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狼と熊と、ひよっこ騎士団 (枠取り用、執筆途中

枠取り用

執筆途中

挿絵(By みてみん)

「お前たち、その程度か!?」

 ウォルフガングの厳しい声が飛ぶ。

 レーヴァの領主館の中庭、訓練場。若者たちの訓練指導役のルシア家筆頭騎士ウォルフガングが、椅子に腰掛けたまま腹の奥から響く声を上げて叱咤する。

 身体を鍛えるための基礎訓練だが、鍛えられてない見習いたちには苦しいだけの行為だ。しかし、このくらいを楽にこなせなければ武道の訓練もままならない。

「誰が休んで良いと言ったのか!」

 コツコツと杖をつきながら近づくと、力尽きて動けなくなった見習いの1人に桶の水をぶっかける。それでもピクリとも反応しない。

「今日はここまでだ!」

 片手を上げて合図する。その号令に気が抜けた何人かがばたばたと倒れる。

 並べてある水桶を右手で掴むと、ウォルフガングは彼らの頭に水を叩きつけるように次々とかけていく。

 皆すっかり疲れ切っていた。

「いや、待て‥‥まだ日暮れには早い」

 館からのそりと出てきたのは領主館の主人、シグルドだ。

 長身に貫禄ある野太い肉体は鍛え抜いた筋肉と脂肪で築かれている。

 ウォルフガングのふた回りは大きい巨体を誇る大熊のような戦士。

 しかし、この体格にしてその俊敏さは筆頭騎士を上回る。

 英傑シグルドが訓練場に現れる意味を悟って、見習いたちは震え上がった。

「はい、お館様」

 主君の登場に、筆頭騎士は一礼をして見習いたちに振り返る。

「何をしてるか、貴様ら! ぼやぼやするな! 走れ!」

 再びウォルフガングが号令を飛ばす。若者たちが飛び上がるように走り出す。

 厳しい表情と態度は崩さないまま、ウォルフガングは若者たちがしごかれる様子を、かつての自分の姿と重ねて懐かしく感じていた。

 追い立てられるように訓練場を出て、走っていく見習い達。

 幾人かの動きをシグルドが視線で追いかけている。

「ウォルフ、真ん中と、後ろのあいつらの剣術訓練はもっと後でいい」

 太い指で差しながらシグルドは示す。

「わかりました。基礎訓練を中心に続けさせましょう」

「うむ、後は任せる‥‥ふん、走らせるなど。甘いぞ、お前は」

 ニヤリと笑って主君は顎髭を撫でる。見習いたちを庇って逃した事など、お見通しだと言いたげにじろりと見やる。

「また見習いに夜逃げされますよ‥‥」

「そうならないようにもっと鍛えあげろ、お前は甘過ぎる」


※ウォルフ38歳 シグルド43歳 フレイア16歳 フェリシア12歳

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