婚儀まで・・・2
みんなの視線を浴びるミヌは、いきなり頭を下げた。
「ごめんなさい!!」
「どこ行ってたんだ?」
ミナムの一声にビクッとなりシュンとするミヌ―――それを見て、ヤマト姫が追い討ちをかけた
「―――そうじゃ・・・皆に心配かけよって・・」
「すみません・・本宮様のところへ行こうとしたら迷って・・・」
ヤマト姫の上目使いで申し訳なさそうにしているミヌ・・・・そこへ、フトーがにこやかな顔をして、話に入ってきた。フトーの方を見るミナム達・・・
「いや~ははは・・・帰り道に偶然、ミヌ殿を見かけて声をかけたんじゃ・・・そうしたら迷子になっているというではないかじゃから、同じ方向だから連れてきたんじゃ・・・」
「フトー様・・・迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」
今度はフトーの方に向け頭を下げるミヌ、慌ててヤマト姫も頭を下げた。
「フトーよ、礼をいうぞ。お前ら何をしておる・・礼を言え・・・礼を」
あ・・そうだとばかり慌てて、頭を下げるミナムとカーネル
「ありがとうございました。」
フトーは左手を挙げ、ニコニコしながら
「何も・・・そこまでは・・・偶然通っただけじゃから」
「そうか・・・」
こやつ・・・何か企んでおる・・・そう感じたヤマト姫―――ミヌの方をチラリと見るとミヌが目をそらした。そんな時だった。フトーが咳払いをしてこう話した。
「ところで・・婚儀の件ですが、日取りは明後日に決まりました。」
――――――はぁぃぃい?・・フトー殿・・・今・・なんとおっしゃいました?、目が点になるミナム、そしてカーネルと顔を見合わせた。
うそ~!!明後日・・・婚儀って・・・と両手で口を隠しミナムを見つめるカーネル
驚いている二人の姿を見て、ヤマト姫とカーネルの両親が顔を見合わせた。
「お主ら・・どうしたんじゃ?」
「えっ・・・今聞いたんで?」
「何?自分らの婚儀の日取りも知らなかったんか?」
「ええ・・まぁ」
ミナムは頭をかいて、カーネルの方を見た。
「知ってたのか?」
顔を小刻みに横に振るカーネル・・
「いえ・・」
ヤマト姫がふとミヌに目をやると驚いた様子はなかった。
そこへミナムとカーネルの肩をバンと叩いて抱え込んだカーネルの父親
「そんなに驚くことなのか・・・ちょうどいいじゃないか・・いや~めでたい・・」
「おとうさん・・・」
「その通りじゃ、それでは支度があるので、カーネル殿は母君とこちらへ、ミナム殿はこちらへ」
ミナム・カーネルは別々の侍女に連れられそれぞれの部屋にいった。
その場に残ったフトーとヤマト姫、
「お主何を考えておる。」
「いや・・何も」
「真か?ミヌに何をした。」
「おおっと・・・そんな怖い顔をせんでも・・・本当に何もしておらん。ただ・・」
「ただ?」
「勾玉と鏡―――そして薬を渡しただけだ・・」
「なぜ・・・」
「ミナム殿に勝ってほしいからじゃ・・・」
「ほう・・・もっともらしいことを言うのう」
「斎宮様・・・考えすぎじゃよ・・それじゃ・・」
あやつ・・・一体何を?そう思うヤマト姫・・しばらくして、二人の会話を見ていたミヌのほうを見たヤマト姫・・・
ボーッとしていたミヌは、さっきのことを思い出していた。
「ミヌ殿・・・この度の叛乱は、グレースの存亡にかかわる問題じゃ・・・予言の通りミナム殿が救世主であれば、すでにミザキはこの地にいることになっておるしかし、ミザキは未だに消息すらつかめておらぬのじゃ・・・ただ・・・」
「ただ・・?」
「わしらの情報では・・・今回の叛乱の首謀者ワカタケルとその部下オスギ、ミナム殿・・そして・・」
「そして?」
「お前、ミヌ・・・お主ら4名があやしいとわしらは考えている。」
「ええ!!!」
フトーの言葉に驚くミヌ・・・
「隠しても無駄じゃわしらの情報網を甘く見るな・・・それでだ・・お主はミナムに一番近い人物の一人じゃ・・・本来は、カーネルに頼むところじゃが・・・事情があって頼めぬのじゃ。」
「事情って?」
「それは言えぬ・・・それとミナムの情報を報告してほしいのじゃ。」
「それって・・」
ミヌはソウシ殿と言おうとしたが飲み込んだ。
「ソウシじゃろ・・」
フトーの一言に言葉が出ないミヌ・・・
「ソウシは、マヤザキの息がかかっておる。」
「しかし、わたしもその怪しいリストに入っているのでは?」
「ほかにおらんのじゃ。それと渡したものはいずれ必ず必要になるじゃろうから、持っておけ・・・それとこのことは他言無用じゃぞ・・」