ギタの最期
ベッツィーの前に膝をついたルーシー
「頼む仲間を逃がしてくれ。」
周りの海賊達は泣き叫んでいた。
その様子を見たベッツィーは、こう叫んだ
「よかろう!!逃げたい奴は逃げよ」
しかし、その声を聞いても海賊達は逃げなかった。
「俺達は、ルーシー様について行きます」
「お前ら・・」
その時だった。ベッツィーの横にミナムが来て、耳元でささやいた。
「そうだな・・それはいい案だ。」
「ルーシー」
ベッツィーを怪訝そうに見るルーシー
「このたびの叛乱は、あいつがルーシーの名を使って勝手にやったんだろ!!」
そう言って、ベッツィーはギタを指差した。
それを見たギタは、驚いた。
「えっ?・・おれ?」
ベッツィーの言葉が理解できないルーシーは聞き返した。
「それは?」
「つまり、ギタが勝手にやったことだ。そして、お前はギタの首を出して、ミカドに忠誠を誓えば」
「そんなことはできぬ」
頑なに断るルーシーの目の前ににソウシが来て話を始めた。
「今回の目的は、ルーシーの首ではなく、叛乱を収めることだ。」
「・・・・」
「ミカドはルーシーを投降させろともおっしゃっていた。」
ソウシの言葉に顔をあげるルーシー
「それは・・・どういう意味だ」
「お前ら海賊団がミカドに忠誠を立て、海軍と協力するといえば・・・助かるということだ」
そしてソウシは、海賊達にこう叫んだ。
「海軍に協力すれば、お前らもルーシーも助かるがどうする!!」
どよめく海賊達・・・しかし、しばらくして
「ルーシー様が助かるなら俺達ついて行きます。」
「ルーシー様!!」
その様子を見て俯くルーシー こいつら・・・本当にバカなやつらだ・・・
そしてこうつぶやいた。
「ありがたい・・」
こうしてルーシーは軍門に下った。
「さてと・・こいつの首をはねるか・・」
そう言って、ベッツィーは、ギタの方へ歩いて行き刀を抜いた。
その刃先がギタにむけられ、ただビビッているギタ・・・その時だった。
「まってくれ・・・」
その声の主はカイソンだった。声のする方を振る向くベッツィー
「ベッツィー様・・・あなたの仇でしょうが・・われわれ船長の仇でもあります・・・」
「それが・・・」
「俺の手で仇をとらせてくれ!!」
そこへルーシーが続いた。
「こいつは、わしの仇だ・・・カイソンにやらしてくれ。頼む」
目の前で頭を下げるルーシーを見て過去の記憶がよみがるベッツィー
こ・・こいつは・・・父の仇・・・わ・・・わたしが晴らしたい
そう思っていた。
しばらく、立ち尽くすベッツィー
その思いを消したのはポンとベッツィーの肩を叩いたミナムがだった。
「ミナム殿・・・」
「見ろ」
「えっ?」
ミナムの指差した先には、恐怖にただ体をガタガタ震わせ、小便を漏らし
「ヤ・・ヤダ!!!死にたくない・・・助けてくれ!!!」
そう叫んでいるみっともない姿のギタがいた。
「こんな奴がお前の仇か?」
その惨めな醜態を見たベッツィー・・・しばらくその様子を見ていた。
そして、こんな奴・・・こんなくだらない奴に、親父は・・・
そう思うと涙が出てきた。そこへミナムがベッツィーの両肩に手を置いた
びくっとなるベッツィー涙目のままミナムを見返した。
「こんな奴に、ベッツィー殿の手を汚すことはない」
「し・・・しかし・・・」
そう言って泣き崩れるベッツィーを次の瞬間ミナムが抱きしめた・
「心配するな・・」
「でも・・・」
「くやしいか?」
「・・・」
「お前は十分にやった」
ベッツィーはミナムの胸の中で泣いた。
しばらくして、落ち着きを取り戻したベッツィーは。ミナムを見上げ見つめた
その時だった。
「いてて!!」
ミナムが急に叫んだ
「いつまで抱き合ってるの!!」
そう言ってミナムの耳を引っ張ったがカーネル
あ・・・やっとわれに返るベッツィーは俯き黙り込んでしまった。
そこへソウシが
「ベッツィー殿。それでは、カイソンが仇を撃つということでいいな」
黙って頷くベッツィー
「ありがとうございます。」
次の瞬間、カイソンは刀をギタに振り下ろした。
こうしてダイズ沖会戦は終わり、ルーシーの叛乱は、ギタの愚行であったこと
そして、ギタの首を差し出したルーシーはミカドに忠誠を誓った。