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第122話 ネモ山を越えて





 俺達は山賊のアジトを後にして、ネモ山を西へと歩いている。途中で合流したブライガー伯爵とその護衛のフランクさんはネモ山を越えた先にある自分達の領都へこれから帰るところのようだ。


「ジロー君達、どうだね、セレニア公国に行く前に我が領へ立ち寄らんかね」


「それが良う御座います、ジロー殿、スカーレット殿、ピピ殿、是非ブライガー領へ足をお運び下さい」


「うーん、そうですね、そうさせて頂きます。どのみちセレニアへ行くにはブライガー伯領を通る事になりますから」


「やったわ、野宿に比べたらそっちの方が断然いいわよね」


「・・・さくらんぼ・・・」


「お、そういやあもうお昼か、ブライガー伯爵様、そろそろ昼食にしませんんか」


「おお、そうだな、フランク、飯にしよう」


「はい、伯爵」


そういえば、ファンナに連絡しないとな、俺は伝意の石を取り出してファンナに向けて話しかけた。


「あ~、もしもし、ファンナ、聞こえるかい、聞こえたら応答してくれ」


『・・・あ、聞こえますよ、ジローさん、今丁度話そうと思っていたところです』


「そっちの様子はどうだい、こっちは山賊を壊滅させてネモ山を越えている最中だよ」


『え? ジローさん、山賊に会ったのですか、しかも壊滅させたって聞こえましたけど』


「うん、そうなんだ、まいったよ、途中で大型モンスターとの戦闘になっちゃってね、ああ、もう終わったから心配しなくていいよ」


『そ、そうですか、流石ジローさんです、え~と、こっちはですね、一応サリー王女様に会えました、それでシスターマリーの事を聞いたのですが、やはり知らないそうです』


「そうか、それじゃあやっぱりシスターマリーはセレニア公国に連れて行かれたようだね」


『それとですね、ジローさん、バーミンカム王国の軍隊がパラス・アテネ王国へ向けて派兵されるそうですよ、サリー王女様が国王の名代として派遣軍の陣頭指揮を執るそうです、それに騎士グレンさんもご一緒するそうです』


「へ~、バーミンカム軍をパラス・アテネ王国に派兵か、王様も色々大変そうだな」


『それと、何故か私もサリー様の護衛兼お話し相手として、サリー王女様に付いて行く事になりまして、騎馬部隊は陸路を使って行くそうですけど、王女様達の歩兵部隊は船に乗って海路でパラス・アテネ王国に入るそうです』


「え?、ファンナ、サリー様と行動を共にするのかい、って事は、ファンナはパラス・アテネ王国に向かうって事かい?」


『ええ、そうなります、だけどいずれにしても、セレニア公国に行くにはどの道パラス・アテネを経由しますから、サリー様もジローさんとの合流をする為に、私の護衛はパラス・アテネまででいいと仰られました、船を使って海路で行きますから、到着は10日以上あとになるかもしれませんが』


「そうか、わかったファンナ、パラス・アテネに行くのなら十分に気をつけるんだよ、モンスターの大進行スタンピードがあるからね」


『はい、それではジローさん、パラス・アテネで会いましょう』


伝意の石から声が聞こえなくなった、一日一回の制限らしい、そうか、ファンナはサリー王女と行動を共にするのか、無事にパラス・アテネに到着するといいな。


「何かね、ジロー君、随分と便利そうなアイテムを持っているみたいじゃないか」


「ああ、これは伝意の石といって、遠く離れた相手との会話ができるマジックアイテムらしいのです」


「ほおー、便利そうじゃないか」


「ええ、実際便利ですよ、先程の声の主は俺の仲間で女性剣士のファンナという女の子です、とても強いんですよ」


「ほー、そうかね、話を聞く限りだと、その子はパラス・アテネに行くそうだが」


「ええ、そこで合流って事になりそうです」


「そうかね、・・・さあ、飯にしようではないか」


「そうですね、お腹が空きました、パンと干し肉とチーズしかありませんんが」


「それで結構、旅の携帯食などそんなものだよ」


「まあ、お手軽ですしね」


こうして俺達は昼食を取るのであった。昼飯を食べ終わり食後の休憩をして、俺達は歩き出した。


・・・そして、3日後、モンスターとの遭遇戦もあったが、俺達はネモ山を越えた。ここはもうパラス・アテネ領だ、シスターマリーが連れ去られて8日、急ぐ旅ではあるが、途中休憩しないとこっちがもたない。俺達はブライガー伯爵領へ立ち寄る事にした。


「さあ、着きましたぞ、ここがブライガー伯爵の領都、ヒャッハーの街です」


へ~、ここがブライガー伯の納める領地か、サラミスの街と同じぐらいの規模の街だな、ちゃんと城壁もあって立派な街じゃないか。だけど・・・・・・


「お帰りなさい、伯爵」


「伯爵、お土産は?」


「わー、はくしゃく、あそぼー」


「これこれ、伯爵様は疲れておいでだよ、およしなさい」


「は~い・・・」


「すいません伯爵様、元気な子達で」


「はっはっは、別に構わん、俺様が留守の間、変わりないか」


「ええ、静かな物ですよ」


「うむ、結構、結構」


な! 何だ! この街の人達は! 女性はいい、普通だ。問題は男の方だ。


「伯爵! お帰りなさいませ! おーーい! 伯爵が帰ってきたぞーーー!」


「「「「 お帰りなさいませ、伯爵 」」」」


「おう! 今帰ったぞ!」


何と言うか、男はみんなモヒカンかスキンヘッドしかいない、ぱっと見、どちらが山賊かわからないぐらいだ。世紀末じゃないんだから。何処を見てもモヒカンかスキンヘッドだ、まともそうな感じの人は女性ぐらいだ、いや、見た目で判断しちゃ悪いな、もしかしたら性格はいい人達なのかもしれないし。


「おや? 伯爵、客人かい」


「うむ、俺様の客だ、この者達は結構やるぞ」


「へ~、そうなのですかい、よろしくな! お二方」


「・・・ピピもいる」


「うお!、なんだ、妖精か、脅かすなよな、しかし妖精連れとは珍しいな、まあ、ゆっくりしていきな」


「はい、お邪魔致します」


ブライガー伯爵の屋敷に到着した、中々立派な建物じゃないか。木造建築で3階建ての立派な屋敷だ。ブライガー伯爵の屋敷に入ってもモヒカンとスキンヘッドばかりだ、どうなっているんだこの街は。


「まあ、俺様の屋敷でゆっくりしていくといい」


「ご招待に預かり恐縮です。ブライガー伯爵様、有難う御座います、暫くご厄介になります」


「うむ、あ、そうだ、ジロー君に渡したい物があるのだがね」


「渡したい物ですか? 何でしょう」


「ふふふ、楽しみにしているがいい」


何だろうか、渡したい物って、まあいいや。これでようやく人心地つく事ができるぞ。ここはもうパラス・アテネなんだから。後は街道沿いに行けばセレニア公国まであと少しだ。ようやくここまで来たか。




おじさん、流石に疲れたよ








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