大混乱!!
決闘場では、ミナムに抱きつくカーネルの姿があった。
一方、ゴリアテは、気絶したままだった。
会場には、なんとも言えぬ空気が流れていた、そう、
村人たちは、名士の息子が完全に負けたことに動揺していたのだった。
そして、ヤマト姫が今回の決闘が終ったことを告げようした時だった。
「意義あり!!」そう叫んだのは、ゴリアテの兄、ガリデアスだった。
「この決闘は、無効だ!!」
その声に、ヤマト姫が
「わしの判断に間違いがあるというのか?」
「そうではありません。途中まで、別の魔導士を使っている時点で信じがたい。」
「そこまで疑うのか?」
ヤマト姫の一言に
「その通りです。私も信用できません」
そう言って、村の衛兵隊長もでてきた。
そして、ミナム・カーネルそして、ミヌを衛兵隊が取り囲んだ。
どうする?とあせるミナム、とりあえず、何とかしないと。
その時だった。
「いでよ、結界!!!」そう衛兵隊長が叫んだ。
3人を囲むように結界が出来上がった。
魔法が使えなくなって、動揺するカーネルとミヌ
そこへ、ガリデアスの魔導士が攻撃をしてきた。
火炎の周りをバチバチとうなりをあげる電撃が走る球状のものがミナムたちを襲った。
ミナムは思わずカーネルとミヌを抱きかかえ、その攻撃を背中で受けた。
バチという大きな落ち共にミナムの背中でその火炎ははじけた。
3人は、その直撃で死を覚悟した。
ミナムの影で、目をつぶっていたカーネルとミヌ・・・
あれ・・?とふとミナムを見るとミナムは目を瞑ってぐっと絶えていた。
その姿を見て、カーネルは
「ミナム大丈夫?」
と声をかけると、ミナムは目を開け・・・
あれ?
「どうしたの?」
あんまり痛くない・・・・とだんだん背中が熱くなってきた。
顔がだんだん赤くなるミナム
「どうしたの?」、
思わずミナムは、二人を抱きかかえ、
「アツー!!!」と叫び飛び上がった。
二人もあわててミナムの首に抱きついた。
次の瞬間、3人だけでなく、そこにいた全員が目を疑った。
3人は、気づいたら雲の上まで飛んでいた。
「なんという、スピード!!」
「あんな、スピードははじめて見た。」
「ミナムというやつは、魔法も使えるのか、しかも・・結界が利かないぞ。」
衛兵隊の魔導士たちは、驚愕した。そして、はっと気づき、
「追いかけろ!!!」
と魔導士たちは、ミナムたちを追いかけた。
「ここは?」と驚くミナム
「さぁ?」とわけのわからない二人。
「どう見ても、雲の上だな?」
「ミナムどうやってきたの?」とミヌが聞くと
「ミヌの魔法か?」
「私じゃないわよ。」と二人がカーネルを見ると
「私も違うわよ。」
「じゃぁ・・・どうやって?」
不思議そうに考える3人、やがて、上昇が止まった。」
「ひょっとして・・・?」
3人はいやな予感がした。
徐々に落ち始めたのだ。
「あ~落ちる~!!」
衛兵隊の魔導士たちが、躍起になって、追いかけて飛んでくる間、
ミナムたちは、徐々に下降していった。
「ねぇ~私達どうなるの?」
ミヌが聞くと、
「たぶん・・・元の位置におちるわよ。」
とカーネルが言うと、
「魔法で何とかならないのか?」と聞くミナムに
「無理よ結界が!!」とすでにその落ちる勢いにパニックに近いカーネルとミヌ
「だいたいこんなに高いところまで飛んだことないし。」
だんだん重力加速がついていった。
「あ~落ちる!!!」そう叫んでも3人は落ちていく。
「きゃー!!!!!」
「どこまで、いったんだ?あいつら」と3人を追いかけていた衛兵隊の魔導士が
上を見ると黒い点がものすごい速度で近づいてきた。
その落ちてもののを見た魔同士達
「なにか!!来るぞ~よけろ!!」とおあわてでよけた。
「きゃー!!!」という叫び声と共に3人が落ちていった。
「あぶない・・・」と顔を見合わせた魔導士達だったが、
「あっ!!」とまた3人を追いかけた。
一方、ヤマト姫は「もうわしゃ知らん」と決闘場から出ていた。
その時だった。
どす~ん
決闘場のほうから大きな地鳴りがし、地震がしばらく起こった。
それに驚いたヤマト姫は、会場の方へ引き返した。
ヤマト姫が目にしたもの・・・それは、
ミナムを中心に大きなくぼみができ、決闘場は壊滅的打撃を受けていた。
「なんじゃ・・・これは・・・」
そして、中心には、カーネルとミヌをそれぞれを両手で抱え呆然と立っているミナムの姿があった。
それは、少し前のことだった。上空から落ちてきたミナムは、カーネルとミヌを抱えたまま、会場に着地をした。
