ユウ城・・・陥落2
ギオン前線では・・・ユウ城攻略の指揮を任されていたカクサンが声を上げた。
「いよいよ、ユウ城を攻略する時が来た!!勝鬨を上げろ!!」
各部隊から歓声があがった。そして、
「先日、正門も完全に攻略、そして、中間門の撃破しました。後は、城内の最期の門だけです。」
「よし、最期の門を突破して城を落とすぞ!!」
陣内から再び歓声があがり夜明けとともに先発隊から順に出陣した。電光石火のごとく、次々とユウ城の防衛隊を破るギオン軍――――昼には最期の門が陥落し、本丸が落城した。やがて本隊とともにカクサンがユウ城に入って行った。こうしてユウ城は陥落した。カクサンが入場してしばらくしてのことだった。
ドーン!!
轟音と共に地響きが本丸を揺らした。その轟音を合図にグレース兵1000がユウ峠からユウ城に向け進軍した。その戦闘にはもちろんミナム達もいた。
「行くぞ!!」
ユウ城のあちこちで轟音と共にあがる黒煙――――まさしく、敵は混乱しているミナムはそう思っていった。しかし、ユウ城に向かう途中で待ち伏せにあった。
「撃て!!」
号令と共にミナム達を無数の砲弾が襲った。その号令をあげていたのはなんとカクサンだった。
空城の計をしたつもりだろうが・・・あまいな・・・ミナムが盾で、攻撃を受け止めている中、死者が増えていった。
「きゃっ!!」
「大丈夫か!!ミヌ!!!」
「ちょっとかすっただけ。」」
ソウシがその状態を見て、ミナムの方を振り返り叫んだ
「このままではまずい。」
「クオン!!ミヌを頼む!!」
「わたった。」
ミヌをクオンに乗せたミナムが叫んだ
「退却!! 退却だ!!」
その叫びとともにグレース兵が退却を始めた。
「ミナムさんは」
「俺はしばらくここで踏ん張る!!」
ミヌが泣きながら
「私も残ります。」
そこへソウシが来てミナムを制した。
「ミナム、無謀なことはするな!!」
「ソウシ殿、ミヌを頼む」
「・・・・」
「ソウシ殿・・」
「その前に敵に一太刀を浴びせよう。」
そう言ってソウシは、剣をかまえた。
「真空波!!」
そう言って敵の一部を崩壊させた。
「ミナム・・・わたしも・・」
ミヌがそういった瞬間、ミナヌは、クオンの尻を叩いた。
「行け!!クオン!!」
「ミナム!!」
クオンはミヌを背負ってひたすら走ったユウ峠に向かって・・
一方、ソウシはミナムの横に立っていた。
「私も残る。」
「ソウシ殿、あなたにはまだ、やることがある。」
「ミナム殿をここで死なるわけにはいかぬ。」
ミナムはチラッとソウシのほうを見た
「勝手にしろ」
「そうさてもらう」
ソウシとミナムは前の軍勢を見ていた。そして、ミナムが言った。
「敵はざっと千人いるな。」
「怖いのか?」
「いや?ちょっとな・・」
「おまじないをしてよろうか」
ソウシが笑顔を見せたとき砲弾が飛んできた。あわててソウシをミナムは自分の影に入れた。
「あぶない。」
その時だった。ソウシはミナムに軽くキスをした。
「おまじないだ!!」
「ソウシ殿・・・」
その様子を見たカクサン――――「追撃せよ!!」そう叫ぼうとした瞬間、真空波が左の砲撃手十数名を吹き飛ばした。しかも、よく見ると目の前でたった2人で突っ込んでくる馬鹿な奴を見つけた。バカめ。そう思いカクサンは叫んだ
「あいつらへ攻撃を集中しろ。」
銃声と号砲がけたたましく鳴り響き、砲弾がミナム達に集中し、ソウシの前に出て盾を構えたミナムを直撃した。
「ソウシ殿!!!」
「ミナム殿!!!」
ミナムの影に隠れたソウシ・・・砲弾の全てを受け止めているミナムに・・・轟く爆音・・・吹き上がる爆煙と共に二人の姿は見えなくなった。
「やった!!」
その様子を見ていたカクサンは、確信した。しばらく、舞い上がった砂煙で前の状況が見えなかった。その時だった。砂煙の中から真空波がカクサンを襲ってきた。
「何!!」
間一髪よけたカクサンだったが、かなりの人数がやられていた。次の瞬間、ミナムが切りかかってきた。そして、ミナムが切りかかった刀が大筒をスパッと切り裂いた。うそだろう・・あの鉄の塊を?と思った瞬間ミナムはその大筒を片手に持ち、別な大筒へ向け投げつけた。一瞬にして、カクサンが準備していた陣内は混乱に陥った。
「このやろう!!」
銃弾がミナムを直撃したが、まったく効かない。その様子を見てカクサンは思い出した。自分達の軍にもう一人同じ奴がいることをこのままでは全滅だ。
「退却だ!!退却!!城まで戻るぞ!!」
カクサンの軍は一斉に退却を始め、ユウ城に戻った。
敵の軍勢が去ったのを確認したミナムとソウシ・・・
「やったか・・」
「ああ・」
ふとミナムはソウシの顔を見て笑った。
「何笑ってんだ。」
「ひでぇ顔だ・・」
「何よ・・ミナム殿こそ・・」
二人はしばらく笑いそして近くに木にもたれかかり座り込んだ。
「疲れたな~」
「ああ・・」