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第125話 シスターマリーを捜して





 俺達は、連れ去られたシスターマリーを捜してセレニア公国まで来ている。スカーレットさんの知り合いがやっている店があるそうで、その酒場へ向かっている。シスターマリーの情報が得られるといいんだけど。酒場へと到着した。ドアを開ける。


「いらっしゃい、空いてる席にどうぞ」


「元気そうだねえ、シゲイル、変わりないかい」


「!?あ、姐御! スカーレットの姐御じゃねえですかい!」


「久しいねえ、あんたに会いに来た、っと言いたいところだけど、仕事よ」


「へっへっへ、な~んだ、そうですかい、どんな仕事ですかい?」


「人捜しよ、ねえ、シゲイル、シスターマリーって女を知らない」


「はあ、・・・シスター?、シスターってんなら女神教会じゃねえんですかい?」


「それがこの国の出じゃないみたいなのよ、バーミンカムのサラミスって街の出らしいんだけど」


「はあ、そう言われてもシスターマリーなんて心当たりがありませんぜ」


「そう、じゃあどうしましょう、ジローさん」


「そうですねえ、シゲイルさんの言うように女神教会に行ってみますか?」


「でも、騎士風の奴らに連れられていったんでしょ、だったらこの国のお偉いさんが一枚噛んでいるんじゃないの?」


「う~ん、そうですね、俺もそう思います、だけどこの国の偉い人と言われても、まったく見当がつかないんですよねえ」


「シゲイル、何か情報ってないの」


「う~ん、そう言われても、どんな情報ですかい」


「シスターマリーは確かマリアンデールと呼ばれていたんですけど」


「!?マ、マリアンデールですかい! それなら今一番熱い情報ですよ!」


「どう言う事?」


「へい、なんでも先代の公爵様がパラス・アテネのクレオネス大王と共に戦死して、今この国では跡目争いがあるんですよ、息子のジョナサン、娘のジョアンナ、そして、市井の出のめかけの子でマリアンデールってのがいるみたいなんですよ」


「妾の子?」


「へい、なんでも今のいままで市井に出ていたらしいんですがね、ついこの間戻って来たらしいんですよ」


「その妾の子の名前がマリアンデールって言うの?」


「へい、間違いありません」


な、なんと、シスターマリーは公爵家の人間だったのか。どうりで知らなかった訳だ。まさかそんな事情があるなんて思いも寄らないところだ。


・・・しかし、そうか、シスターマリーは公爵家の人、つまり公爵令嬢というやつで、この国の次期公爵を巡って跡目争いに巻き込まれている可能性がある、って訳なんだな。そりゃあ騎士が動く訳だ。なんだか面倒な事になってきそうだぞ。


「ジローさんが捜しているシスターマリーってのが、もし本当に公爵家のご令嬢だったとしたら、おそらくお城にいるんじゃない」


「そうなりますね、・・・お城ですか・・・なんとかお城に入れませんかねえ」


「気をつけた方がいいですぜ、なんでもマリアンデールって人を担ぎ上げている貴族連中がまた一癖も二癖もある連中らしいですからね、市井の出の女を次期公爵に、って輩ですからね、一筋縄ではいかないですよ、きっと・・・」


「シゲイルさん、情報ありがとうございます、あ、それと昼飯ってありますか?」


「へ? ええ、ありますよ、兎肉のいいのがありますぜ、煮込みがありますが、どうしますか」


「では、二人分下さい、ピピはさくらんぼだよね」


「・・・うん」


こうして俺達は昼食を取るのであった。兎肉は柔らかくて美味しかった。初めて兎肉を食べたな。


昼飯を食べ終わって、これからどう動くべきかスカーレットさんと相談だ。まずお城へ何とかして入れないものか、・・・無理だろうな、こんな一冒険者をそう易々と入れてはくれないだろうな。


「ねえ、ジローさん、いっその事シスターマリーの方から出向いてもらうっていうのは?」


「どういう事ですか」


「城の衛兵に伝言を頼むのよ、マリアンデールではなく、シスターマリーの名を出してお城の外へ来てもらう、っていうのはどう」


「ふむ、いけますかねえ」


「やるだけやってみましょうよ」


「そうですね、行きますか」


「じゃあ、そういう事で、シゲイル、情報ありがとね」


「スカーレットの姐御、また何かありましたらいつでも頼ってください」


「ありがと、それじゃあね、ご馳走様」


「お気をつけて」


俺達はシゲイルさんの店を後にした。さて、これから城がある中央区へ行って、城の門衛の人に伝言を伝えないとな。このまま歩いて城がある方へ向けて行く事になった。・・・・・・っとその時、城方面から誰かが走って来た。・・・あ、あれは黒い修道服、金髪のショートヘア、間違いない、シスターマリーだ。シスターマリーが向こうからこちらに走って来た。見間違いじゃないよな。


「シスターマリー! シスターマリーじゃありませんか!」


俺は咄嗟に声を掛ける。向こうもこちらの声に反応して立ち止まる。やっぱりシスターマリーだ。


「え?! ジ、ジローさん? 何でジローさんがここに?・・・は!、そんな事より、ジローさんも早く逃げてください! 私、なんか変な人達に追われているんです!」


「え?! 追われている? この国の騎士がシスターマリーを連れ去ったのではなかったのですか?」


「いえ! 違います、騎士ではありません!、今追ってきているのは全身黒ずくめのローブを纏った人達です!」


?どういう事だ? シスターマリーを連れ去ったのがこの国の騎士で、今追われている状況ってのが何なのか訳がわからない。そうこうしていると黒いローブに身をつつんだ何者かが3人、シスターマリーを追うようにやって来た。


「・・・マリアンデール・・・お命、頂戴する・・・」


「ひ!?」


俺は咄嗟に間に割ってはいる。


「ちょ、ちょっと待って下さい、いきなり何なんですか、あんたら」


「邪魔をするなら、貴様も排除する・・・」


なんなんだ、こいつらは、こんな人の往来がある所で、・・・


「シスターマリー、狙われる心当たりは?」


「勿論ありません!」


ふむ、っと、いう事は、こいつ等なんらかの命令でシスターマリーを狙っているという事だろうか?


「お前達、何者だ」


「貴様には関係無き事だ、おとなしくその女をこちらに渡せ・・・」


「そう言う訳にはいかないんだよね、事情がまだわからないから」


「これもホークウッド様の計画なのだよ」


・・・こいつ等! 情報を喋りやがった。俺達もここで排除するつもりまんまんじゃねえか。


それに今、確か、ホークウッドとか聞こえたが、アレは確かザンジバル王国にいた時に、確かラッセルの偽者だったか、そいつが最後に言った言葉の中にホークウッドって人の名前が出てきたな。


「・・・・・・お前ら、闇の崇拝者か・・・」


「・・・・・・」


図星のようだ、参ったなこりゃ、それを聞いて黙ってこの場を去るのは出来なくなってしまった。シスターマリーも助けないとな。やれやれ、何だか面倒な事に巻き込まれているなあ。




おじさん、出来る限り穏便に対処したいよ













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