「ついたぞ・・」
と一息するまもなく、地面はベコとへこみ、次の瞬間、地鳴りともに衝撃波があたりを襲った。
「うわ~!!!」
「なんだ!!」
衝撃波に飛ばされる衛兵達、そして、衝撃波で混乱するギャラリー
ただ真ん中で、衛兵達が飛ばされていくのを見て自体がわからないミナムたち3人・・・
衝撃波も収まり、辺りを見たミナムたち、自分を中心に半径5mほどの深さ2mほどの穴ができていた。
そして、ミナムは二人を地面に降ろし、
「一体、何が起きたんだ?」
「勝手に飛んで行ったみたいだけど・・」
3人は不思議そうに辺りを見て、顔を見合わせた。
「どうなってるの?」
「さぁ?」
そこには、崩壊した決闘場、その中にるいるいとと横たわる気絶した衛兵隊、ガリデアス、そして、ギャラリー達・・・
上空から戻ってきた魔導士達が、その光景を見て戸惑った。
「早く助けなければ」という魔導士がいる一方「何をした!!」と怒る魔導士がいた。
そんな中の一人が、「貴様!!何をした」と再び魔法で、ミナムを攻撃してきた。
とっさにミナムはその攻撃を、剣で跳ね除けた。
「えっ?」
その光景に驚く、カーネルとミヌ
「あの剣って、魔法を跳ね返すの?」
「そんな剣って・・・まさか?」
ミナムは、魔導士に向いて、剣をかまえた。そして、その魔導士に近づいて行った。
焦った魔導士は、
「わわ・・・!!!」
無差別に魔法で攻撃をしてきた。
それを、剣で跳ね除けるミナム、
やがて、ミナムは魔導士の間近に立ち
「もう・・いいでしょう」と魔導士に声をかけた。
魔導士もその恐怖に「は・・い・・」といって、その場から逃げた。
混乱する決闘場、その状態を見たヤマト姫・・・
このままでは、いかん!!と決闘場の祭壇に立ち、
「皆のもの!!」と叫んだ。
それを見たギャラリーは、
「斎宮様!!!」
「あれは、悪魔ですか?」
そう叫んだ。
「皆、静まれ!!」
「斎宮様~!!」
「あやつが、ミナムじゃ!!!」
そう言って、ヤマト姫はミナムを指差した。
皆がミナムのほうを驚愕の表情で見る、そして、口々に
「あの・・・」
「本当ですか?」
ヤマト姫は、コクリとうなずき、
「伝承の通り現れ、そして、魔導士と契約した。」
「何故、もっと早くわれわれに・・・」
一同が、救世主が現れたと喜びそうになった時、
「しかし、皆のもの、このことは、口外するな!!」
その言葉に驚く、一同・・・
「何故!!」
「この村の伝承であっても、京では、反逆になる・・・」
「では、どうしろと・・」
「あれは、ミナムではない。」
「じゃぁ、この現象は?」
「竜巻だ!! 衛兵隊長大丈夫か?」
そういってヤマト姫は、衛兵隊長を見た。
彼は何とか起き上がり
「はい・・何とか」
「決闘の最中に竜巻が起きたそう報告しろ、さもないとお前らも反逆扱いにされるぞ。」
「はっ・・・でも・・ミナムの件は・・・京でも・・」
まじめそうに答える衛兵隊長・・・
「何を言っておる。単なる伝承ではないか。」
「は?」
「あやつは、ミナムではない。」
「えっ?」
驚いて隊長は聞き返した。
「では、何故あのようなことを。」
「あの混乱を治めるためじゃ・・わかったな」
「はい。」
混乱する決闘場・・・その真ん中に立っていた3人・・・
決闘場に来ていた人々は、ミナムのところへ謝りにきた。
「ミナム殿・・申し訳ない・・・」
「いいよ・・俺は、それより、カーネルに謝ってよ」
ミナムは、そういって、カーネルの方を指差した。
「ミナムっ・・・いいってば・・」
「よくないよ・・」
そう話をしているとヤマト姫が現れた。
「ミナム。カーネル、ミヌよ、行くぞ。」
3人は、斎宮へ連れて行かれた。
一方、この事件は、京まで届いていた。
黒騎士団詰所、ここは、ミカド直属の近衛師団の配下にあり
征魔将軍となっていた、マヤザキにその一報が入っていた。
「マヤザキ様・・・」
「どうした・・・」
「ミナムが現れたと情報が?」
「ほう・・どこで?」
「斎宮のあるセイの地、カモベ村だそうです。」
「ほう・・そうか。」
「いかがいたしましょう。」
「まぁ・・ほうっておけ・・・また誤報かも、」
「しかし、被害が・・・」
「どんな被害だ。」
「竜巻がおき、衛兵隊を中心に多数の重傷者・・」
「ほう・・」
「決闘場が・・・崩壊したそうです。」
「崩壊・・か・・まあ・・まだ、ほっておけ、下がれ」
「はっ・・」
ミナムか・・・
まぁ・・いい・・・今回は、見張りもつけたし・・・
ミザキはそう思いつつ、詰め所を後にした。