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第15話 武具屋ハンマー&ナックル






 俺は今、サラミスの街中の裏通りを歩いている。表通りとは違い、どこか年季を感じる建物が軒を連ねている。


人通りは少ないが、あっちこっちから鉄を叩く音が聞こえる。鍛冶屋が結構あるみたいだ、手入れ用の油の匂いも何となくしてきた。


ハンマー&ナックルって店はどこだろう、文字が読めないのは不便だ。スキル取ろうかな・・・実はSPを1ポイント残してあるのだ、剣術スキルを習得する為に。


なぜ今まで使ってないかというと保険みたいなものだ、剣の才能がないかもしれないからな。戦闘用のスキルは必要だ。などと考えていると突然目の前に冒険者風の男が吹き飛んできた。


「うわ、なんだ?」


一軒の店から飛ばされてきたみたいだ、俺の目の前でゴロゴロと転がって止まった。


「いててて、何すんだじじい!」


「やかましい! お前みたいなヤツに売る武具はねえ、とっとと帰りやがれ」


「へん、言われるまでもねえ! 綺麗な姉ちゃん店員のいるファンシー&ガーデンで買うからいいよ」


「おう、そうしろ、軟弱な店のでも買いやがれ」


なんだ、客と店員の揉め事か。


しばらく様子を見ていると店のオヤジに声をかけられた。バイキングヘルムがよく似合う髭もじゃで筋肉質な体形のドワーフのおやっさんだ。とても頑固そうだ。


「なんだ、何か用か小僧」


小僧、40超えて小僧呼ばわりは初めてだ。ドワーフのおやじさんからすれば小僧と言えば小僧かもしれんが。


「あの~、ハンマー&ナックルって店を探しているんですが」


「うちだ」


ドワーフのおやっさんは腕を組み、こちらを睨みつけてきた。


「あ、そうなんですか、武具が欲しいんですが」


「冒険者か」


「はい」


「何年経つ」


「登録したばかりです」


「その歳でか、随分のんびりしてるな」


「よく言われます」


ドワーフのおやっさんは俺を見据えて、何やら頷いているみたいだ。


「予算は」


「3万~5万Gゴルド位で」


「5万にしろ、自分の命を預ける武具に金をケチるな」


「は、はい、5万Gで」


「何が欲しい」


「剣です、剣が欲しいです」


その途端、ドワーフのあやっさんの目じりが吊り上がり、頑固そうな態度を露にした。


「斧にしろ」


「え? だけど」


「斧にしろ」


「け、剣を」


「斧にしろ」


「しかし、」


「斧にしろ」


「・・・」


「斧にしろ」


な、何故ここまで斧を押してくるんだ? さっぱりだ。


「ちょ、ちょっとだけショートソードとか持ってみてもいいですか」


「小僧、武器ってのは鉄だ、わかるな」


「は、はあ、わかるような、わからないような」


「わかるならええ」


ワゴンに入っている安物のショートソードを手に持ってみる。


「あれ?」


なんだろう、あまりしっくりこない、ハンドアックスを持っている時の方がしっくりくる。試しに店に置いてあるショートアックスを持ってみる。


「あ、しっくりくる。なんでだ?」


「やはりお前さんは斧向きだ、それを買っていけ」


斧向き、そうなのか、剣と魔法の異世界だから剣に凄く憧れてたけど。俺って斧向きなのか。焦ってSP使わなくて良かった。


「それと、盾が欲しいんですが」


「盾だと、お前さん筋肉があまりついとらんようだが」


試してみよう、鉄の盾を持ってみる、・・・重い、マジか、盾ってこんなに重いのか。


「だから言っただろう、力が足りんのだ」


斧と盾の斧騎士スタイルで行こうと思ってたけど、盾は無理なのか。


・・・力、力か、そういや力の能力値を底上げするスキルがあったな。力が上がれば攻撃力も上がるか、・・・よし、スキルとっちゃえ。(メニューコマンド)、(スキル)、・・・よしあった、「ストレングス」。


SP1ポイント使って「ストレングス」のスキルを習得する、力+5の効果があるはずだ。


(ステータス)、・・・よし、力の値が3+5になっている、力の合計値が 8だ。


「お?なんだ、急にたくましく見えるんだが、気のせいか?」


「たぶん気のせいです」


「よーわからんがこれなら鉄の盾を装備できるかもな」


鉄の盾を持ってみる、うん、いける。


「はい、・・・大丈夫そうです、これも下さい」


「分かった、あとは鉄兜に鉄の小手、鉄の具足もだな、鎧は鎖帷子くさりかたびらにしとけ」


「ウェポンホルダーとバックパック、それと革のグローブも欲しいんですが」


「・・・革製品か、それなら・・・そうだな、全部で5万Gにしてやろう。買っていけ」


「はい、ありがとうございます、勿論買います」


ポケットから金貨1枚をだして、おやっさんに渡す。お釣りとして大銀貨5枚を受け取る。


早速買った装備品を装着する、うん、いい感じだ。悪くない。少し重量があるくらいだが、これくらいなら何の問題にもならない。


「何時でもいいから手入れしに来い、いいな」


「はい、ありがとうございますおやっさん、そうします」


武具屋ハンマー&ナックルを後にして俺は次の店へ向かう事にした。


鉄製の武具を装備しているので、歩くたびに鉄と鉄が擦れてガシャ、ガシャ、と音がでる。隠密行動には不向きだな。だけど鉄の武具を装備しているってだけで、なんだか自分が打たれ強くなった気分になった。おそらくだけど防御力も上がっている事だろう。


あとは服とか下着とか、あと財布用の小袋も欲しい、いい買い物だったな。


これで少しは戦士らしくなったかな。




おじさん次のステージにいくよ











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