馬車の中
「あ・・・痛て・・・なんだこれは。」
「だ・・だから・・言ったじゃない!!」
「そうですぅう 痛い」
「・・・・」
ただじっと目をつぶっているソウシ・・・
俺達は今、京に向かう海軍特急馬車の中・・・
特急馬車といっても椅子は硬く・・クッションなんかまったくない。
それにもまして道が悪いときている。ただでさえ乗り心地が悪いのに・・・それは、数時間前のことだった。予定時刻に指定場所に来た俺達の目の前には馬4頭で引くタイプの馬車が一台・・・
「これに乗るのですか?」
「そうです・」
にこやかに答えるハリー提督、そこへカーネルが
「私たちは、飛んでいきますので・・」
その言葉を聞いたハリー提督が怪訝な顔をしたと思ったら、
「いかん!!、君達も乗るのだ!!」
「ええ!!」
驚く3人
「君達の護衛のためである!!!」
「し・・しかし・・・提督・・・」
そう答えようとするソウシにミナムが
「せっかくだから乗ろうぜ」
ミナム殿・・・余計なこというなよ・・・しかもそんな軽いのりで・・・ソウシが思っているとドンと背中を押された。
「さ・・・乗った乗った・・」
こうして無理やり馬車に乗せられた4人だった。
「ここまで・・・ひどいとは・・・」
「もう・・・信じられない・・・」
がたがた揺れる馬車の中でお手玉状態で攪拌される俺達はあちこちに叩きつけられていた。
これは・・・たまらん何とかせねば、そう思ったミナムは運転手に向かって叫んだ。
「う・・・運転手さん」
「なんですか・・」
しかし、激しく揺れる馬車の中では声は途切れ運転手にまともに届いていなかった。
「少し・・・あ・・・として下さい」
「了解」
そう言ってパシっとムチを振るった。
ますます速度を上げる馬車・・・運転手さん・・・ち・・ちがうって!!わっ!!
馬車は速度を上げるごとにますますゆれはひどくなった。
「ミナム何やってるのよ!!」
ミナムに睨みを利かすカーネルを見て、俺はゆっくりといったつもりだったのだがもう一度
「運転手さん!!ん?」
ミナムがふとソウシに目をやると青ざめた顔をしていた。
「ソウシ殿・・・大丈夫ですか?」
「わ・・・私に声をかけるな!!」
その言葉に驚くミナム・・・ソウシ殿・・・ひょっとして・・・乗り物酔い?や・・やばいよ・・・
「う・・運転手さん!!」
ミナムはそう叫んだが遅かった。
「うっ!!」
「わ~!!」
「キャー!!」
ミナム達は目の前の光景にどうすることも出来なかった。
ただ大慌てで、こぼれてくるものを手で受けていた。
「と・・止めてくれ!!」
しばらくして京に着いたミナム達・・・
「もう・・・最低!!」
「う~」
そう言いつつもミナムを睨むカーネルとミヌ
「・・・・」
ソウシはただ一人俯いていた。
「ソウシ殿、大丈夫ですか?」
ミナムがソウシに声をかけたことに切れたカーネル
「あんたのせいでしょ!!」
そう言ってミナムの頬をつねった。
「コホン!!」
迎えに来たフトーがそんな4人の様子を見て目を丸くした。
「いかがされた。」
「まぁ・・・馬車が・・すごい揺れまして」
「へっ?」
ミナムは馬車で来たことを説明した。
「はっはっはっ」
「笑い事ではないですよ。」
「そうですか。それは、大変でしたね。ところで挨拶がおくれました。私、フトーと申します。」
フトーは軽く笑みを浮かべ、ミナムに手を差し伸べた。
「ミナムです。」
そう言って握手をするミナム・・・
「お噂はかねがね聞いております。」
噂ってどんな噂だ?