大爆発!!
ミヌがクオンに乗って戻ってきたのは、ミナムとソウシが座り込んでしばらくしてからだった。
「ミナムさん!!」
ある木の下で肩を並べ座り込んでいる二人の姿を見たミヌ。ミナムさん大丈夫?ひょっとしてとミヌを驚かせた。そして、近くによると二人とも足を前に投げ出し、寄り添って座っていた。近づいてきているミヌに気付いたミナム
「ミヌ・・・戻ってきたのか?」
ソウシもミヌに気付いて
「ミヌ殿無事であったか?」
二人の様子を見たミヌ・・・心配して損したわ・・・なに仲良く座ってるのよそう思いつつもミナム達の前に行くと
ミナムが話しかけた。
「ミヌ・・怪我は大丈夫か?」
「かすり傷よ。ほら」
ミヌはすっかり直った怪我を見せた。
「それより何もないわよね!!」
ミヌの言葉に顔を合わせるミナムとソウシ・・・何、顔を合わせてるのこの二人ひょっとしてなにかあったの?
「この通りへとへとだよ。」
「さっきまで戦ってたんだから・・」
やっぱり・・・何か?おかしい・・
「ミナムさん・・・カーネルさんに報告するわよ」
「ミヌ・・・俺達戦ってただけなんだから」
「本当に?」
「本当だよ」
「まっいっか・・よいしょ」
そう言ってミヌは二人の間に座った。そして、握り飯を二人に渡した。そして、坂上大将が言っていたことを伝えた。
「ユウ城をあんなに簡単にわたして、奴はギオンのスパイか? だって・・」
「ちょっとまて、俺がなぜギオンのスパイ?」
「このままじゃまずいわ」
「なぜ・」
悩んでいるミナムにソウシが言った。
「たしかに大体、ユウ城はとられるし、軍にも相当のダメージをだしている。そして、運悪いことにミナム殿が敵を追い返せたこと。普通これは出来ぬことだ・・」
「そ・・そんな理由で・・・」
ガクッとうなだれるミナム・・・を見たソウシ
「このままじゃまずい・・」
「あっ!!」
そう声を上げたのはミナムだった。
「な・・なによ!!急に声を上げて!!」
ミヌは驚いてミナムの方を見た。すると、ミナムの手にはあの小さな蝋燭があった。あ・・あれ・・・あのときの?―――ん?なにか少し大きいような?
「じゃじゃーん」
そう言ってミナムはその蝋燭を手にして高高と掲げた。
「それは?」
「ミナムさん・・・それって・・」
ミヌはミナムが手にしているものを指差し驚いていた、その様子にソウシを不思議に思っていた。何をミヌはそんなに驚いているんだ?
「そうこれは・・・あの大爆発をした奴の大きいやつです。」
爆発だと・・・ひょっとしてあのミドリを一瞬で全滅した奴なのかこれが?しかもこんなに小さいものがソウシがそう思っているとミナムがニコリとした。
「ミヌ・・・これここからだと届かないから、テレポートの魔法でユウ城の上まで飛ばしてくれ!!」
ミナムの言葉に少し悩んだ表情のミヌ
「しかし、私の魔法だとあそこまで雷撃は届かないです。」
「これに火をつければいいだけだ。約2秒くらいあるから、あそこまでは持つだろう。」
「それなら可能です。けど・・」
「けど・・」
困った表情をするミヌ・・・
「どうしたんだミヌ・・」
「100%狙ったところに行くわけではないですよ。」
「なぜ?」
「自分がテレポートするわけじゃないから・・・」
「そうか・・」
一体何を話しているんだ?この二人は?ソウシは疑問に思い尋ねた
「ミナム殿。一体これから何を?」
「これをあそこで爆発させる。」
ミナムが指差した先はユウ城の本丸だった。その言葉を聞いたソウシは戸惑った。ちょっと待て、ミナムはまさかあの本丸を吹き飛ばすつもりじゃ・・
「まさか・・本丸を吹き飛ばすつもりじゃないでしょうね。」
「ソウシ殿、安心してください。いくらなんでもそこまでの破壊力はないですよ。」
ミヌはミナムが手にしているものを指差して
「けど・・・前より大きいです・・・本当に、大丈夫ですか?」
「ああ・・大丈夫だと・・・思う・・・・多分・・」
その多分ってなんですか多分って・・二人はミナムにそう突っ込みたかった。しかし、今の戦局を打開する手はほかになかった。
「ミナムさん。やりましょう。」
一方、カクサンは、ワカタケル総帥とアスケ原へ進駐している5大将軍のコウリクとチョウハに戦局を伝えていた。報告を受けたワカタケル
「そうか・・ミナムは、オスギと同じか・・・」
オスギと同じということは俺と同じか・・・しかし、なぜこうも簡単にユウ城を明け渡した?敵の戦略のミスといえばいいが、心配のし過ぎか?それとも、しかし、このままではミナムにやられる可能性が高い。やはりオスギをぶつけるか・・
「オスギを派遣準備せよ・・」
「かしこまりました。」
またアスケ原に進駐しているコウリクとチョウハはたまたま合流しているところにカクサンの伝令が来た。
「そうか・・カクサンもよくやってるな、しかし、ミナムとやらは、あのオスギと一緒とは。」
「そうだな~」
そういった瞬間だったものすごい爆発音が轟音となって彼らを襲った。
「なんだあの音は?」
今度はしばらく地面が揺れた。
「じ・・地震だ!!」
この異変に気付いた二人は、ユウ城を見て愕然とした。
「あれは?」
時間は少しさかのぼって。ミナムは、例の蝋燭のようなもの実は少し大きめの爆竹に火をつけた。
「ミヌ・・テレポート」
「はい!!」
そう言ってミヌは、テレポートの魔法を使った。そして、飛ばされた爆竹は、ユウ城の本丸を外れ
本丸がそびえる崖の中腹ぐらいに飛んでいた。
「し・・・失敗です。ミナムさん」
ミヌがそう叫んだ瞬間だった。爆竹から閃光がきらめいたと感じた瞬間、その閃光に当たりは包まれた。ミナムは慌てて盾を構えミヌとソウシをミナムの影に入れた。次の瞬間、大轟音と共に大爆発をし、きのこ雲が発生した。
その爆風は離れていたミナム達にも襲い掛かってきた。必死に絶えるミナム・・・しばらくして、爆風がやんだ。
轟音は、ユウ峠の坂上大将まで聞こえた。
「何が起こった。」
そう言って坂上大将がユウ城をみるときのこ雲が立ち上っていた。
「なんだ?あれは?」
「ミナムさん・・・何が大丈夫ですか」
ミヌに怒られるミナム・・・そんな?ここまで破壊力が・・・そう思ってソウシを見ると彼女は呆然と
ユウ城の方を見ていた。
「まさか・・」
そう言おうとした時、ミナムはソウシの視線の先に何があるかを見て言葉を失った。そして、ユウ城を見た全員が目の前の現実を受け止めることが出来なかった。そこには、ユウ城は跡形もなく、しかも、城が建っていた小高い山は半分が崩落し、まるで火山が噴火した後のように原型をとどめていなかった。また周囲にあった原生林はほぼ壊滅し、ところどころ火の手が上がっていた。やがて、あたり一面を雲が覆い急に雨がふった。
これがユウ城の大爆発として語られ、ミナムが起こした。爆発として、ミナムの今後の運命を変える出来事となった。。