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第120話 ネモ山の山賊のアジト





 俺とピピとスカーレットさんは、ブライガー伯爵とフランクさんを交えてネモ山を登っている。山道も勾配が緩やかになってきた頃、遠くの方で何やら砦らしき物が見えてきた。あれかな、山賊のアジトってのは。


「ほ~う、ジロー君達はそのシスターマリーという人物を捜しているのかね」


「ええ、そうなのです、それでセレニア公国まで行こうかと」


「そうなのかね、我々はこれから自分達の領地へと、これから帰る所なのだよ」


「ブライガー伯爵領はここから近いのですか」


「うむ、一応パラス・アテネ王国のすぐ近くに自治領があるがね」


「自治領?」


「うむ、俺様はどこの国にも属していないのだよ」


「へ~、そうだったのですね、てっきりパラス・アテネ王国の伯爵様かと思っていました」


「まあ、クレオネス大王からパラス・アテネの属国に入れとしつこく言われておったのだがね、断って自由にやらせてもらっておるよ」


「伯爵、そろそろ見えてきましたよ」


山道の勾配が平坦になってきたころ、山道の少し外れた所に砦が見えた。結構立派な砦だ。よく見ると歩哨だろうか、見張りの様な人影が見える。どう見ても山賊スタイルの格好をした人が武装している。


さて、どうしたものか。正面から乗り込むのは山賊の全戦力を相手にしなくてはならない。他に出入り口らしき所は見当たらない、歩哨を静かに倒して砦内に静かに侵入、っといった作戦かな。


「お~、見える見える、山賊のアジトで間違いないな」


「そのようですね、どうします伯爵」


「フランク、魔法で派手に吹き飛ばしてやりなさい」


「え? いいんですか、砦ごと吹き飛ばして」


「別にいいだろう、どうせ残しておいてもまた次の山賊に使われるだけだしな」


「わかりました、それでは早速、」


何だ?、フランクさんが魔力を高めている。何の魔法を使う気だ、それにこの位置から魔法って、まるで広範囲殲滅魔法を使うみたいじゃないか。フランクさんはどうするつもりだ。


「天空に浮かぶ星々よ、今ここへ降り注ぎたまえ! くらえ! 《メテオストライク》!」


な!? 何いー! メテオストライクだと! 魔法使い最強の攻撃呪文じゃないか。


上空から赤熱した大岩の塊が炎を帯びて落下してきた、そして・・・


ドゴオオオーーーーーーーン!


見事に砦に直撃した、立派な砦が粉々だ。瓦礫の山と化した砦から煙が立ち込めていて、そこから数人の人影が出てきた。


「なんだ!? 一体なんだってんだ!?」


「お頭! 駄目です、他の連中はもう動いてませんぜ」


「一体どこのどいつだ! こんなマネしやがったやつは!」


山賊達はお怒りだ、無理も無い。いきなりメテオストライクだからな。


「どうも、こんにちは、ブライガーと言う者だがね、山賊の親玉を捜しているのだがね、知っているかね」


「な、なんだテメーは! テメー等がこれをやったのか!」


「いや、私ではなくこのフランクと言う者がやったのだがね」


「どうも、フランクです」


「ふざけたマネしやがって! もうゆるさねえ! バレリントン兄弟を呼んで来い!」


「そ、それが、あの二人は山道にいる筈なんですが・・・」


「な、なんだと!? じゃああの4人がバレ達をやったのか、信じられねえ」


「ど、どうしますお頭、砦を破壊するヤツなんて普通じゃありませんぜ」


「慌てるな、こういう時にあの行商人から奪ったこいつを使う時じゃねえか」


何だ? 山賊の頭目が懐から何か取り出したぞ、・・・あ、あれは召喚の宝玉か、何だ、あの頭目は何を召喚するつもりだ。宝玉の大きさから見て結構大物を召喚するつもりみたいだが。


「へっへっへ、お前らはもうおしまいだよ、召喚の宝玉を使うからな、覚悟しやがれ! いでよ! モンスター!!」


山賊の頭目が持っていた召喚の宝玉が粉々に砕けて黒い霧が辺りに立ち込める、なんだ、何が出てくる。


「キシャアアーーー」


な、なんと、あれは大型モンスターのヒュドラじゃないか、体長30メートルぐらいの大きさで、4つの頭を持つ4つ首の大蛇だ。なんて厄介な物を召喚するんだ。・・・いや、それよりも。


「へっへっへ、さあ、ヒュドラよ! こいつらを皆殺しにしろ、はっはっは、お前らはもう終わりだよ」


「キシャアアアッ」


「うごっ!」


なんと、山賊の頭目がヒュドラに食われた。言わんこっちゃ無い。そんな自分の力量よりも上のモンスターを召喚したって言う事を聞く訳がないじゃないか。どうする。


ヒュドラは次々と山賊達を飲み込んでいく、俺達は少し離れたところから様子見をしている、ブライガー伯爵もフランクさんもスカーレットさんも山賊達を助ける気は無いようだ。まあ助ける義理もないが。


「ぎゃあああーーー、お助けーーー」


「うわああああーーーー」


「い、いやだ、死にたくねえよおおおおーーーー」


「や、やめてくれ、うわあああーーーー」


なんだかひどい光景だ、自分で呼び寄せたモンスターにやられるなんて、山賊の末路とはこんなものか。そんな事より、これからどうする、さすがにこのままって訳にはいかないよな。


ヒュドラは山賊達を全滅させた、お次はたぶん俺達だろうな、きっと・・・


「どうします、伯爵」


「フランクの魔法で何とかならんか」


「無理です、大技は一日一回ですから、小技なら少々使えますが」


「ジロー君、何かないかね」


「う~ん、そうですねえ、倒せなくは無いんですが、ヒュドラは厄介な再生能力がありますからねえ」


「再生能力かね、それは厄介そうじゃないか、なあフランク」


「そうですね、どうします、伯爵」


「どうするって、やるしかないでしょ、この場合、流石にこのままって訳にはいかんだろうし」


「ですよねえ、はあ~、山賊の頭目は一体どこからこんな物を手に入れたんでしょうかねえ」


「さあなあ、そう言えば行商人から奪ったとかなんとか言ってなかったかね」


「そう言えばそうでしたね」


「・・・貴方達、随分と余裕みたいですけど、相手は大型モンスターですのよ、どうするおつもりかしら」


「スカーレットさんはピピと一緒に下がってて下さい、さすがにこのままって訳にはいかないですから、ここでこいつを倒します」


「え、こんなやつ倒せるものなの、ジローさん」


「やり方はあるんですが、かなり危険ですけどね」


まったく、山賊め、余計な事してくれちゃって。自分で呼び寄せたモンスターに山賊は壊滅してるじゃないか。後始末は俺達でやるしかないのか。




おじさんやるだけやってみるよ








 


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