誤報 2
ミナムの情報は、カーネルの元にも届いていた。
嘘よね・・・・ミナム―――私・・・・信じないから・・・・目の前にある結婚式の写真を見ていた。
その時だった。
「カーネル!!隠れるのじゃ。」
ナラ姫の言葉に思わず身を隠した私。外から声が聞こえてきた。
「本宮様、カーネル殿を引き渡していただく。」
「お主ら何を血迷うておるのじゃ。カーネルは罪人でも何でもないぞ」
「ミカドがご寵愛をと」
えっ?一体何を言ってるのよなんで私がミカドなんかと寝ないといけないの?そう思っているとナラ姫が杖で使いのものの顎を突き上げた。
「お主ら?正気か?」
「ただ・・ミカドが・・」
ナラ姫は杖を持ち上げ使いのものの顎を持ち上げた。
「たわけ者め! ミナムはまだ行方不明なだけじゃろ、それに、仮に死んでも一年は喪に服すのが道理じゃ!!」
「し・・しかし・・」
「ミカドの伝えとけ、今は、カーネルを渡さぬと!!」
「わ・・私が・・・」
「不義密通罪でミカドも死刑になると伝えよ。」
報告を聞いたミカドは怒った
「何?渡さぬと・・」
それを横で聞いていたフトー
「ミカド・・・ナラ姫の言うとおりです。」
「う~きっとあやつを手に入れてやる!!覚えていろナラ姫!!」
一方、本宮では、ナラ姫とカーネルが話をしていた。
「大丈夫でしょうか?」
「お前は心配せず、その子のことを考えていたらよいのじゃ。」
「ミナムは?」
「多分、行方がわからないだけだと」
その頃、ミナムは落ちた崖の下で刀を立てていた。
「何をしているの?」
ミナムの行動を不振に思ったミヌが聞いてた。
「ん?これ?」
そういうとその刀はぱたりと倒れた。その方向を見て指を指した。
「よしこっちだ」
その様子を見て不審に思ったソウシが
「何をやってるんだ?」
「この方向に行こう。」
ミナムの言っていることがあまりにも唐突で意味がわからないミヌは
「ソウシ殿。なんとか言ってくださいよ。」
「まぁ。とにかく、ミナム殿のいう方向に向かいましょう。ちょうど、この方向にハン城があります。」
「ほら見ろ」
そう言ってミヌのほうを見るミナム
「単なる偶然よ」
「あっそ・・」
そんなミナム達の行動を知らなかった坂上大将にある情報が届いた。それは山口隊報告書だった。そこには、驚愕の事実が載っていた。ミナム達らしき遺体の発見とハン城が無事であった。そして、坂上大将はがある城を指差した。その城こそハン城だった。
「あの城は、まだ生きている。その城までの街道を制圧すれば、わが軍に勝利が見えたぞ!!」
こうしてハン城奪還作戦が始まった。
そして、ミナム達の遺体発見の報告は京に届いた。
うそ・・よね・・そう嘆くカーネル――――彼女を抱きしめるナラ姫の姿がそこにあった。そして、耳元でボソッと呟いた。
「ミナムはまだ生きておる。」
「えっ?」
「これは、秘密じゃぞ・・・」
大極殿では、ミカドが踊っていた。
「これで余の邪魔をする奴はいなくなったぞ。」
山口隊報告書
坂上大将の命令の元、我々山口隊は、崩壊したユウ城の方を向いて、進軍を開始した。我々の行く手には、一体何が待ち構えているか、これは神のみぞ知るところとなっている。それは、ユウ城の大爆発により、通常の街道が既に存在せず、しかも、どこに何者かが息を潜めて隠れているか我々にはまったくわからない状況であった。それは、野獣なのか?それとも何か得たいの知れないものなのか、はたまた、ギオン軍なのか?それを知るすべは我々にはなかった。そして、我々は、もっとも過酷な陸路を選ぶことにした。空路は、幾度となく偵察隊が目の前で撃墜されているのを見ている。もちろん、我々の力ではどうすることも出来ない状況だった。こうして、しかたなく我々は陸路を選んだ。行軍を進める我々、ユウ山脈の森林が我々に襲い掛かってきた。この日は突如の大雨が我々を襲う。爆発により街道はところどころ崩れ、時々の崩落に我々は備えた。そんな中で、ある崩落が我々を驚愕させた。その崩落と共に蛇の群れが我々の目の前に現れた。しかし、我わらが気付いたときには既に遅かった。我々は、既に蛇の群れに囲まれていたのだ。
我々は、必死にその群れを避けつつ、最新の注意を払い我々は進軍していった。その時だった。
「隊長!!大丈夫ですか。」
「だいじょうぶだ。」
隊長である私が、蛇にかまれてしまった。その瞬間蛇の群れは我々に対して牙をむいてきた。我々は、必死に戦った。そして、何とか、我が隊は、魔導士殿のフリーズという氷結魔法によって救われた。
やがて、我々が進軍していくと、我々の行く手を阻む大きな障害が立ちはだかった。それは、完全に崩落しきった街道であった。なんとそこは、約1マイルくらいにわたり崩落をしており、しかも我々が進もうとするとすぐに崩落をしてしまう状態であった。
しかし
その時である。
我々はあるものを発見した。
それは、少し向こうに崩落を免れた街道の一部が残っており、そこには3体の真っ黒な遺体、そして、その横には、1頭の馬が死んでいるのが遠めであるが我々に確認できた。そして、山口隊長はこういった。
「あれが、ミナム達の遺体だ!!そして、これ以上の進軍は不可能だ!!」
ここまで進んだ我々だったが、すぐに崩落する地面、そして、ユウ山脈の自然の驚異に疲労も限界に来ていた。しかたなく、我々は進むことをあきらめ、この場で、ナム殿の遺体に黙祷を捧げた。そして、隊長の英断の元、坂上大将の元へ戻ることとした。
この報告書を見たミカドは、大いに喜んだ。
「ミナムは死んだのだと・・・」
しかし、その他の者達は、呆れて何もいえなかった。そして、この報告書はカーネルの元にも届いた。
「どうじゃ?」
「どうって?」
その報告書を見てカーネルは呆れた。結局、遺体そのものを発見したわけでないし~しかもなんなの?蛇たちの群れとの格闘って、しかも、隊長さんかまれるって?これって報告の意味があるの?そう思っているとナラ姫が言った。
「とりあえず、ミナムは死んだことになった。」
カーネルは焦ったこんな報告書で死んだことになるなんてひどい・・
「本宮様」
ナラ姫は、じろりとカーネルを睨み、よそを向いてこういった。
「都合がいいではないか。ミナムが死んだこととなれば、ミカドもお前に手を出すまい。カーネルよ。悲しいふりをしろよ」
「えっ?」
「いいか?」
そう言ってナラ姫はカーネルに顔を近づけた。
「わ・・わかりました・」
こうしてミナムの訃報は京中に知れ渡った。