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第129話 お城で夕食(ディナー)





 俺達はセレニア城内の一室を用意されて、そこで寛いでいる。寝室は二つありそれぞれ俺とスカーレットさんが使う事になった。ピピは俺の隣で寝るそうだ。夕食の時間までこの部屋で待機しているのだが、そろそろスカーレットさんに動いてもらおうかな。


「スカーレットさん、まずはシスターマリーの捜索に手を貸してくれて感謝しています」


「え? なに突然、今更でしょ、そんな事、仕事なんだから気にしなくてもいいのよ」


「なにはともあれ、シスターマリーが見つかった訳なので、報酬の金貨一枚を渡します」


「ちょっと、何言ってんのよ、まだサラミスに帰っている訳じゃないじゃない、まだ仕事中よ、帰ってきてからでいいわよ、・・・それより、アフターサービスをしてほしいんでしょ、言いなさいよジローさん、金貨一枚分の働きはするわよ」


「・・・さすがスカーレットさんですね、こちらの意図を読んでいましたか、早速なんですけどこの国での闇の崇拝者がらみの情報を、可能な限り入手してほしいのです、シスターマリーも襲われた訳ですし」


「わかったわ、任せて頂戴」


「探る相手が相手ですから、慎重に行動してください、とても危険な仕事になると思いますから、危険を感じたら無理せず手を引いてください」


「わかっているわよ、私たち盗賊ギルドが今まで危ない情報を手に入れて、危険な目に会わなかったとでも思っているの?、むしろそういう事に慣れているわよ、心配しなさんな、引き際はわきまえているわ」


「頼みます、くれぐれも気をつけて」


「それじゃあ、行ってくるわね」


「え?、これからですか、もう夕食の時間だと思うのですが」


「まあ、任せておきなさい、この時間帯からやっている酒場っていうのは、大抵そういった情報がころがっているものよ、それじゃあね」


スカーレットさんは部屋を出て行った、この時間から情報収集をするそうだ。ここはスカーレットさんに任せておこう、彼女はプロだ、この国にもツテはあるのだろう。


しばらくして、メイドさんが夕食の用意ができたと伝えに来た、貴族用の食堂へ案内される。


食堂に着くとジョアンナ様とシスターマリーがすでに席に着いていた、ご子息のジョナサンさんはいないようだ。


「お待たせしました、ところで、ジョナサン様のお姿が見られませんが・・・」


ジョアンナ様が答える。


「お兄様は病弱なのです、ご自分のお部屋で夕食を取っていらっしゃるのでしょうね」


「そうなのですか」


「あれ?、ジローさん、スカーレットさんはご一緒ではなかったのですか」


「ええ、彼女は別件で用事があるそうです」


「そうですか」


貴族用の食堂には細長いテーブルが一つあり、端のほうにジョアンナ様が座り、離れたところにシスターマリーが座っている、俺はシスターマリーの少し離れた隣に座る。ピピにはさくらんぼをいくつか用意してある。高そうな料理が次々と運ばれてきて、まるでフルコース料理を食べているようだ。シスターマリーは食前の祈りをしている、俺も慌てていただきますをする。そして食べる、うまい。とても贅沢な夕食であった。うまかった。ピピはさくらんぼだけ食べて満足しているようだ。


「ごちそうさまでした、・・・さすがに妾の子と一緒に夕食を共にするのは疲れますわ」


「す、すいません」


まただ、またジョアンナ様はシスターマリーを罵っている、だけど、なんだろう?何故だかジョアンナ様は無理をしてシスターマリーを毛嫌いしている様に見受けられるのだが。ちょっと聞いてみようかな。


「あの、ジョアンナ様、お聞きしたい事があるのですが」


「あら、何かしら」


「・・・どうしてシスターマリーに辛く当たるのですか」


「それはこの子が妾の子だからです」


「・・・私にはジョアンナ様が無理をして罵っていらっしゃるように見えるのですが」


「な、何の事かしら・・・」


「シスターマリーと仲良く出来ませんか・・・」


「ふ、ふん! 無理ね、所詮わたくしとその子では立場が違いすぎますわ」


「・・・だけど、本当はシスターマリーの事を大切に思っているのではないのですか」


「・・・何の事だかさっぱりわかりませんわ、わたくし、もう行きます、失礼!」


ジョアンナ様は逃げるように食堂を出て行った、辺りには静けさが漂っている。失敗したか、シスターマリーの方を見ると、俯いて食事をしている。なんだか可哀想だ。ふいに、シスターマリーが話し掛けてきた。


「ジローさん、いいんです、ジョナサンお兄様もジョアンナお姉様も私の事を疎ましく思っていますから、最初に顔を合わせた時からずっとあの調子なのです、・・・そりゃあ、私だって兄姉がいると聞いたときは、興奮して、嬉しくて、ああ、私、一人ぼっちじゃないのね、って思って、早く会いたいって思っていました、だけど、・・・・・・」


「シスターマリー・・・・・・」


「仲良くなるのはもう無理だと、諦めていますから、いいんです、ジローさん」


「・・・・・・」


う~む、どうなんだろう、ジョナサンさんとはまだ顔を合わせていないから何とも言えないけど、ジョアンナ様の態度を見ると、何て言うか、何か隠している様な、そんな感じなんだよな。本気でシスターマリーの事を疎んでいないように思うのだが、はてさて、どうしてなんだろうか。




おじさん、お節介なのかな











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