パニックはつづく
湯船につかったカーネルは、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。しかし、その頭の中は疑問だらけだった。ここはどこなのか、そして、裸で寝ていたということは、と思うと居ても立っても居られない。少し考えればわかりそうなものなのだが、見たこともない風景に冷静さを失っていた。ふとお風呂場を見回し、唇を湯船まで沈めてプクプクと息を吐いて、心でつぶやいた。
どうしよう
その頃、ミナムは自分の部屋を片付けていた。しかし、あの衝撃的な血のことが頭から離れなかった。
ひょっとして、おれが傷つけたのか?そんな言葉が脳裏をよぎって仕方がないのだが、記憶がない自分に腹が立つ。こうして、片付けをしながら気を間際らせていたのだが、気が付くと浴室の前に立っていた。
「カ・・・カーネル」
ミナムの声を聞いたカーネルは、驚いて思いっきり湯船のお湯を飲み込み咳こんでしまった。そして、その咳が浴室に響いた。しかも、外にいるミナムにもその咳は聞こえてきた。
「カーネル、大丈夫か?」
ようやく咳を止めることができたカーネルは、ようやく答えることが出来た。
「ええ、大丈夫よ。ちょっと、水を飲み込んだだけ、ところで、どうしたの?」
どうしたの?という言葉に生唾を飲み込んだミナム、そして、あの血のことを思わず聞いてしまった。
「さっき、血がでていたけど、大丈夫か」
ミナムの言葉にカーネルの顔が真っ赤になった。それは、さっきの光景を思い出したからだった。しかし、そんなことは関係ないようにミナムの声がしてきた。
「カーネル」
その言葉にふと我に返るカーネルだった。
「え?何?」
「さっき、血が出ていたけど、大丈夫か」
生理のことだ。そう思ったカーネル
「ええ、生理の血だから大丈夫。心配しないで」
カーネルの言葉を聞いたミナムは、ホッと胸をなでおろした。そして、カーネルの為の服を取ってきた。
「それと服置いとくから。」
「ありがとう」
生理か、ちょっと待てよとミナムは近所のコンビニへ行った。
風呂から上がったカーネルは、おいてある服を見て愕然としていた。それは、服が男物だったからだった。これを着るの?そう思うのも当然で、下着まで男物だった。流石のカーネルもこれには抵抗があった。そして、とりあえず、バスタオルを巻いて、洗面所を出てミナムを呼んだ。しかし、反応がない。不思議に思って、廊下に出ると部屋の方から”ピンポーン”という音が鳴るのが聞こえてきた。
何だろう?と思い部屋に行くがそこには何も見当たらない。しかし、何度も”ピンポーン”という音が繰り返しなる。そのことに戸惑うカーネルは、耳を塞いだ。
外には、早瀬由美がいた。おかしいな~よっちゃん・・いないのかな?そう思ってノブを掴むとカチャリとドアがあいた。
「無用心だな」
そうつぶやいた由美が扉を開け、「失礼します・・」と声をかけ中に入ると奥の部屋に人影が見えた。
そして、あっいるじゃないと由美はこっそりと部屋に入っていった。
一方、カーネルはさっきまでの変な音が急にやんだの不思議に思っていた。その時だった。
「よっちゃん!!」と言う声と共に後ろから誰かに胸をつかまれた。
むにゅという感覚が由美の手に伝わった。「あれ!!」と由美が声を上げた瞬間だった。
「ただいま~!!」
ミナムは家に戻ってくるとカーネルの叫び声がしてきた。
「きゃ~!!!!?!○×△!!!!!」
「どうした!!」と慌てて部屋に入りミナムが目にしたのは、カーネルに抱きついている由美の姿があった。
その頃、あのUSBを渡した杉山は、もとの持ち主のところへ行った。
「山っち、おるか~?」
部屋の前まで行くとその扉は半開きだった。あれ~山っちにしては無用心だな~そう思いながらも
「山っち。部屋に入るぞ~」
中に入っていくと山っちは、パソコンデスクにうつ伏せになって座っていた。そんな姿を見て、なんだ~いるじゃね~かとそう思い山っち肩に手を置いた杉山は、動かない山っちに驚いた。そして、寝てるのかなと思い山っちの肩を揺らした時、ゴロンと力なく頭が動き、その横画をを見せた。そして、こめかみから血を流れてるのが見えて驚いた杉山は、叫び声をあげ腰を抜かしていた。
「うぁぁあああ!!」
その時だった。カチっという音と共にこめかみに何か金属の冷たさが伝った。
「静かにしろ!!」