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第127話 セレニア城





 俺とスカーレットさんとピピは、シスターマリーと共に騎士ヨムンさんに連れられて、この街の中心部にあるセレニア城へ向けて歩いている。城壁は三重になっていて、外壁がぐるりとセレニア全体を囲んでいて、中心部近くにもう一つ城壁がある。その中心部に近づくにつれて立派な建物が目立つようになってきた、おそらく貴族街なんだろう。俺達はその貴族街を抜けてさらに中心部へ、ここにも城壁があり、セレニア城をぐるりと囲んでいる。非常に堅牢な守りだ。城壁の上部の通路には兵士が絶えず見張っている。


お隣の国、パラス・アテネ王国で魔物の大侵攻スタンピードが発生しているから、その煽りをくらって警戒態勢の布陣を敷いているのかもしれないな。なんだか物々しい感じだ。


そして、目の前にこれまた立派なお城が見えた。セレニア城だ、大きいな。この公都のど真ん中に位置している立派な建物だ、西洋のお城って感じだ。


「さあ、着きましたぞ、ここがセレニア城です」


「凄く大きなお城ですね、流石公爵家の方が住まう建物です」


「うむ、今はなき公爵様のご子息様、ジョナサン様とご息女様のジョアンナ様がおられるだろうから、粗相の無いように頼むぞ」


「はい、できるだけ大人しくしています」


門衛の兵士にぺこぺことしているのはシスターマリーだ、こういう所は変わらないな、自分も公爵家の一員だというのに。


「どうも、衛兵さん、お勤めご苦労様です」


「は!、勿体無きお言葉、恐縮です、マリアンデール様、しかし、お1人で城を出られた時は何事かと思いました、無事お戻りくださり安堵しております」


「どうも、ご心配をおかけしました」


「さあ、マリアンデール公女様、中へ入りましょう」


「はい、そうですね、それではこれで失礼致します」


「は!」


門衛の人にもちゃんと挨拶して、俺達はセレニア城へ入っていく、大きな玄関扉を潜り、エントランスに、これまた広い、走り回れるぐらい広い。まあ、そんな事はしないけど、1階は使用人達の部屋なのかもしれないな、俺達はすぐ近くにある階段を上っていく、2階、3階、と来てここで騎士ヨムンさんと別れた。


「それではマリアンデール様、わしはこれにて失礼致します、会議がございまして」


「あ、はい、騎士ヨムンさん、お疲れ様でした、会議がんばってください」


「ふぉっふぉっふぉ、マリアンデール様は腰が低くて調子が狂いますな、もっと尊大な態度でもよろしいのですよ、あなたは公女殿下なのですから」


「・・・私はシスターです、ただのマリーですよ・・・」


「またその様な、・・・あなた様は公爵令嬢です、誰が何と言おうと・・・それでは、失礼致します」


騎士ヨムンさんは行ってしまった、何か会議があるらしい。シスターマリーはなんだか元気がない様子だ、ここでの生活が肌に合わないのかな。


「シスターマリー?」


「あ、ごめんなさい、ちょっと考え事をしていて、さあ、私のお部屋へご案内します、どうぞこちらへ」


シスターマリーは気持ちを切り替えて、俺達の先頭を歩き出した、どうやらシスターマリーの部屋へと案内してくれるようだ。


廊下を歩き、さらにまた階段を上がり、5階まで来たところで一風変わった内装の廊下へと出た。もしかしてお偉いさんしか来る事ができない廊下なのかな。そして廊下を歩く事5分ぐらい、衛兵が二人、扉の前で立っている。扉の前でシスターマリーは歩みを止めた。


「お勤めご苦労様です」


「は!」


シスターマリーは二人の衛兵に挨拶した、礼儀正しいな。


「ここです、このお部屋が私が使わせてもらっているお部屋です」


「ここですか、なんだか大きい扉ですね」


「中も広くて、私1人ではとても使い切れないのですよ、さあ、どうぞ」


「はい、失礼します」


扉を開けて中へ入る、・・・確かに広い部屋だ、調度品なども高そうな感じだ、部屋の中にまた別の部屋のドアがある、いくつ部屋があるんだ。おっと、こっちは寝室か、クイーンサイズのベットだな。おっといかん、女性の寝室をあまりきょろきょろする訳にはいかんな。寝室を後にする。


俺達はまず、一番大きな中央の部屋にあるソファーに腰を落ち着ける。するとどこからともなくメイドさんがやって来て、ティーセットを運んできた。俺達の前のテーブルの上に紅茶が置かれる、いい香りだ。高級な茶葉を使っているのかな。紅茶を一口、うむ、うまい。


「さて、ジローさん、お聞きしたい事がいっぱいあります、まず、なぜこのセレニア公国に・・・」


「ああ、それは・・・」


話の途中で、扉がバタンッと勢いよく開き、誰かがノックもせずにいきなり入って来た。


「マリアンデール! 何ですか! 誰の許可を得て勝手に客などこの城に招き入れたのですか!」


な、なんだ? 突然現れていきなり捲くし立てるように喋り掛けてきたんだけど。俺何かやらかしたか?


見ると、これまたえらいべっぴんさんだった、20歳ぐらいかな、金髪縦ロールのお嬢様然とした女性だった。だけど何やら怒っていらっしゃる様だ。


「ジョアンナお姉さま、突然入ってきてびっくりしましたよ」


「あなたなんかにお姉さま呼ばわりされたくありませんわ! 卑しい妾の子が! 勝手に客など入れて! 大方このセレニア公国の乗っ取りでも話し合っているのかしら!」


「そ、その様な事など考えてもいないですよ」


「ふん! どうだか・・・」


なんだかすごい人が現れたな、いきなり出てきてシスターマリーを罵りはじめたぞ。と、とりあえずご挨拶しとかないと。


「初めまして、冒険者のジローと申します」


俺は立ち上がり挨拶する。


「ふん! 卑しい妾の子の客だけあって、泥臭い冒険者だなんて、この城をあまり汚してほしくはないのですけど」


・・・挨拶はしてくれそうにないな、それにシスターマリーがさっきジョアンナお姉さまって言っていたから、たぶん公爵家のご息女、ジョアンナさんなんだろう。それにしてもすごい性格のようだな。




おじさん、面食らったよ













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