉が開いた。そして、ソウシが一言


「山は越えた。」




だっと立ち上がりミヌが寝るベットへ駆け込むミナムの目には、眠っているミヌの姿があった。


「ミヌ・・・ごめん」


その光景を見て、ソウシは胸が苦しかった。俺は何も言うことができない。すっとその場を抜けた。

一人部屋で窓から少し差し込む光の線を見つめるソウシの姿がそこにあった。ふと思い出すミヌが無事だと知ったときのミナムの笑顔・・・・それに比べ俺は、何浮かれていたんだ・・・そう思うとため息しか出ない。そんな時だった。


「ソウシ様」


「なんだ」


「敵がわかりました。すぐに来て下さい。」


「わかった。」



ソウシがミヌの部屋の前を通るとミナムは、ミヌ横でじっと看病をしていた。


「ミナム様はいかがいたしましょうか。」


「まぁ・・いい・・・」


こうしてソウシは、ロビーに向かった。



ミナムは、ミヌの顔をじっと見ていた。青あざが所々あったがこれは数日で消える医者から聞いていた。ただ、眠っているミヌを見るミナム、ミヌごめんな・・この言葉を・・・心の中で呟いた・・・



その頃、ロビーでは、奴の正体がわかったと報告が入ってきていた。


「奴の名は、オスギ、正体不明、ただ記録によりますと、怪力の持ち主だそうです。」


「怪力だと?どういうことだ?」


その言葉に全く納得が出来ないソウシ、怪力を売りにする奴はこの世には五万といる何故怪力?ソウシの鋭い目が報告をしているものにむけられた。ビクッとなって慌てて資料をめくる報告者


「えっ~と、資料によりますと、ある日全裸で現れた奴を、衛兵が捕らえようとした時、衛兵が数人吹き飛ばされています。」


「その位、いくらでもいるだろう」


「それに、」


「それに?魔封じの手錠も効かなかったそうです。」


その言葉に驚くソウシ、魔封じの手錠、正確には、背中に両手を回してその親指の付け根に取り付ける手錠のことで、怪力と呼ばれる兵達もこれは、はずすことが出来なかった。


「どういうことだ。」


「はい。手錠をかけたところ、意図も簡単に手錠をちぎったそうです。」


「そうか・・・」




翌朝になって、目を覚ましたミヌ・・・目の前にはベットに頭をうつ伏せにして寝ているミナムの姿があった。ミナムも目を覚まして、目を開けているミヌの頭を優しくなでた。


「大丈夫?」


「うん・・・ミナムさん・・ごめんなさい。」


「俺の方こそ・・・ごめん・・・」


「いえ・・・カーネルさんもいるのに・・・私こそ、わがまま言って・・・んんっ?」


ミヌは目を見開いたミナムが唇をふさいだからだった。しばらくして、唇が離れて、目から涙が出そうになるミヌは、必死にこらえた。


「俺こそ、すまなかった。お前も大事なパートナーなんだから。」


う・・嬉しいそう思ったミヌは、涙をこぼした。その涙を手で拭いたミナムは、再びミヌにキスをした。





そんな時、カイン城には、ようやくオスギが入城していた。そして、ポムがチョウハと話をしていた。


「やけに遅かったではないか。」


「少々、実戦から離れてましたゆえ、肩慣らしをしてまいった。」


「それでどうだった。」


「黒騎士団はたいしたことないようでしたが・・」


「が?」


「途中、オスギ様と互角に戦うやからがおりまして。」


「ほう?そのようなものがいたのか・」


「ええ・・・魔導士と一緒におりましたので取り逃がしました。」


「それほどか・・・で次はどうか。」


「魔導士を痛めつけました故、次は倒せるかと。」


ポムは笑みを浮かべていた。

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